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何が何だか?
「――おはよう、更衣。今日はいっそう心地の良い朝だね」
「うん、そうだね帝」
「……いや、前々から言って……というより、そもそも知らないはずもないと思うのだけど……私は、帝じゃないよ更衣。畏れ多いにも程がある」
「……ふふっ、そうだね。でも、私だって更衣じゃないよ、帝?」
それから、二週間ほど経て。
色とりどりの梅が鮮やかに咲く雅な庭園にて、穏やかな微笑で話す帝。……いや、彼の言うように帝じゃないんだけどね。帝であって、帝じゃない。そして、私も更衣であって更衣じゃなく。