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確信
「…………」
彼の言葉に、軽く口を結ぶ私。……ふう、やっぱ気付いてたか。まあ、一応は神様――いち人間の心中など、軽くお見通しということかな。
ただ、一応断っておくと誰も――例えば、源ちゃんを愛していないというわけじゃない。むしろ溺愛してると言ってもいい。
だけど、それは恐らく息子に対し母親が抱く類の愛情で、本作にて紫の上が源氏の君に抱く愛情とはまるで違う。そして、彼の二件――明石の君、そして女三の宮の件で確信した。――今後も、そういうふうに彼を想うことはないのだと。