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……うん、今は――
ところで、ついでと言うにはあまりに不謹慎な話だけど――この壮大な時短の間に、葵の上は帰らぬ人となってしまった。……まあ、そうなるよね。なにせ、藤壺の頃の行動が全てなかったことになっ……いや、でもどの道かも。今思えば、やっぱり抑え切れなかった気もするし。
……それに、帰らぬ人と言えば、他にも――
「……あの、大丈夫ですか君さま」
「……へっ? あ、ごめん大丈夫大丈夫!」
「……でしたら、良いのですが」
そんな思考の中、不意に届いた心配そうな声で我に返る。すると、声音に違わぬ心配そうな表情の惟光。そんな彼に、少し慌てて答え……うん、今は切り替えなきゃね。