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保管資料室  作者: 黒薙神楽
呪いの宝石と復讐姫
6/29

卒業

 春、それは、入学と卒業のシーズン。私は今日この日、五年間通った学園を卒業する。ちなみに友達は一人だけだけど出来たよ。やったね!


「それでは、グロリアス帝国暦451年度ルーンライト学園の卒業式を執り行います。まずは学園長のお言葉です。」


 はぁ、卒業式が面倒くさい。両親が来ているから、真面目にやるけどさ。早く終わってくれないかなー

 ていうか、この学園長の話長くない?待って、本当に長い………



◇◇◇



 な、長い。学園長……もうそんな呼び方はいらないだろ。あのクソジジイ、一時間以上も話し続けてた。肺活量どうなってるの?もう皆疲れてるし、寝たいし寝てるし。あ、隣にいる、えーとリリアナ・リアライン伯爵令嬢、だったかな。あの人もう寝てるよ。爆睡だけど大丈夫?


「い、以上で学園長のお言葉を終わります。続きまして、教師陣からのお言葉です。」


 あ、やっと終わった。そしてまだ話が続く。でも、あんまり長くないね。大体一人五分くらいかな、学園長よりはとても短い。いや、だいぶ感覚麻痺してるけど、でもやっぱり短いな。良かった。これくらいがいいんだよ。



◇◇◇



「はあ〜〜疲れた。」


 精神的にも肉体的にも疲れた。卒業式の後はパーティーがあるそうだけど疲れたから、さっさと馬車に乗って屋敷に帰る。一応、両親は、パーティーに出席するらしいよ。大人っていうのは何時の世も大変だね。


「それにしても、何か視線を感じていたような……何だったんだろ」


 卒業式の間、ずっと誰かが私に対して視線を、それも、かなり嫌悪感や殺気を込めて向けていた。警戒はしていたんだけど、何もしてこなくて少し拍子抜けと言うかなんというか。まぁ何事もなくて良かったということで。

 そこで私は考えを一旦やめて、胸元のブローチに手を付けた。


「エメラルド……」


 グリーンストーン公爵家の家宝らしい【エメラルド】

 アーティファクトという情報以外は特に無く、無理やり使おうとした人が全員軒並み人生ノックアウトされたいわくつきの代物。というかこれは呪いの宝石だ。魔導書を隅から隅まで読んで、その内容を試して、それで初めて分かるようになる。これは、【宝石昇華クリスタルアセンション】を使うのに相応しいのでは………あ、もしかしたら消耗品の類かもしれない。解析してから試そう。






「あー…うーん、無理」


 屋敷の自分の部屋に戻ってから、早速、【エメラルド】の解析をした。結果は、まぁ、そういうことです。


 このアーティファクト、何と使用者に寄生するタイプの能力を基礎として持っていた。これはかなり不味い。帝国において寄生する能力を持つアーティファクトは、破壊対象だ。見つかっていないだけマシなのかな。更に、その部分は呪いの宝石全てが持つようだ。少し【宝石昇華クリスタルアセンション】の魔法と、エメラルドについての関係とか色々調べていたら、そうだと分かった。ので、迂闊に使えない。どうしよう。


…………………………黙ってよう。知らない体でいれば問題は起こらない。はず! もう考えたところで無駄だから寝よう。お休み




▽▽▽


side ニアリアス・アムリーン


 私は今、地獄のような場面を見ている。婚約破棄の現場だ。他にもギャラリーとして公爵家の方々や留学生として来ている他国の王子までいる。とても空気が重くて、息苦しさは無いがそれ以上に居た堪れなさがある。何だこれは。

 親友のレイン・グリーンストーンは公爵家の御令嬢だけど幼少の、と言っても8〜9歳頃から良くしてもらっている。お陰でグリーンストーン公爵様が近くにいてくれて少しホッとしている。知っている、親しい方がいるのはこの状況ではありがたい。


「貴様は彼女に対して数々の嫌がらせを……」


「私はしていません!」


「嘘です!私は貴方にいじめられて……」


 あの子は確か、伯爵令嬢、えーとリリアナさんだったかな。お相手は、帝国の第三王子…婚約者がいたはずだったけど、浮気してた?あまりにも酷い。それに第三王子の婚約者はビリジオ侯爵家の御令嬢だから、グリーンストーン公爵家の遠縁にあたる家だ。あの王子と女性、これから大丈夫かな。


 あぁ、それにしても茶番みたいだ。…レイン。真っ先に帰った貴方の行動は正解だったよ。今度この事を話の種にしてお茶会しよう。………早く終わらないかな



▽▽▽

side レイン


「……ていうことがあってね、本当に面倒だったの」


「居なくて良かったよ」


「ほんとにそう!レインが帰った時は呆れてたけど、今回ばかりは私も帰っていればよかったわ」


「ニア、お疲れ様でした」


「うん。頭撫でて」


「はいはい」



 なんだか疲れた様子のニア(ニアリアスの愛称)の頭を撫でる。ニアは、金髪碧眼で貴族らしいといえば貴族らしい。そんな事はどうでもよくて、髪はサラサラで撫で心地がすごくいい。永遠と撫でてられる。ニアも撫でられるのが好きみたいでよくせがまれる。それがまた、可愛い。


 前世は男だったという記憶があるせいで、ニアがあまりにも可愛すぎて何度も何度も押し倒して一緒に寝ようかと葛藤した事か。あの時は心が変な感じで、お腹の辺りが熱かったりもしたんだよね。使用人に聞いても、何かはぐらかされるし。結局、よく分からなかった。


「えへへ〜」


「……ニアはやっぱり可愛い」


「何か言った?レイン」


「な、なんでもないよ!」


「そう?」


「うん」


 危なかった〜声に出てたのか。帝国というか、この世界では確か、同性婚は認められていたはず。だからもしかしたら……いや、流石に辞めておこうかな。勝手に好意を押し付けるのはダメだしね。


 そんなこんなで、お茶会はこれにてお開き。ニアが帰った後、私は何時もどおりの日常を過ごした。

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