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保管資料室  作者: 黒薙神楽
呪いの宝石と復讐姫
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第五階梯

 私が探索者になると心に決めて、努力を始めてから四年が経過していた。私としては一年くらいかと思っていたからびっくりだ。そして私は、9歳になっている。

 そんな私は今日、これまで学んだことを、その成果を先生に披露することにした。



「では、いきます【クリムゾン・レイ】!」


第五階梯の魔法、【クリムゾン・レイ】その威力は極めて高く、特に貫通力に関しては他の第五階梯の魔法の中で群を抜いて高い。殺傷能力を重視された魔法だ。でも、この程度では終わらない。


「続けて、【アイスコフィン】」


同じく第五階梯【アイスコフィン】は攻撃ではなく、相手の拘束や封印に関する魔法だ。相手の魔力次第では抵抗されてしまうけど、習得しておいて損はない。格下には強く出られるからね。


 そして、二つの第五階梯の魔法を放った後、私は魔力を限界まで圧縮して、神業と呼ばれるような魔力制御で以て次の魔法を放つ。これは私のオリジナルの魔法だ。


「最後。【天雷】」


 推定第六階梯のオリジナル魔法。これならば先生を驚かせられるだろう。雷を限界まで圧縮したおかげか何故か音が無くなったけど、威力は私の使える魔法の中で一番高い。そんな魔法を先生に見せた後、私は先生の方を向いたけど、


「え!先生!大丈夫ですか!?」

「あ、はい……少し腰が抜けただけです。」

「良かった…」


 それはそうと、驚かせるのは成功かな。少しやりすぎた感は否めないけど。まぁとにかく、これで学園卒業後は安心して探索者にさせてくれるでしょう。うん。


「あ、先生、少し話をしてもいいでしょうか?」


「え、えぇ、問題ないですよお嬢様。」


「それなら良かったです。それで、私、学園卒業後に探索者になりたいのですが………」


 先生に言ったんだけど、なぜか先生が固まっている。どうしたんだろう。腰が抜けた以外に何かあったのかな。大丈夫?


「………絶対にやめたほうがいいです。お嬢様の才能ならば帝国の魔法師部隊の隊長クラスは余裕で狙えます。探索者などとそのような職業ではなく、もっと比較的安定した名誉ある職に就くべきです。元探索者である私が言うのもなんですが、あれほど死と隣り合わせの、最悪地獄を見るような場所には絶対に行かないでください。いいですね!」


「えぇ〜」


「えぇ〜、ではありません!お嬢様は少し他の貴族令嬢から外れていると思っていましたがここまで頭おかし…コホン、変わり者だとは思いませんでした。」


「今、頭おかしいって言ったでしょ」


「とーにーかーく!お嬢様は探索者ではなくもっと安定した職業に付いてくださいね!」


「はーい…」


 ここまで批判されるようなものなのか。でも、絶対にやめない。呪いの宝石を集めるのに、そしてこの四年間で増えた目標、世界を見て回ることのためにも、探索者ほど向いた職業はないでしょう。あ、あとお父様を説得してお母様は……問題なさそうです。なので、先生とほかの使用人はお父様と一緒に止めてきそうなので、全力で振り切るか説得するための材料を集めましょう。


 けれども今は、学園に関してです。深窓の令嬢なんて感じで通っているそうですが、そんなもの知ったことではない。自分を貫いて、邪魔と否定するやつは全力で応戦しよう。そうしよう。

 さ、今日の授業は終わりました。後は何時もどおりかな。




◇◇◇




 学園に入学する時がもうやって来た。1年というのはあっという間だった。あの後は確か、他に作っていた魔法を三つ見せて更に驚かれたくらいかな。

 別に、【宝石昇華クリスタル・アセンション】に関する本を読んでいた時からできそうだなとは思っていて、目的が噛み合った上に時間と知識があったから作ったんだけど。他の人も魔法を作らないのかな。知らないけど。



「レイン、元気に過ごすんだぞ。それと問題を起こさないように。あぁ、後いい人を見つけたら私に言いなさい。私が見定めるからな。」


「えぇ、貴方の言うとおりです。それにレイン、貴方は貴族令嬢の中でも変わり者なのですから周りには気を付けてくださいね」


「お嬢様、この五年間で私をとうに超えています。ですので学業や魔法については何の心配もありませんが、別の心配事は山程ありますので、気を付けてください」


「お父様、お母様、先生もまぁ、大丈夫ですよ。何か言われても自分を貫き通すので。」


「「「それを心配しています(るのよ)」」」


 あ、あれーこれは何なのかな?別にそこは心配しなくてもいい気がするけども。さて、今日から王立学園に入学するのだから、暫く会えない。思い出は少ないけども思い入れはたくさんある。それじゃあ、


「行ってきます!」


「あぁ、気をつけていってくるんだぞ」


「「「行ってらっしゃいませ、お嬢様」」」


 挨拶の後に、公爵家の宝石を模した家紋のついた馬車に乗る。これが家の馬車だ。乗り心地が良く、軽いため長距離移動にもってこいらしい。この馬車なら学園までの数分でもお尻が痛くならなそうで何よりです。あれ、本当に辛いからね。


 そんな馬車に乗ってやって来た私は王立学園の校門前で馬車から降りる。入学式は保護者同伴では無いらしい。これは驚いたけど、そういうものだと思っておいた。さてと、入学式の会場に向かおう。





―――――

小話

天雷は、限界まで圧縮した魔力の九割を雷属性に、残りの一割を制御に用いて放つ、【クリムゾン・レイ】の属性は違うけど威力と貫通性能を上げた超上位互換です。

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