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保管資料室  作者: 黒薙神楽
人獣と獣魔士
29/30

第1話 現状確認、大事。

途中

 【人獣】に成るには、魔物を喰らうと云う、たった一つの条件を達成すれば良い。

 というのはこの世界の全ての人々が知っている共通認識であり、最早常識として、知らないという事は有り得ない。


 しかし、人獣になる為の条件や方法を知っていても、その後、人獣になった後の事柄を知る者は、一般人には全く持って居ない。

 その為、偶にネット上で議題に上がったとしても、誰も答えられずに、無駄に時間だけが過ぎて、そのまま疑問が解消されること無く終わっていった。


 その為、偶然か必然か(運命に強制され)、魔物を喰らう事を決めた少女は、好奇心に突き動かされて、やらかしてしまった事に若干の後悔を覚えつつも、その先にある未知を楽しもうとしていた。

 だが、その楽しみも一瞬で消え失せる。


 魔物は、喰らった時点で稀に身体に魔物の一部位が現れることが知られている。それは、普通は考慮する必要も無いほど低い確率の現象なのだが、運が良いのか悪いのか、その現象を引き当ててしまった。



 …堪らえようの無い激痛が伴いながら。



「アア゛アア゛ァァァ!!! アア゛ア゛ア゛ァァァア!!!!! アア゛ァァッッ! ツッッ!!! ォ゛っっ!ヴァッア!!!!! アアアオオアアァァァッ!!」



 幸いな事に、スラム街にも人の多い少ない場所というのは存在しており、少女が竜の死骸を見つけて喰らった場所は、人通りがかなり少なく、加えてこの辺りの建物は防音耐震性能が極めて高い事もあり、事件性のある叫び声が、誰かに聞かれることは無かった。






「グゥッ…うぅ…ハァ、ハァハァハァ…」


 肉体を作り変えられる痛みと、その痛みによる叫び声が、数分の後に漸く収まり、酸素を求めて少女の息が荒くなる。




「はぁ、ふぅ……えっと、何が、どうなって…」


 そのまま荒い呼吸を整え、ある程度物事を冷静に捉えられるようになってから、自分のした事と、今の自分の現状を顧みる。



「…えっと、あー、本当に魔物食べちゃった…それにしても、魔物って特に味しないんだなぁ。

 あ、いやそうじゃない、そうじゃない。そもそも、何で魔物なんて食べようと思ったのかな…さっき迄の僕は馬鹿すぎじゃない? と云うか、魔物を食べたから、僕は人獣になってる訳で。

 だから、誰か…適性のある人、或いは獣魔士と契約しないと何時かは暴走しちゃって…ど、どうしよう…そういえば、何で魔物食べた時にあんなに痛かったんだろう。何が原因だったんだろ…あ、偶に食べた魔物の一部が身体に現れた人獣が居たって聞いた筈だし、前に本で読んだから、それが原因かな……

 でも、それ全部置いておいて、これからどうしようかな。獣魔士の人って何処に居るんだろ…あ、あとは……」


 小声でブツブツと、自問自答をしながらこれからの課題や、注意しなければならない事を推察していく。

 そして、次に、全身に激痛が現れた原因、魔物の能力(魔法)をより十全に発揮できると言われている、身体の変化の方に意識を向ける。



(これは、大体10cmくらい身長伸びてるかな。服も大分小さくなってるし…これで僕も160超えれたかな。

 他に目立つ部分だとこの長くなった銀髪とか、あとは、竜の角に、竜の尻尾とかかな…結構邪魔だな……)


 魔物を喰らった影響により、作り変えられたその姿は、元の自分の姿から大きく乖離していると、そう確信できる。

 それと、これは近くに鏡があれば分かったことだが、瞳の色も、右が青色で左が紫色のオッドアイとなっている。

 何なら、容姿や体型も目を惹くような魅力的なものに変わったのだが…本人は特に気付いていない。





(取り敢えず、目立つし、邪魔だから、この角と尻尾は消すか見えないようにしたいな)


 心の内で自問自答を繰り返した後、今の自分が使える魔法がどの様な物なのかよりもまず先に、邪魔な角と尻尾を消す方法を考えていた。



(確か、魔法は丹田辺りに力を込めれば使えたりするんだったかな? 多分、こんな感じで…)


「ふっ!」


 うろ覚えの知識と、魔法に対する好奇心、魔物を食べたからか或いは生来のものかの行動力により、少女は丹田に力を込め、魔法を使う上での正解を一発で引き当てた。



「お、おぉ! これが、魔力か…凄いな」



 

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