プロローグ
空が雲に覆われてどんよりとした、ある日の帰り道。
俺はフリーターのくせに仕事もせずゲームだけしていた。だがゲームばかりだと駄目だから気分転換にと散歩をしていた。
すると、雨も降っていないのに空から雷が俺の頭上に落ちてきた。
普通なら、足元から地面に雷は逃げていくだろう。だが、何故かその雷は俺の身体だけを的確に焼き焦がし、痺れ動けなくした。
「え、あ…」
そして、突然のことで困惑していた俺が人生最後に出せた言葉は情けない、文字列でもない、意味不明な平仮名が2つだけだった。
◇ ◇ ◇
『誠に申し訳ありませんでした』
というのが少し前の俺であり、死ぬ直前から死んだ瞬間までの走馬灯? いや、記録? とかそういうのだ。
目の前で土下座しながら謝っているのは、今回の件には無関係なのに上司的立場の神に責任を擦り付けられた可哀想な女神様だ。
「いえ、俺も特に気にしてませんから…あの、神様に土下座させるのは心が痛むので、その、やめてください」
『いえ! 駄目です! 今回、偶然とは言え我々のせいで貴方様の生命を奪ってしまったのは紛れも無い事実です。
一度しか訪れない人生ですから、例え神であっても謝らなければならないのは当然です!』
うん。凄い良い女神様なんだよね。ちゃんと謝罪して、此方の事も気に掛けてくださる方なので、余計に土下座させているのが心苦しい。
チョークスリーパーホールドを掛けたらやめてくれるだろうか。いや、その前に不敬だから不味いな。辞めとこう。
後は、軽々しく土下座をするのをやめて話を進めてほしいって所がある。
最初ここに来た時に、案内しつつ、少しだけ話をした天使の方から転生云々と聞かされているのだ。それが気になる。
というか、その事を話せば土下座はやめてくれるのでは? あ、そうすれば良いじゃん。早速話しておくか。
『あの、はい。申し訳ありません。
転生のことをすっかり忘れていました。教えてくれてありがとうございます』
「あぁ、いえ、大丈夫です」
忘れてたのね。大丈夫。
俺はこういう時の性格が悪いんだ。この件は転生時に色々と交渉材料にするから。だから大丈夫だよ。
『? 何か悪寒のようなものが…』
「どうかしましたか?」
『…いえ、気の所為でしょう。
それでは、転生について話させてもらいます。まず、今回は神々の賭け事によって発生した余波により、現世の貴方の身体に雷という形でもって被害を出してしまいました。
しかし、魂の方は無事であった為、この様な場を取り、記憶をそのままに望む世界へ転生する事になりました』
ここまでは改めて説明している感じだな。
まぁ、俺は人の言葉を覚えるのはそんなに得意じゃないからもう一度説明してくれるのは有り難い。
『それでは、転生において望む要素を教えてください。
あ、数に関しては幾つでも構いません。最も望まれた要素が多く当て嵌まる世界に転生しますので』
ふむ。俺は元厨二病(軽微)だった人間だ。
異世界モノ…特に剣と魔法のファンタジーは好きで自分で小説を書いたりして楽しんでいた。
だが、俺もその頃から年を取っている。つまり、中世のゴミみたいな価値観や生活背景もある程度理解しているということだ。
なので、俺は中世風の異世界を望むことはない。逆に慣れ親しんだ現代ファンタジーの方が俺は楽しめると思う。
そして現代ファンタジーは異世界ファンタジーと同じくらい、異能バトルに魔術学園、ダンジョンと何でもありな世界観となっている。
その癖、ちゃんと発展しているから個人的には生きやすい世界だと思っている。
あとは、何だろうか。現代ファンタジーで何がしたいかを考えるか。
億万長者になる…ハーレムを作る…うーん、何か違うんだよなぁ。何だろうか、俺は俺という存在をちゃんと理解していない気がするんだよな。
顧客が求めるモノと、顧客が本当に欲しいモノは違うって感じで。
この際だから、ここは頭の中でぱっと思いついたモノにするか。馬鹿みたいだけど、なるようになれば良いだろ。
「現代ファンタジーの世界で、一般社会の裏で怪異とか異能バトルが起こってる世界が良いです」
『成る程。具体的に言っていただけると此方としても対応がしやすいので有り難いです』
「有りますかね?」
『…はい、はい。
ええ、問題はありません。望まれた要素をちゃんと含んだ世界がありますので、そちらの方に転生出来ます』
良かった。ちゃんとあったみたいだ。夢とか目標とかは、転生してから考えればいいな。
…いや、待てよ。俺は人間として転生出来るのだろうか。もしかしたら怪異の方に転生してしまうのでは無いか? 異能バトルの世界を望んでも転生した後の俺は異能を持っていないのでは無いか?
大丈夫だろうか…よし、聞けば教えてくれそうだし、疑問は素直に聞こう。
「あの、俺はその世界で人間に転生出来ますかね? あと、異能バトルとは言いましたけど、異能を持って生まれてきますか?」
『あ、それらは大丈夫ですので、安心ください。
転生する際に、魔物や異形に転生したい。と言われない限りは人間や、それに近い種族に転生します。
また、異能の方も、必要無いと望まれなければ自動的に与えられます。まぁ、流石に強さは運と才能によりますが』
「良かった…怪異にはならないのか…」
『怪異に、なりたいのですか?』
「いいえ全く!」
『は、はい…
えっと、転生時に何か望むものがありましたら、仰ってください。出来る限りのものは用意しますので』
これは、異世界転生で言う所の、神様からチートスキルを貰うシーンではないだろうか。
チートスキル…は放って置くとして、転生先での容姿と出生だろうな。それを先に決めておけそうだ。
「じゃあ、俺の容姿と出生をある程度決めておきたいです」
『はい、分かりました。ではお聞かせください。
それと、容姿や出生だけでなく、その身体の健康状態から異能の性質まで、決められるものはかなり有りますよ?』
「……その、決められるものは全部手を出しておきたいんですが…良いですかね?」
『構いませんよ。どんとこいです』
◇ ◇ ◇
転生前の準備段階で色々と時間を使ってしまった。あの後、女神様が白髪キャラが男女問わず大好きだという事が判明して俺同意のもと白髪にしたり、土下座の件による遅延を理由にちょっとヤバイ代物を身体に仕込んだりして、俺達二人(一人と一柱)はもう滅茶苦茶に楽しんだ。
結果として、俺の性癖と女神様の性癖を半々で割ったくらいの容姿になったが、中性的な男で白髪オッドアイなのでね。
もう全くもって、大丈夫だ問題無い。
『はぁ〜白髪って良いですよねぇ…
…あ、え、えっと、コホン。それでは転生を開始しますね。』
「………はい」
『な、何ですかその微妙な間は! さっきの聞いてませんよね! 聞いてたら忘れてください!』
「っ…はい!」
勿論、忘れませんよ。暫くは思い出してこっそりと笑っておきます。俺はこういう所で性格悪いのでね。
『はぁ、全く。では、此方の転生用の魔法陣に乗って下さい。そうすれば、転生しますので』
俺は無言で転生陣と言われた、幾何学模様の何かエメラルドグリーンに輝く神々しい陣の上に移動した。
『それでは、二度目の人生。是非、楽しんで下さい』
女神様がお辞儀をしてくれた。こんな事を神様にされたら、返事を返さないとな。
「ありがとうございました。楽しみ尽くして来ます!」
腕を振りながら、俺はごく自然な笑顔と共に返事をする。
『はい! あ、白髪なので転生後は見守っていますね!』
えっ!?
衝撃的な発言が女神様から飛んできた瞬間に、転生陣は更に輝きを増して、俺の意識は黒一色の深い場所へと沈んでいった。
適当にズババっと書けたので、ここに投稿させてもらいます。
良いなと思いましたら、☆と♡。そして作者的には一番大事な感想コメントの方をよろしくお願いします。
コメントの返信は、多分します。
不定期投稿なので、そこら辺はご了承ください。




