表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
保管資料室  作者: 黒薙神楽
呪いの宝石と白月姫
21/30

馬車

 探索者組合の受け付けにて、イリスがルセに青い宝石をはめ込んだプレートを渡す。


「ルセちゃん、これで貴方は今日から青玉(サファイア)級の探索者になりました。おめでとう」


「ありがとう」


 ルセが要塞都市で探索者になってから今日までに1年が経過した。今日まで毎日と言っていいほどにダンジョンに潜り続けていたルセは異例の早さで青玉(サファイア)級まで上がっていた。それを見ていた者たちは…


「あれが『迷宮狂い(シーカー)』か」

「まだ14か5くらいだろ」

「それで俺たちより階級上なんだよな」

「才能の差ってのはデカいんだな…」「後は努力もだろうがな」

「俺もダンジョン潜ろうかね」

「はぁ…」



 ルセの事を『迷宮狂い(シーカー)』と呼んでいる。これは毎日毎日狂っているのではと思われるくらいダンジョンに潜り続けているルセを揶揄って言っていたことだったのだがいつの間にか尊敬の念を込めた言葉になっていた。



「ルセちゃん、この辺りに未踏破のダンジョンはもう無いの。だから…何処か別の街にいくのかしら?」


【土の骸】、【針棘山】、【螺旋の塔】、これらがこの1年でルセが踏破したダンジョンであり、この要塞都市にあるダンジョンの全てだ。


「鉱山都市に行く」


「あら、それはいいわね。探索者も多いから仕事にも困らないわよ」


「ダンジョン潜る」


「…相変わらずね。取り敢えずいつ行くかは知らないけど準備はしっかりね」


「うん」



 まあまあ仲良くなったイリスと別れて、探索者組合から八百萬屋へと向かう。


「地図とポーションと…後頼んでた物を」


「コイツだな」


 ルセが、店主に頼んでいた物、【魔法の鞄】と呼ばれるアーティファクトだ。中に見た目以上のものを収納できる高価だがある程度は流通している。だからルセでも買える。


「金貨30枚だな。中に色々入れてある」


「はい、これで足りる」


「丁度だな。まいどあり」


 買えると言ってもルセの所持金は金貨30枚より少し多い程だからそのほぼ全てを使うが、買って損はない。中のものも含めて金貨30枚で購入した。




◇◇◇




 満月の夜、要塞都市内の軍人の駐屯地にて、凄惨な殺人事件が起きる。それは朝、異変を感じた職員が宿舎の清掃のために来たことで見つけたため発覚した。


 駐屯地内の軍人62名の内、宿舎内で眠っていた59名が皆、一様に首を断ち切られ死亡。また、生きている3名は精神が錯乱しており記憶の混濁が見られ軍人として再起不能であるとされた。この犯行は複数犯であるという見解が軍上層部でなされている。



(準備運動はこれでおしまいかな。案外あっけないというかなんというか)


 この事件は全てルセの仕業である。



 彼女の持つアーティファクト【嘆き悲しむカルセドニー】の精神支配は周囲からの認識を逸らすこともできる程自由度が高い、故にその力で潜入して記憶を見ながら腐ったクズを寝ている間に殺し、クズの中でも比較的まともだった3人の精神を少し歪めて廃人にした。

 ただただ、軍に対して大きな混乱を起こすために狙った事なのだ。


(それにしても、練習中の演技も慣れておかないとね。後々役立つだろうし。まぁ、そろそろ帰って寝ようかな)


 ルセは、高い身体能力を駆使して屋根を無音で飛んで渡り、路地裏に降りてそのまま宿に向かって眠った。少し愉しげな気持ちを抑えながら。




 数日後、宿で出発の準備を終えた頃に軍が指名手配犯として人相書きの無い手配書を辺りに貼っていた時、内心ルセは、笑っていた。そんな手配書にはこう書かれていた。


―――――

指名手配犯

『首刈り』

罪状∶殺人、不法侵入、精神操作

特徴∶一人あるいは二人で行動、恐らく手練れの犯行、年齢性別背丈等の情報無し

懸賞金∶金貨110枚

―――――


(あぁ、すごく早い指名手配。軍もきっと大騒ぎなんだろうな。情報を残さなくて良かった。さあもっとこの帝国を荒れさせて潰さないとね)


 そんな事を考えながら、ルセは要塞都市から鉱山都市へと乗合馬車に乗って進んでいった。




◇◇◇




ガタガタ、ゴトゴト


 そんな風な擬音がつきそうなほど揺れている乗合馬車に乗っているルセは、隣の少年を見る。


「うぅ…」


「たくっ、酔うの早すぎだろ」


「あ、ごめんなさ…うぅ…」


 大変そうではあるが、少年の保護者らしい男が介抱しているので周りも心配そうにはしているが話しかけたりはしない。


(馬車の中で吐かなければ良いけど)




 これが乗合馬車に乗って、要塞都市から出発して三十分後の光景である。


……後で少年は馬を休憩させるために止まった時に外で吐いてスッキリしていたようで後は普通にしていた。

前の話との間に数話ほど書く予定だった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ