プロローグ
20XX年7月、突如として地球付近にワームホールと呼ばれるような不可思議な穴が出現し、パラレルワールドの住人が来訪した。
近頃は戦争など無く平穏そのものな現代社会に突如としてパラレルワールド、その中でも科学技術が魔法レベルで発展した異世界が繋がってしまったのだ。
更に、そのワームホール発生の余波や召喚魔法の不具合等で魔法が当たり前に存在する異世界、異能が全てなポストアポカリプスの世界など、数十はあるパラレルワールドが地球と繋がってしまったのだ。
政府は胃腸を痛めながら、なんとか被害をできうる限り減らし、超常現象・電子生命体・神格・妖怪・怪異・モンスター・アンデッド・精霊・妖精・竜・魔族・天使・悪魔・外宇宙の存在 etc.etc…
そういった、多種多様すぎる人知の及ばぬ者達の中から人類が共存可能な、あるいは人類に理解を示している存在となんとか友誼を結ぶことを成し遂げた。また、この際パラレルワールドの人類とも友誼を結び、様々な異文化との技術交流を果たした。
その結果として、自由に他のパラレルワールドに行き来することができるようになり、魔法や異能、超科学などが生活の場や軍事面で溢れかえった。人類はすぐに適応したが。
しかしだ、しかし、文化が大きく違うどころか全く違うような世界がこんなにも多いのだから、問題が起きないわけもなく、というか、問題が起こらない方が珍しい。
多様性に富みすぎた犯罪者やテロリストが暴れ回り、様々な世界の無辜の一般人が迷惑を被り、政府関係者や魔王や管理者等は胃痛に悩み、犯罪者を取り締まる公的・私的問わずの職業が幾つも生まれた。
そして、これ幸いにと神が異世界に送っていた者達、即ち転生者や転移者と呼ばれる者達が帰ってきた。帰ってきてしまった。この混沌とした世界で数百人は存在するであろうチート能力を与えられた転生者・転移者は、流石にこの世界で暴れる者と大人しい者で別れ、暴れ回る転生者・転移者を平穏を望む転生者・転移者が止めるという構図が出来上がった。
そんな混沌とした闇鍋な世界で、今日もとある転生者は平穏と不穏を享受しながら生きている。