第77話 修行終わりはアレを決めないと!!
あれから少し時間が経ったあと、お父さんとお母さんは二人手を繋いで私たちのところにやっていた。
さっきまでのお母さんの雰囲気とは全く違い、何が起きても許してくれそうな雰囲気になっている。
「二人ともおまたせ。」
「全然待ってないから大丈夫!!」
「大丈夫だよ!! それよりも、お父さんの修行教えてよ。」
「その話はリビングに戻ってからでも大丈夫か?それと、約束してたアレだけど少し早めに出せないかな?」
お父さんはすごい期待の眼差しで私のことを見てきた。
カツ丼が待ちきれないのだろう。
私も謎の空間での修行後に食べた初めて食べた料理はカツ丼だったな。
いつも食べていてどんな味がするか分かってはいたが、あの時食べたカツ丼は一味違った。
どれだけ楽しみに待っていたのか。
目をつぶるとふとカツ丼が浮かぶほどに。
どれだけ食べたいか。
食べられるのならいくらでも。
そんな感情だろう。
待ちに待ったカツ丼はうまさが格別に違うが、また我慢するか? と聞かれたら絶対にしないだろう。
だって、食べたい時に食べたいから!!
「家に着いたら、カツ丼の準備始めちゃうよ。その間お父さんはリビングでお母さんと話しといて。サリア手伝ってくれる?」
「もちろん!!」
「ごめんな。みんなはさっきご飯を食べ終わったばかりなのに……。」
「何年もカツ丼を食べてなかったんだから、しょうがないよ。私達だってお父さんみたいにカツ丼が食べたくてしょうがなかったんだから。」
「そうだよ!! その為に頑張ったんだよ!! 修行後初めて食べたカツ丼は初めて食べる時よりも感動したよ!! お父さん楽しみにしててね。」
「ああ。」
そうして、私たちは玄関から家に入り私とサリアはカツ丼の準備を始める。
お米の準備をすることに、ふとあることを思い出した。
疑似体験時に、カツ丼をご飯ではなくうどんやそばを代用し食べると美味いと……。
実際は食べたことがないからなんとも言えないが、お父さんのことだからツルッと食べてしまうだろう。
始めはカツ丼。
その次はカツ丼うどん? をすることが決定した。
サリアに驚かせる為まだ内緒だ。
最近オーク肉ばかり食べているので、在庫が結構なくなってきている。
多分今回揚げる分で終わりだろ。
臨時収入も入ることだし、今度行った時沢山買っちゃおう!!
そうして、私たちがカツをあげているとお腹を空かせたお父さんがやってきた。
「少しだけ味見してもいいか?」
「ダメだよ!! カツ丼まで我慢するからもっと美味しく感じるの!! 食べたい気持ちはすごいわかるけど、もうちょっとだけ我慢して!!」
「そこを何とかならない?」
「ダメ!!」
サリアのお言葉に少し落ち込んだお父さんはとぼとぼとリビングのテーブル席に戻って行った。
以前謎の空間修行後にカツを揚げている時どれほど我慢したのかを思い出して見たが、それと同時にお腹いっぱいアラームがなってしまう……。
また後で考えよう。
お父さんはすごいお腹を空かせているらしいので、おかわりの分も沢山作らないとね。
私がカツを一つ揚げたと同時にサリアがカツ丼にする準備を始める。
ご飯も炊き終わっているので、土鍋を少し移動して土鍋があった場所でサリアは料理し始めた。
家にはコンロ(魔道具)が二個しかないからね。
カツ丼うどん用のうどんはこっそり夜中食べようと思って湯掻いた物語収納魔法にあるのでそれを出すつもり。
もしも入ってなかったら、コンロ的に無理になってしまうからね!!
そうして、第一弾のカツ丼ができサリアがお父さんのところまで持って行ってくれる。
「お父さんおまたせ!!」
「きたきたきた!! いただきます!!」
お父さんがどれだけカツ丼を待ち望んでいたのかが声色と、表情からはっきりと分かる。
食べながら涙声で、「美味しいよ。うん。美味しい。」とキッチンまで聞こえてくる。
料理を作ってそんなにも喜んでくれると作ったかいがあるってもんだね。
まだまだ、これからだから楽しみにしてて!!
そうして第二弾カツ丼うどんの準備に取り掛かる。
サリアにはご飯をよそわずに上に乗せるカツ丼の準備を頼むと不思議な顔をしながら了承を貰えた。
サリアもあっと驚くだろう!!
私たちはお父さんの「おかわり!!」と言う声が聞こえる前に準備が完了したので、特別カツ丼を作ることに。
「お姉ちゃん。どうするの? ご飯なしは可哀想だよ……。」
「ちょっとまっててね。無時間収集箱」
「? うどん?」
私がうどんを出したことになんとも言えない顔を、したサリア。
まだカツ丼と組み合わせることは分かっていないみたいだ。
「なんでうどんなの? 油っこいからお腹を休ませるため?」
「違うよ!! ちょっと見てて!!」
そう言いながら、うどんが入っている丼にカツ丼のご飯なしを乗せる。
そう。これこれ!!
見ただけで美味しいってわかるし、食べたことがないからすごい食べてみたい。
実物を見るとここまで食べたい欲が出るとは……。
おなかいっぱいなんて関係ないじゃないか!!
「お姉ちゃん……。凄すぎるよ!! 美味しいカツ丼とうどんの合わせ技!! 今度サリアにも作って!! てか、今ミニうどんを作って半分こしようよ!!」
「しょうがないな。まずはお父さんに持って行ってからね。」
「はーい!!」
私も食べたかったので了承すると、サリアはすごい嬉しそうな顔でお父さんに料理を運んで言った。
キッチンでのやり取りはリビングにも聞こえていたみたいで、お父さんが急いでカツ丼をかきこんで丼の中をからにしていた。
「おまたせ!! カツ丼うどん!! お父さん食べたら感想聞かせてね!! 私達ももうすぐ食べるけど。」
「これは……。キッチンから話し声が聞こえていたが、すごい美味しそうだ。」
「あなた一口分けてちょうだい。私だって食べたことないのよ。もちろん、あなたの後ででいいから。」
「分かった。」
そうして、お父さんとお母さんはカツ丼うどんを食べてすごい満足してくれた。
お父さんからのご所望でカツ丼を出した後にまたカツ丼うどんを出すことになった。
ちょっど三人前湯掻いてあったので、良かった。とひと安心する私であった。
その後料理が終わったので、カツ丼とカツ丼うどんを完成系にして収納魔法に入れて私達もリビングに向かってカツ丼うどんを食べる。
「では、」
「「いただきます!!」」
んん!!
美味い!!
カツ丼のだしと卵の旨みがうどんとしっかり絡まって、カツ丼(ご飯vet)とまた違う味わい。
カツのサクサク感とうどんのツルッと感がたまらない!!
なんで今まで忘れていたのだろうか。
そして、疑似体験ではなぜ身近な存在ではなかったのか? がすごい疑問に残る。
「美味い……。美味すぎる」
「お姉ちゃん。私も私も!!」
私が先に食べてしまったので、サリアが急いでカツ丼うどんを食べ始める。
口に入れた瞬間にすごい笑顔になって幸せそうな顔をしていた。
味は言うまでもないね。
「お姉ちゃん。最高!! ご飯が会うものはなんでもうどんが合うのかな? カレーもカツ丼も。」
「たまたまだよ!! 色んなことを一緒に研究していこうね!!」
「うん!!」
「私も忘れないでね。」
「俺も俺も!!」
その後ゆっくりと食事を楽しんだ後に、洗い物をしてみんながリビングのテーブル席に座ってお父さんの修行の話しを聞いた。
私たちよりも強くなることと元々詠唱が得意だったことから、私たち以上の魔法を教えてもらったらしい。
だから二十年になった。と言っていた。
魔力量は使ったら使った分だけ増加していくが、結局私を越すことはできなかったらしい。
なんでも紗夜ちゃんから譲り受けた魔力だからしょうがないよね。
行く前のお父さんと比べてすごい笑顔が増えたし、何よりも幸せだな。と感じる。
朝食後に沢山食べてしまったけど、昼食お腹空くかな?それと何作ろう?
話が終わった後、そんなことを考えていたのであった。
ついに明日ハロウィン!!どんな物語にするか未だ考え中です!!
明日の11時(pm)にハロウィン物語かいつも通りかわかるので楽しみに待っててください!!
ハロウィン物語があるとすればクリスマスも……。
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
目標三月まで!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。