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第76話 頑張れお父さん!!

 「お父さん大丈夫かな?」


 すごい心配した声でサリアが話しかけてくる。


 お母さんは少しにっこりしているが、私とサリアはお父さんが心配。


 紗夜ちゃんは、何も言わずにぷかぷかと浮かんでるし……。


 どうすればいいんだろう……。



 慌てる私に紗夜ちゃんが近づいてくる。


 「まぁ。父親よりも強くなるってことはなんとも言えないのだな……。弟子をとると自分を超えて欲しいという気持ちが現れるが、家族はそうでは無いらしい……。私も結婚しなかったから……。」


 「多分大丈夫だよ。美味しいものでも食べたら忘れてくれるはず!! 今日はとびきり美味しい料理をご馳走するから明日には元気になってるよ……。多分」


 「お姉ちゃん……。」


 お父さんの意識は未だに別空間にあるように一点をを見つめながら、なんとも言えない顔をしている。


 街での魔力測定の時は、すぐにいつも通りになってくれたが今回はどうだろうか……。


 そんな中お母さんがお父さんの元に向かい、肩を叩く。


 「いつまでそんな顔しているの。アリアもサリアもすごい心配しているし、紗夜さんだって困っているんだから元気だしなさいよ!!」


 「……。大丈夫……。元気だよ……。」


 「何言ってるのよ。いつもの元気はどこに行ったのよ。娘たちがあんなに成長しているんだから喜ぶところでしょ。父親としてかっこいいところが見せたいのなら、それ以上の力をつけるしかないでしょ。どうするかは、自分で考えなさい!!」


 「……はい。」


 紗夜ちゃんはなんとも言えない空気を感じて現実との入口を再度作ってくれるので、私たちは急いで入る。


 お父さんに関してはとぼとぼと歩きながらなんとも言えない顔では入っていった……。


 みんなが通り終わった後に謎の空間に行く入口(渦)は無くなったが、私たちにはなんとも言えない空気感が続いている……。


  先程言いたいことを言ったお母さんは玄関に向けて歩き始める。


 私とサリアと紗夜ちゃんも玄関に向かってもいいのだが、お父さんを一人にするのが心配で誰も足が進まない。


 お母さんが言ってた通り、お父さんが強くなれば……。


 あっ。そうだよ!!


 お父さんも紗夜ちゃんに修行してもらえばいいんだよ!!



 なんでこんな簡単なことが思い浮かばなかったんだ!!


 私はこっそり紗夜ちゃんに聞くとお父さんが了承するなら、修行をつけてもいいと言ってくれたのでお父さんの元に向かう。


 いつものお父さんの背中ではなく、負のオーラがまとっている背中に向けて歩いていくのがなんとも言えない感情が私は勇気を出してお父さんに声をかける。


 「お父さん」


 「? すまない。こんな不甲斐ない父親で……。」


 「そんなことないよ!! お父さんはいつも私たちのことを考えてくれるかっこいいお父さんだよ!!」


 「アリア!!」


 私はお父さんの背中に話していたが、突然お父さんが振り向いて顔が見えたが嬉しいような、悲しいような、なんとも言えない顔をしていた。


 「私とサリアも最初は弱かったけど、紗夜ちゃんに修行をつけてもらったから強くなったんだよ。さっきの謎の空間は、こっちと流れる時間が違うからお父さんを驚かせてしまったけど結構頑張ったんだ」


 「ああ。ウサから聞いたよ。すごい厳しい修行だって。それをやり遂げるんだから、俺なんかよりもすごいよ……。」


 「そんなに落ち込まないで!! お父さんさえ良ければ、紗夜ちゃんが修行をつけてくれるって言ってるんだけどどうする? 私たちの魔法を初めて見るとすごい恐ろしいように感じるけど、修行をしているうちにあれが当たり前になってくるからお父さんも何も感じなくなると思うんだけど……。」


 「そこまでお父さんのことを考えてくれたのか……。ありがとな。よし!! いつまでも落ち込んでる姿を娘たちに見せるわけも行かないな!! 紗夜さんお願いします!! ウサや、娘たちよりも強くしてください!!」


 「そうだな。魔力量的にアリアより強くは、難しいと思うかできるところまでやってみよう。それにしても、あのディーロが意地になってやるようになるとはね……。大人になったんだな。」


 「恥ずかしいこと言わないでくださいよ!!」


 お父さんの声から少しやる気と恥ずかしさを感じ、先程の声色と比べ物にならないほどいいものになっていた。


 お父さんの体感では、数十年ぐらいあの空間にいることだし今日はお父さんが好きな料理をお昼ご飯、夜ご飯に用意しないと!!


 お父さん頑張れ!!


 「お父さん、帰ってきたら食べたい料理とかある? あの空間では、健康に気を使った料理だからカツ丼とか食べられないから。」


 「そうなのか……。そうだな。カツ丼を用意してくれ!疲れた体にはやっぱりカツ丼を補給しないとだからな。」


 「わかった。今日のお昼ご飯はカツ丼にするよ。夜ご飯は帰ってきてから教えてね。多分あの空間で何年も修行することになって精神的にも辛いと思うけど、私はお父さんの味方だから。」


 「サリアもサリアも!! お父さんの味方!! 頑張って!!」


 「ありがとう!! 行ってくる!! 紗夜さん疲れているところ、すみませんがお願いします!!」


 「もちろん。今の私はあの頃と比べ物にならないほど厳しいから覚悟しとくように。」


 そうして、紗夜ちゃんが謎の空間を出してお父さんと紗夜ちゃんが入っていく。


 こっちの世界では、数秒後に多分お父さんは帰ってくるだろう。


 家族に会えない寂しさにかられると思うので、私たちはこの場で待つことにする。


 お父さん。紗夜ちゃん。頑張って!!


 こちら側の謎の空間が無くなったので、お父さんの修行がスタートした。


 毎回謎の空間に入ってる側だったから、すごいドキドキする。


 紗夜ちゃん曰く一年が数秒との事だったけど、本当なのかな?


 そんなにすぐに帰ってきたら、なんとも言えない感覚になりそうだよ。


 私とサリアは少し距離が空いているので、サリアに向かって歩いている最中に、また謎の空間の入口が現れた……。


 早すぎだろ!!


 本当にあっという間だ。


 それで、数年分……。


 この魔法覚えたら、化け物育成しまくりだね……。


 紗夜ちゃんは、エルフだからできるとも言ってたし……。


 謎?


 「お父さん帰ってき」


 「ただいま!!」


 「まだ言い終わってないのに!! お父さんおかえり!! それにしても、早すぎだよ!! お父さんたちはいつもこんな感じだったの?」


 「ほんとだよ!! お父さんおかえり。」


 お父さんは私たちに向かって歩き進め、私たちを抱きしめた。


 私は恥ずかしいと同時に、もしあの空間で紗夜ちゃんと二人っきりだったら家族に抱きついていただろうと思った。


 おかえり。お父さん。


 「もう。恥ずかしいよ。それに、暑いよ。お父さんもういいでしょ!!」


 「もう少しだけ。結局二十年ぐらい会えなかったんだから、今はこのままいさせてくれ……。」


 涙声になっているお父さんの声を聞いて、私たちはお父さんを抱きしめる。


 今まで家族といるのが当たり前だったのに、突如二十年も家族と会えないのは心が避けそうなほど寂しいだろう。


 私だって、お父さんと久しぶりに会った時はすごい嬉しかったし抱きしめようかと思った。


 でも、状況が状況だったからね……。


 感動の再会を邪魔したあいつらは一生恨むことにしよう。


 「さすがに娘の前で泣く訳にはいかないね。よし!! お母さんにちょっとあってくる!! 二人はここで待ってて。お母さんと会うと泣きそうで恥ずかしいから」


 「お父さんったら。」


 私とサリアはお父さんの発言に笑うとお父さんも嬉しそうに笑った。


 今まで笑った姿はよく見たが、その中でも一番と言っていいほどの笑顔。


 私たちから離れたお父さんは玄関に向かって歩き出したので私はもう一度、あの言葉をお父さんに向けて言う。


 「おかえり。お父さん。」


 お父さんは歩きながら鼻水をすすり、手を顔の方に持っていっていた。


 その後、すぐにお父さんの姿が見えなくなったので私とサリアは紗夜ちゃんとお話をしてお父さんとお母さんを待った。

今回は家族の物語です!!

心がホットになりますね!!

最近冷えてきたので、こういう話で心から温めたいです〜



【お知らせ】

 また毎日投稿始めます!!

 目標三月まで!!


 最後まで読んで頂きありがとうございます。

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