第70話 追い出せパーティーズ!!
「おっ、今から帰るのか?」
「まだ帰らないんですけど、少し教えて欲しいことありまして……。」
「?」
門番のおじさん(人族)はすごい不思議そうな顔をしている。
私たちがはぐれてしまったことでも考えているのだろうか?
おじさんは、検問の石に触りながら私たちに話しかける。
「それで、教えて欲しいことってなんだい? あまり役に立てないと思うが。多分ギルドの方がまともな返答が貰えると思うぞ。」
「いや。そうではなくて、お父さんが帰ってきているか聞きたくて。」
「そうそう。お父さんのこと!!」
「お父さんこないだ一緒にいた旦那のことか。それなら、いまさっき帰ってきたぞ。なんか嬉しそうな顔をしていたから、いいことでもあるんじゃねぇえかと思ってな。それと、今は勇者様がいらっしゃるだろ。その事かと思ったが、お嬢ちゃんの事だったとはな。人族からすると勇者様が来てくれるだけで、嬉しいんだよ。人族はすぐに舐められるからな。」
「そうだったんですね。ありがとうございます。それと気になったのですが……。やっぱり大丈夫です。」
「? お姉ちゃん?」
「もしかして、この門番が人族だけでやってることか?」
「……。はい。なれられると言っていたので……。」
「新人冒険者には、よくなめられるな。多分システムを知らないからだと思うんだ。門番と揉めるとギルドに直ぐに報告が行くようになってるんだよ。ギルドでの依頼を受けられなくなったりと、嫌なことが多いからな。大体はそんな事しないんだが。」
「そうだったんですね。ありがとうございます。」
「いいってもんよ。ちゃんと会えるといいな。」
「「はい!!」」
そうして、私たちはこっそりギルドに向かう。
多分ギルドに報告しに行くから出会えるはずだよね。
「お父さんどれぐらいびっくりするかな? どれぐらいかな?」
「驚いて言葉も出ないんじゃないかな。それとも、里のみんなも一緒だから少し恥ずかしくなっちゃうかも!!」
「それは有り得そうね。チーム内では、クールキャラになってそうだからね。」
「お父さんそういうところあるの?」
「そうなのよ。みんなにかっこいいところを見せたいが為にこっそり努力する姿が素敵でね!!」
「そうなんだ!! 楽しみだね!!」
サリアはニコニコしながら、お母さんは少し顔を赤くしながら冒険者ギルドに向かう。
こういう時に、顔を変えられる変身魔法とかあれば便利なんだけど紗夜ちゃんから教えてもらった魔法にはなかった。
ドッキリみたいにできたのに!!
そんなことを思っていたら、想像以上に早くギルドの前に着いてしまった。
多分楽しみで足が進んでしまったのだろう。
「お母さんどうする? ここにいてもバレそうだし……。」
「そうね。さっきから、なんかギルドの中騒がしくない? 何が揉めてるのかしら?」
「確かに。 お父さんも私みたいに変なやつの勧誘受けてるかもしれないから、急いで助けに行こう。」
「そうだよ!! 早く助けに行かなきゃ!!」
そうして、私たちは急いでギルド内に入ると案の定お父さん達はパーティーズと何やら話している。
特にさっきの犬族がお父さんたちと少し揉めてる感じで勇者が止めに入っている。
そんな光景をターロさんはなんとも言えない顔をしている。
ターロさん何やってるんだか……。
「だから、何度というが模擬戦で戦ってくれ!! 疲れているのは分かるが、この街に来るエルフの強さが知りたいんだよ。」
「何度も言っているが、断っているだろう。今日帰ってきたばかりで疲れているんだ。それにエルフは揉めることを望まない。そっちにいるエルフは、違うのか?」
「確かに、エルフは揉め事を起こさないと教えられる。だから、私はしっかりこいつを止めようと勇者様とやっているではないか。もういいだろポシカ。今日のお前はおかしいぞ。」
「おかしくない。それにしても、お前は悔しくないのか。あんなことがあって。だからこそ、腕試しをな。」
「ギルマスはなぜこのような状況でも止めないんだ。これはあなたの仕事ではないのか?」
「それは……。 」
「ポシカ。もういいでしょう。なんとも言いますが、あの事件があった以降あなたの言動は良くないですよ。私はどの街、里などでも良い関係を気づいていきたいのです。」
「それはそうだが、腕が弱ければ進むこともできないだろ。」
「それはそうですが……。」
……。
うん、すごい揉めてるね。
多分犬族、ポシカとか呼ばれているのは、私にかけられた威圧で気絶した自分が許せないんだろう。
だからこそ、エルフに八つ当たりをしてストレス解消するつもりだろう。
他のパーティーズは止めてるし、このままいくとパーティーズ脱退!! などもありえるだろう。
なんでそんなに喧嘩っ早いだろう?
「お父さん!!」
サリアは走ってお父さんの元に向かう。
サリアの掛け声で、みんながいっせいにこちらに振り返りパーティーズとターロさんはなんとも言えない顔をしている……。
この街からパーティーズ追い出そうよ。署名活動でも始めようかな。
「サリア? それにアリアとウサ!! どうしたんだよ。こんなところまで!! 」
「お父さんを驚かせるために来たんだけどね。このパーティーズすごいしつこいんだよ!! お姉ちゃんにもね。すごい話しかけてきて、お茶飲みに行きましょう。とか、パーティーに入ってくれませんか?ってしつこいんだよ!! それでね。あいつがお姉ちゃんに威圧するから、お姉ちゃんがやり返して気絶したの。本当に嫌い!!」
「ちょっと待って。アリアを……。そこの犬族。思い通り決闘を受けよう。一体一でいいか。」
「……。あいつの親だと……。いや。違うんだ。なんというか。その。少し苛立っていただけって言うか……。」
「娘に対して随分良くない態度を取ってくれたみたいにだが、どうしてくれるんだ。娘がトラウマにでも感じたらどう責任取ってくれるんだい。責任取れるのかい?」
「申し訳ございません。私自信が誘いまして。先程もこちら側に完全非がございます。私たちにできることなら何でもしますので、どうか許してくれないでしょうか。」
「そんなことで許して貰えると思っているのですか? さすがにそれはそっちの都合過ぎではありませんか? 娘の気持ちを考えたことがありますか?」
「それは……。」
パーティーズは、皆下を向いてなんとも言えない顔をしている。
勇者自体が、評価が良くない時代に評価を下げる行いをしているのだから勇者たちにとっては非常にまずい機会だろう。
私はトラウマにはなっていないし、何か一つ願いを叶えられそうだし、ここはあの願いを言わなくちゃ!!
「お父さん。」
「? どうしたアリア?」
「お父さんが街で活動してるって話してたけど、この街以外では考えてないの?」
「そうだな。今のところはな。でも、今回みたいな騒ぎがあるとどうしても変えなくてはいけないからな。」
「やっぱりそうだったんだね。さっきの願いなんだけど、あなたたちパーティーズがこの街に近づかないっていうのはどうかな?」
「!! ちょっと待ってくれ!! それはギルド的にもヤバいことになる!!」
「何よ。揉めてる時だって、何にも言えずにボーッと立ってるだけだったのに。少しぐらいは冒険者の気持ちも考えなさい。勇者だからって特別扱いして」
「……。だが……。いや、そうだな。確かにこのギルドのマスターである俺が守るべきだったな……。すみませんが、勇者様一行はこのギルド。いや。街に近づかないでくれませんか?」
「……。分かりました。本当に申し訳ございませんでした。このようなことがないように致しますので……。ありがとうございました。」
「「……。」」
そうして、勇者の後を追ってパーティーズが走ってギルドを出ていった。
パーティーズがギルドから出ていくと、ギルドにいた人々からは歓声が上がる。
ここの冒険者も勇者が特別扱いされていたことが気に食わなかったんだろう。
「よく言ったギルマス!! やっぱりあんたについて行くぜ!!」
「やっぱり勇者なんてごめんだわ!!」
「勇者追い出したぜ!! この街の誇りだ!!」
「酒だ!! 酒を持ってこい!!」
「俺も!!」
「私もよ!!」
「「もっとだ!!」」
活気が戻ってきて少し嬉しそうにするターロさん。
ターロさんは、多分上からと下からどちらとも挟まれているからすごい大変だったのだろう。
今まで私のことを怖がっていたギルド職員もキラキラとした目でこっちを見てるし、これでもう大丈夫かな?
「やったね。お姉ちゃん!! もう会うことないって!!」
「そうだね!!」
私は安心しながら、ギルドの入口を見るのであった。
勇者一行撃退!!
当分現れることもなければ影を感じることもないはずです……。(今のところは)
随分先の展開で、勇者が依頼を受けたはいいが全く帰ってこないので捜索依頼を出す感じの物語を作る予定です(覚えていれば。)
パーティズ達がどんな対応するのかお楽しみに!!
数百話後かもしれませんが……。
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
目標三月まで!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。