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第62話 初めての魔物退治!?

 「到着!!」


 「「?」」


 私たちが到着したのは街から離れた森。


 なりまの森。


 私たちは身体強化をした為すぐに着いてしまったが、本来であれば片道だけで二日かかる距離。


 途中で魔物がいることを魔力で感じ取ったが、森まで我慢ということで避けてきたのだ。


 先程から森の中から魔力があちこちに感じる……。


 ドキドキしてきた!!


 森と言えば転移した時の森だけど、あそこも魔物出るのかな?


 「お母さん。あらずの森でも魔物は出るの?」


 「あそこも出るわよ。でも私たちがいつも転移するところは魔物が出ない魔法が施されているから問題ないのよ。お父さん達が行く時に定期的に魔法をかけているって言ってたわ。あそこはレベルが低い魔物しか出ないからかけられるって。」


 「そうなんだ。里にいる動物と同じぐらいの魔力だから、気づかなかったよ。それにしても、なんかすごいドキドキしてきたよ!! 早く会いたいような会いたくないような。」


 「私も。私も!! ここまでに来る途中までは全然大丈夫だったんだけど、森の前まで来たらすごいドキドキする。それに、魔物の居場所もわかるし。お姉ちゃん頑張ろう!!」


 「うん!!」


 「大丈夫よ。肩の力抜いて。力込めすぎると一瞬で終わってしまうわ。」


 「「はーい。」」


 「それじゃあ森に入るわよ。魔物は、どっちから倒すの? 先に決めとかないとね。一番近くにいる魔物から退治していくから、よろしくね。」


 「どうする? サリアが先に倒したいなら先でもいいし。」


 「お姉ちゃん先にやってよ!! お姉ちゃんが頑張ってる所を見ると私頑張れる気がするんだ!! 頑張って!!」


 「分かった。頑張るね!!」


 「では、行くわよ!!」


 そうして私たちは、なりまの森の中に入った。


 森の中は、あらずの森同様に見渡す限り木。


 だが、少し奥に何本も木が倒れていて、開けている空間を発見する。


 多分大物が暴れたんだろう……。


 大丈夫かな。私。


 私は不安値が上昇しながら、魔物に向けて歩いていく。


 歩いている内に魔物との距離が短くなり、魔物の姿が徐々に見えてくる……。


 ぬえ?



 「もしかして、あれが魔物?」


 「そうだ。初めてがぬえか。ここで説明してもいいのだが、それでは恐怖心が弱ってしまう。実際に知らない魔物を退治することもザラにあるからな。」


 「……紗夜ちゃん!!」


 急に出てきた紗夜ちゃんに驚きながら紗夜ちゃんの説明をしっかり胸に入れる。


 入れると言っても、説明無し。


 しかないけどね……。


 ぬえに関しては少し知識があるけど、あれほど大きいとは……。


 疑似体験では、おとぎ話の存在だったからな。


 私たちから離れたところでウロウロしているぬえは、4メートルぐらいの高さで、横が10メートルあるか。


 ないか。


 レベル……。


 正直いってすごく怖い。


 低級魔法で倒れないだろうというのが一瞬でわかるが、それが試練なのだからしょうがない。


 出てきた紗夜ちゃんを見ると少し安心するかと思ったが、全く安心することはなかった……。


 あちらはまだこっちに気づいていないのが唯一の救いだろう。


 「アリア。私たちはこの辺りから見てるから自分の気持ちができたら勝負をしかけること。初めてで、あの魔物退治は少し酷だがあってしまった以上しょうがない。もしもダメな時はどんな魔法でも使っていいから。頑張れ!!」


 「はい!!」


 「「頑張って!!」」


 私はみんなと離れて鵺に向かって歩き出す。


 正直いって心の準備なんてできていないが、行かないと終わらないし、みんなの期待を裏切る形になってしまう……。


 歩いて鵺に近づけば近づくほど手の痙攣が止まらない。


 心臓がすごいバクバクいってるのも分かる。



 怖い。


 怖いよ。


 ……辞めたい。


 ……助けて。


 気づくと私の足は、止まってしまっていた。


 鵺との距離は、だいたい500メートルといったところ。


 この距離ならあっちも気づくだろう……。


 引き返すなら今しかない。


 でも、引き返せない……。


 相手は威圧を放っていないが、私はすごい威圧を感じて足がガクガクしてきた。


 このままだと動けない。


 もしもバレたら……。



 「ぐぅああああああああぁぁぁ!!」


 「!!」


 そんなことを考えていると鵺が私を見て大声を発する。


 その瞬間今まで以上の恐怖が私を襲う。


 殺される!! とか考える余裕すら与えてくれない。


 ただただ恐怖を感じて頭が真っ白になる。


 鋭い爪で木々を倒しながら鵺はこちらに向かってくる。


 動け私!!


 動くんだ。


 ここで動かなかったら、なんの為の授業なんだ!!


 私に向かって突進してくる鵺に向けて手をかざす。


 何魔法がいいんだろう。


 やっぱり火かな?


 いや、雷?


 それとも氷?


 いや……。


 そんなことを考えていると鵺が急接近あと50メートルほどだろう。


 「アイスフォーガストレタナーレ!!」


 私が目をつぶりながら言い終わると、一瞬にして鵺の周りに魔法陣が大量に現れそこから細長い氷の結晶が一気に放出される。


 鵺が気づき、逃げようとするがそんな隙さえ与えないほどの速さで鵺を突き刺していく。


 魔法陣からは一発だけでなく、十発まで氷の結晶が出続ける。


 そして、もし相手が逃げることに成功しても、どこまでも氷の結晶は追いかけていく。


 耐久性も高いことから紗夜ちゃんがよく使う魔法らしい……。


 本来は低級魔法しか使ってはいけないルールだったが、これは超級魔法。


 魔法にも位があり。低級、中級、上級、超級、王級、神級、ギガ級に分かれている。


 すごい冒険者でさえ、超級魔法が何発か使える程度だが、私は神級まで使える。


 紗夜ちゃんに習ったからね。


 使った瞬間謎の空間にすごいヒビが入っていそいで修復作業に入ったが……。


 氷の結晶が刺さりまくった鵺は、悲鳴を上げたと思ったら、口から血を吐き目を閉じている。


 魔力をかんじられなくなったから、多分死んでいるだろう。


 車は急に止まれないように、走っていた鵺は私に向かって襲いかかってくるが、魔法の最終効果のおかげで突進することなくするだ。


 氷の結晶が刺さりまくった鵺は、私の目の前で大きな結晶ができてその中に閉じ込まれている。


 そう。


 刺すだけでなく、最後は氷漬けにする魔法。


 だからこそ超級魔法なのだ……。


 それにしても怖すぎた。


 私は氷漬けになっている鵺を見て、尻もちを着いてしまった。


 足はガクガクしっぱなしなので、落ち着くまで立てないだろう。


 頑張って立とうとしてみるが、ブルブルと痙攣している腕も言うことを聞かないため、すぐに横たわってしまう……。


 浮遊魔法で、自分の体を浮かせたいが口がガクガクと、痙攣していて魔法すら発動できない……。


 そんな時


 「お姉ちゃん!!」


 「アリア!!」


 「お疲れアリア。」


 声がしたと思うとサリアが倒れている私に抱きついてくれる。


 サリアは私に抱きつくと、「良かった。良かったよ!!」と言いながら泣いていた。


 「鵺を倒したら、お姉ちゃんが倒れて動かなくなるんだもん。すごく怖かったんだからね!! 途中でお姉ちゃんが動かなくなった時に、何かあったんじゃないかって。すごい不安で不安で……。良かった。本当に良かった!!」


 「本当に驚いたわよ。魔力的に大丈夫と分かっていても、急に倒れると心配でいてもたってもいられなくて。どこか怪我とかしてない? 大丈夫? それにしても、いきなり鵺は誰でも怖いわよ。私だって鵺討伐時には、すごい緊張したし、怖かった。冒険者をやっててそうなのだから、最初の魔物だったら、想像もできないぐらい怖いと思うわ……。違う魔物にすべきだったわね……。」


 「そうだね。いくら力があっても、トラウマが付いてしまっては元も子もないね……。昔過ぎて忘れていたが、最初に鵺討伐した時は確かに緊張感凄かったな……。すまないことをしてしまったな……。」


 みんなの話や、サリアの温もりを感じ少し落ち着いてきた。


 手や足は、まだ痙攣しっぱなしだが口はだいぶマシになってきた。


 「二人ともそんなこと言わないで。初めてが鵺で良かったと思うよ。今は怖くて動かないけど、動けるようになった時に鵺を倒せたという自信があるから次の魔物は大丈夫だと思うし、これからもこれ以上の恐怖はないと思うし……。思いたいし……。」


 「「アリア!!」」


 その後私は回復魔法を自分にかけて精神を安定させた。


 魔物討伐時にすれば良かっただろう。 という話になってくるが、あの時にそんな余裕はなかったのでしょうがない。


 少しずつ良くなってきてはいるが、完全に治るってものでは無い。


 これが魔法の弱点でもあるのだ。


 恐怖から逃げる為に精神回復魔法を魔力が続くだけ続けて依存して、魔力が尽きるまで続け死んでしまった方もいたらしい……。



 徐々に体が動けるようになった私はサリアに抱き抱えられながら立ち上がり、サリアの頭を撫でる。


 「もう大丈夫だから。心配かけさせてごめんね。もうお姉ちゃん元気だよ!!」


 「お姉ちゃん……。」


 サリアは、まだ怖いのか涙が止まっていない。


 私はサリアが泣き止むまで抱きしめた。


 「ありがとうお姉ちゃん。もう落ち着いたから。次は私だもんね!! へへっ。頑張るぞ!!」


 「大丈夫サリアならできるから。」


 「うん!!」


 抱きしめながら私の顔を見てニコニコするサリアにもう一度頭を撫でると「えへへ。」 と言いながらすごいにやけていた。


 私はサリアと離れて鵺の目の前に立ってみるが、氷漬けにされてもなおすごい迫力……。


 よく私あの状況で魔法撃てたな……。


 私は魔物を収納魔法に入れて、鵺がいた場所を名残惜しそうに見るのであった……。

ついに魔物退治!!ってことで、勇者との色々あった後に腹をたってどうにかなるパターンも考えましたが、そもそも初めての退治だと恐怖が勝ちますよね……。

って感じでこんな文章感じになりました。

もし実際に力があったとしても、絶対に戦いたくありません。

だって怖いから……。


そう怖いから……。


【お知らせ】

 また毎日投稿始めます!!

 目標三月まで!!


 最後まで読んで頂きありがとうございます。

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