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第6話 長老の所で修行

 はぁ。


 ことりの鳴き声で起きるなんてなんて理想的な朝なんだろうか。


 私は目をつぶりながら理想的な朝を想像する。


 まずはリビングでパンを食べながらブラックコーヒーを飲んで優雅な一時。


 その後はゆっくり本でも読んで、お昼頃になったらどこかでかけて贅沢なものを食べたり!!


 「お姉ちゃん、早く起きてよ!!」


 「……。」


 はぁ。せっかくいい所だったのに!!


 これから、夕食はうさぎ肉を使って。ってあれこれ食べる妄想をするはずが!! 


 ……?


 また金縛り……。


 いや、これはサリアだな!!


 またサリアが私の上に乗ってるよ。


 ほんと、私のこと好きなんだから。


 私はゆっくり目を開けると私の上で寝っ転がっているサリアと目が合う。


 目が合うとサリアは急に笑顔になって満面の笑みで「おはよう!!」と声をかけてくれる。


 その笑顔の眩しさから、今日の日光浴を中止にするか迷ってしまう程に。


いやいや、体内時計を整えるためにしっかりと日光浴はしないと!! 


 「もう起きたから、ちょっとどいて!! サリアが上に乗っかると重いよ。」


 「……。やっぱり太ってきたかな……。こないだお母さんに身体測定してもらったら、身長は同じなのに体重が増えてたんだよ……。お姉ちゃんも痩せてた方がいいよね……。でも、美味しい料理もいっぱい食べたいし。」


 「えっ。」


 見た目的にそんなに太って見えないけど。


 私はそう思いながらサリアのお腹をつまむが別に太っているわけでもなかった。が、気になることはある……。


 そう。


 私には無いこの胸の大きさ。


 なんなのかな?


 姉妹でこんなにも違いが出るものなのか?


 これで言うと調子に乗るから黙っていることにするつもりだ。


 決して妬んでいる訳では無い……。


 そのはず……。


 「最近食べすぎてるから、少しだけ減らせば直ぐに元通りになるよ。」


 「我慢できるかな?」


 サリアは寝っ転がりながらダイエット方法を考えているので、私はサリアに少しどいてもらい、カーテンを開けて日光浴をする。


 そういえば、この日光浴で体内時計が整う。という知識は疑似体験でつけたものだ。


 昨日紗夜ちゃんにこういった知識は疑似体験だから偽物なのか?と聞いたところ、この世界でも通用する知識との事だった。


 では、何故私は疑似体験で紗夜ちゃん以外の友達ができなかったのだろうか……。


 深く考えるのは辞めとこう。


 ちなみに私とサリアのパジャマは、小さな猫ちゃんが沢山書いてあり、とっても可愛いデザインである


 猫ちゃんの背景が私が水色でサリアはピンク色。


 こんなに可愛いパジャマで寝るんだからいい夢の一つや二つ見してくれよ。


 そんな感じで日光浴を終了し、顔を洗った後にリビングに向かう。


 「おはよう」


 「「おはよう」」


 お母さんは、可愛いカエルのエプロンを着用しながらご飯の準備。


 お父さんは観葉植物に水をあげていた。


 なんでも、お母さんが着ているエプロンはお父さんからのプレゼントらしい。


 何故かお父さんはお母さんにプレゼントをするものはカエルが描かれていることが多い。


 なんでなんだろう?


 てか、サリア一緒に着いてきてないじゃん!!


 多分私の部屋で寝てるな。


 お父さんはこれから仕事らしい。


 仕事は里の安全確保や、里外に出て魔物を倒してギルドでお金に換算するといった異世界やゲーム感満載な職業だ。


 ソロプレイではなくチームプレーで動くそうなので、何かあっても大丈夫。


 「もうすぐ朝食できるからサリア呼んできて!!」


 「はーい」


 私は入れてもらったお茶を一口も飲まずしてサリアを起こしに自室に戻った。


 「いつまで寝っ転がってるの!! もう起きて。お母さんが朝食できるって」


 「えー。もうちょっと。」


 「ほら、わがまま言わないの。お姉ちゃんが連れていったあげるから」


 「はーい」


 そう言いながら行動しないので、腕を引っ張って洗面台に行った後にリビングへ。


 もちろん寝ぼけている妹のために顔をふくタオルを出すのも姉の立派なお仕事だ。


 全くお姉ちゃん感をここまで出すことになるなんて予想すらもしてなかったよ。


 「おはよう」


 「「おはよう」」


 顔まで洗ったのに眠そうな声。


 リビングには、コッコの目玉焼きとキノコソテーと山菜の炒め物と食パン……。


 エルフの里でお米を食べたことがないけれど、エルフの里にはあるのだろうか?


 疑似体験では、毎日のようにお米を食べていたから食べたくてしょうがない。


 お米でお酒とかも作れるらしいので、作っていないのなら是非作って欲しい。


 その前にこっちの世界の最高のおつまみを知らないとね。


 本日の食パンは里内のパン屋さんでまとめて買っているものだ。


 出来たての食パンを食べたことがあるがふわふわでもちもち。


 いつでも食べたいレベルで美味しい。


 「「いただきます」」


 まずはコッコの目玉焼きを一口。


 うん。


 疑似体験時の卵の目玉焼きと一緒。


 あちらの世界では、醤油派やは ソース派などで争っていたけれど、我が家(現実)は皆何もつけない派。


 そもそも、パンに乗せて食べることが多いからしょうがないよね。


 そして、こっちのキノコソテー、山菜の炒め物も、もちろん美味しいが……。


 やっぱりこのおかずならご飯だよね……。


 毎日どこかしらに白米を食べていた生活だったから、食べない生活を味わうのが少し苦しい。


白米の大切さをもう感じるとは……。


 恐るべし。


 お父さんが、お仕事で里外に出たら、帰りにお米があるかチェックしてもらわないとね!!


 あと、疑似体験時に食べたあれが……。


 そんなことを考えながら食べているといつの間に全部食べ終わりおなかいっぱいになっていた。


 もっと味わって食べればよかった。



 「「ごちそうさまでしたあぁぁ」」



 私は食器を台所まで運び、着替える為に自室に戻る。


 なんと今日から長老のところの修行に出ることになった。


 昨日旅がしたいなら学校に行くという話になったが、学校に行くには長老の推薦がなくてはいけないのだ……。


 はぁ。


 不安で押しつぶされそうだよ。


 そもそも、引きこもりだった私が外出用の服を持っているわけが無い……。



 クローゼットよ。


 クローゼット。


引きこもりだで同じ服しか着なかった私が外に出かけてもおかしくない服はあるかい?


 そう思いながらクローゼットを開けると見たことが無い服が何着も並んでいた。


 多分お母さんが買ってきてくれたのだろう。


 お母さんが買ってきたであろう、外用の服(上はワイシャツみたいな感じに下は黒い長ズボン……ほぼ学生服。)に着替えて準備完了!!


 「今日から修行だけど、気分はどう?」


 「全然気分が乗らないよ。疑似体験時の記憶が濃いから本当に魔法が使えるなんて想像ができないからね。」


 「私の魔力も譲渡したから、暴走しないようにだけ注意して。暴走するとさすがの長老でも厄介だからね。」


 「魔法がどんな感覚か分からないけど、頑張ってみるよ。」


 私はリビングに戻り、サリアの着替えを待つ。


 「今日から長老のところで修行するって言ってたけど気をつけるんだよ。魔力は体内で暴走することもあるから」


 「分かった。ありがとう」


 お父さんは少し心配そうに声をかけてくれた。お母さんは、楽しんできて!! と笑顔で声かけてくれる。


 「お母さん。水筒!!」


 「もう用意してるから、2人とも持っていってね」


 「「はーい」」


 サリアがリビングに戻ってきた瞬間に水筒の確認をするとは……。


 なんて優秀な妹なんだ!!


 水分不足などが原因で熱中症になり疑似体験を終了させてしまった私とは大違い……。


 なんて頼もしいのだろう。


 「「行ってきます!!」」


 「行ってらっしゃい」


 行ってきます。いってらっしゃい。を言えるって本当に幸せだな。


 疑似体験では、一人暮らしだったから家に帰っても1人っきり。


 だからこそ、今まで当たり前に感じる事がどれだけ幸せなことなのか。と感じる。


 他に感じることといえば……。


 サリアのTシャツだよね……。


 なんでカエルのイラストが描かれているのか……。


 お母さんといい、サリアといい、私たち家族はカエルの呪いでもかけられているのか?


 私とサリアは手を繋ぎながら里の裏庭に一緒に出かける。


 歩く度に隣で胸が揺れていて、鬱陶しい。


 決して羨ましくないんだからね。


 「お姉ちゃんは、初めてだから魔法のコントロールからだと思うよ!! 一人一人に合わせて指導してくれるから大人気なんだ!!」


 「何人ぐらいが受けに来るの?」


 「私たち入れて4人だよ」


 「……」


 大人気とは……。


 長寿であるエルフは繁殖力が少なく、子供が余りいない状況が当たり前だと思っているサリアだからこそそう思うのだろう。


 疑似体験時なんて、クラス40人が4クラスもあったのだから。


 しかも一つの学校で。


 市町村レベルになれば1000人近くはいるのでは……。


 そう考えると本当に少ないな……。


 もしかして、引きこもり民族が多いのか?


 「お姉ちゃんまた変なこと考えてるでしょ。長老の訓練は2、3年すれば卒業!! って感じだから人数が4人なんだよ。しかも、全員私より年下だし」


 「……」


 ただ里の状況を知らず、想像力が強いだけの存在になってしまいました……。


 ほんと口に出さなくて良かった。


 サリアにお姉ちゃん変なの。って絶対言われたよ。


 危ねぇ!!


 そもそも、この里何人ぐらいいるのかな?後で調べとこっと。


 私は年下しかいない上に、歳上である私が初登校というなんとも言えない気持ちになりながら里の裏庭に到着。


 そこには長老の他に男女1人ずついた。


 2人とも小学生を、感じさせるような小ささ。


 もちろんカエルの服ではない。


 二人は猫の服を着ている…。


 もしかして……



 「これで全員揃ったな。今日から一緒に勉強するアリアとサリアだ。仲良くするのじゃよ」


 「「はーい」」


 「……ん?」


 なんて可愛いお返事なのだろうか?


 幼稚園児を眺める為だけにボランティアに行くほどだった私からすると幸せな時間。ってそんなことを考えてる場合では無い!!


 長老の言い方だとサリアも初めて来たみたいじゃん。


 私がサリアにアイコンタクトを取るとウインクしてきた……。


 そうじゃない!!


 私がどうなっているのか整理整頓していると、長老が私達の所に向かってやってくる。



 「 二人とも今回が初回だから、まずは魔法について説明する。魔法というのは体内に存在する魔力を使って自身の強化だったり、火などを出すことだ。使えば使うほど精度が上がったりするから我々エルフは重宝されている。そもそもエルフが魔法の」


 長老、話長いよ!!


そんな長い話が二時間も続き、最初は聞く気満々だったサリアも途中から欠伸をして眠そうな顔になっていた。


 「って感じで魔法は大事なのだ。わかったかな?」


 「「……はい」」


 「すまんすまん、話しすぎてしもうた。次回からは実践だから今日みたいな動きやすい服装で来ておくれ。人数が増えて孫たちも気合いが入ってるみたいだから、負けずに頑張っておくれ」


 「「はい」」


 やっぱり、長老のお孫さんだったのか。


 だから猫。


 長老の家のコップも猫だったし、長老家では猫が大ブームみたい。


 それにしても羨ましい!!


 私も猫が大好きなのに家で流行っているものはカエル。


 別にカエルが嫌いという訳では無いが家の中がカエルだらけになってしまったら、なんとも言えない気持ちになる。


 そのうちカエルを飼おうとか言わないよね……。


 カエルには、癒し効果なんてないと思ってるし、マジで猫派の長老宅が羨ましい!!


 「では、今日はここまで!! また明日も遅刻せずに来るんじゃよ!!」


 「「はーい」」


 ここで解散!! と思いきや、長老のお孫さんが話しかけてきた。


 「お姉ちゃんはサリアお姉ちゃんのお姉ちゃんなの?」


 「全然似てないけどどうなの?」


 「そうだよ。お姉ちゃんはサリアのお姉ちゃん。アリアって言うんだよ。君たちのお名前は何?」


 「私はマーサ」


 「僕はラッサー」


 なんて可愛いのだろうか。


 このまま家に持ち帰りたいぐらい。


 サリアも十分に可愛いけど、これぐらいの年齢の子は見てるだけで癒しになる。


 長老が羨ましすぎる!!


 こんなにもかわいかったら、ついつい猫のTシャツとかあげたくなってしまうよ。


 マジで共感!!


 私が2人を可愛げに見ていたのが気に入らないのかサリアは、少しほっぺたを膨らませている。


 「今日はもうおしまい!! 質問は明日受け付けるから、お姉ちゃん帰るよ」


 「えっちょっと!!」


 「「ばいばーい」」


 サリアに手を引っ張られて自宅に帰宅する羽目に!!


 もしかしてヤキモチ妬いちゃったのかなぁ?


 家でも結構べっとりだり。


 もしかして、シスコン?!


 まぁ〜こんなに可愛い妹に嫉妬されるのなら別にいいけどね。


 「お姉ちゃんは私のお姉ちゃんなの!! 2人のお姉ちゃんではないんだから気をつけてね」


 「はーい」


 ほっぺたを膨らませたまま言うサリアはなんて可愛いのだろうか?


 こんなに可愛い妹に嘘をつかないとと考えると少し心が痛い。


 長老の修行とは別に紗夜ちゃんが修行をつけてくれることになっているのだ。


 私たちは、裏庭から自宅までゆっくり話しながら帰った。


 「「ただいま!!」」


 「おかえり〜」


 お父さんの声がしなかったからもう出かけてしまったのだろう。


 いってらっしゃい が言えなかったのは少し寂しいなぁ。


 家に帰ると手を洗いリビングへ。


 お母さんがいる状況で出かけないと絶対にサリアはついてきてしまう。


 でもその前に休憩!!


 今日から実践だと思ったのに二時間も話を聞かされたから少し疲れた。


 冷蔵庫を開けるとお茶とお水、それに見たことの無い液体があった。


 「お母さんこれなに?」


 「これはね。苦り茶。良薬は口に苦しというように、非常に苦い代わりに傷を癒してくれる効果があるのよ。お父さんがいつ怪我して帰ってくるか分からないからね。」


 「そうなんだ。」


 さすが、お母さん。それにしても、私の両親仲良すぎだと思うだよな。


 結婚して100年ぐらい経っているのに未だにラブラブだし、本当に運命の相手って感じなのかな?


 昔は私もいつか。って思う時期もあったけど、そんな時期は一瞬で終わってしまった。


 今は、疑似体験時にテレビで不倫問題や高年齢離婚とか見ちゃったから結婚したくない欲が強い。


 そもそも、両親みたいに何年経ってもラブラブな家庭が珍しいと思うし。


 ほんと、二人の娘に生まれて良かったと改めて実感したのであった。


 そんなん感じでゆっくりしていたら、紗夜ちゃんとの修行時間になってしまった。


 お母さん任せたよ!!


 「お母さん。ちょっと出かけてくるね。」


 「お姉ちゃんどこ行くの?」


 「それはね……。」


 お母さんにウインクで助けを呼ぶが、なかなか助けてくれない。


 サリアなんて、私のことずってみてどこにも行って欲しくないような目で訴えてくる。


 「お姉ちゃんはね。ロボットさんと訓練してくるんだよ。」


 「お母さん?!」


 慌てて家中響き渡る声を出してしまった。


 内緒にするはずが、堂々と妹に暴露したら誰でも驚くだろう。


 紗夜ちゃんのことは内緒だよって本人から言われてるはずだし……。


 さすがにお母さんがそっち側に立ったら対応できないよ。



 …………紗夜ちゃんごめんね。



 心の中で紗夜ちゃんに謝罪したのであった。

少し前に初めてコンタクトを目に入れましたが、無意識に眼球が拒否して動きまくる!!そのせいでコンタクトを入れるのに時間がかかるし、入れ終わったら目が真っ赤になってるしでほんとに大変……ちょっとずつ上手くなってると思うけど、未だに拒否反応が辞められない……


【追加】

長老の孫娘 マーサ

長老の孫息子 ラッサー


【今後の予定】

10話に達するまでは1日1話公開予定!!毎日0:00に公開します。 その後は水、土曜日に更新予定です。

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