第51話 みんな大好きホットケーキ!!
「乗せていくね。何が変なことがあったら、言ってね!!」
「わかったよ。」
サリアはフライパンの中にホットケーキの元を注ぐ。
私と同じような形になるように頑張っているが、伸ばしすぎて少し薄くなってしまっている。
「サリアもう少し分厚くした方がいいと思うよ。」
「分かった!!」
サリアは、鍋からホットケーキの元をさらに注ぐ。
注ぎながら、私の顔を見てOKか確認してくるが、こっちを見るんじゃなくてフライパンの方を見てよ!! とツッコミそうになってしまった。
実際に、火を使っているから火傷問題発生するからね。
そのショックでホットケーキ所ではなくなるから気をつけてね!!
私がOKサインを出すとサリアはニコニコしながらおたまを鍋に戻す。
「OK!!」
「うん。次は蓋をするんだよね。蓋をしている間に膨らんでぷつぷつするんだよね。」
「そうだよ。気になる気持ちはわかるけど、しっかり我慢して待ってるんだよ。」
「はーい。」
そう言いながらサリアはフライパンに蓋をしてお皿の準備をしている。
さっきの私と違いちゃんと準備がいいね。さすがサリアだ。
私たちは待っている間に、どのフルーツが合ったかなどを話している。
「もうそろそろ見てみようか。」
「うん。あっ。ぷつぷつなってる!! それに、さっきよりもふっくらなってる。ひっくり返すんだよね。だよね。失敗しないか不安だよ。」
「大丈夫。失敗しても、修正できるから。それに、サリアならできるよ。頑張って!!」
「そうよ。初めてなんだから、失敗しても全然大丈夫よ。しっくり返してみましょう。」
「頑張る!!」
サリアはそう言うとヘラを両手に持ってホットケーキの下にヘラを入れる。
タイミングを見計らっているのか、小声で「今。今。」と言っている。
そして、「よし。」と言った後にホットケーキをひっくり返した。
綺麗にひっくり返すことに成功してサリアはすごいにっこりした顔で、私たちの顔を見る。
「見てよ。成功したよ!! 初めてなのに成功だよ!! やった!!」
「サリア跳ねちゃダメだからね。それにしても、綺麗な焼き色ね。味が楽しみだわ。」
「おめでとうサリア。綺麗にひっくり返せたね。焼き色もいいし、すごい楽しみだよ。」
「えへへ。」
サリアは照れながら蓋をする。
蓋をして少し落ち着いたタイミングで、お母さんが私たちに上手くひっくり返すコツを聞いてくる。
言葉で説明するのが難しかったので、私たちは「気合いで!!」としか言えなかった。
お母さんは少し困っていたが、「頑張るわ!!」と言ってくれたので、成功して欲しい。
「そろそろいいんじゃない?」
「蓋開けるね!! 楽しみ♡」
「おお!! 見て、ちゃんと反対側もいい色になってるよ。もう完成だよね。だよね。」
「そうだね。時間的にも完成だよ。もしも心配だったら、箸とか刺してみて、生地がくっつかなかったら完成だよ。」
「えー。お箸で刺しちゃうのヤダな。完成でいいや。完成!!」
「「ぱちぱちぱちぱち」」
私たちは拍手をしている間にサリアがお皿の上にホットケーキを乗せる。
今回はサリアが一人でトッピングしたいと言ったので任すことにした。
サリアはお皿の盛り付け方が上手いから安心だ。
サリアのトッピングも終わり、サリアが一口サイズにホットケーキを切ってくれる。
「食べよう!! 食べよう!! さっき食べたけど、もうお腹ペコペコだよ。」
「そうね。サリアが初めて一人で作った料理なんだから、すごい楽しみだわ。食べましょう。」
「食べよっか。」
私たちはフォークでホットケーキを刺し、お互いに目で合図を送って一緒に食べる。
初めのひと口なので、今回もフルーツや生クリームなしだ。
「ん!! 美味しい!! サリアが作ってくれたからさっきよりもより美味しく感じるよ。」
「どっちも同じぐらい美味しいわよ。二人の娘に料理を作ってもらえるなんて本当に幸せだわ。それに美味しいものを食べて幸せだし。なんていい日なんだろうね。」
「もう。二人とも褒めすぎだよ。お姉ちゃんが合図くれたから美味しくできたんだよ。これなら、一人でも頑張れば作れそうだね。あっ。でも今度もみんなで一緒に作りたいな。」
「そうね。次回もみんなで作りましょう。」
「賛成!!」
その後も私たちはホットケーキを食べていった。
お母さんが焼く時は私の合図なしで一度やってみたいと言ったので合図を出さなかったが完璧に仕上げていた。
もちろん味も美味しくて、つい食べ過ぎた。
私たち三人でホットケーキ6枚を食べた時点で今回は終了にすることに。
枚数的にお父さんの分とパン屋のパラナーレさんご夫婦の分が無くなるからだ。
お父さんとパン屋ご夫婦には二枚ずつ焼いてあげることに。
サリアは焼きながらすごい食べたそうにしていたけれど、しっかり我慢できていた。
「今度また作ろうか」と言うとすごい喜んでくれた。
もちろんお母さんもだ。
「それじゃあパン屋さんに行こうか。」
「「うん。」」
「レッツゴー」
「「レッツゴー!!」」
私たちは家を出てパン屋さんに向かった。
お皿の上にホットケーキを乗せてしっかりとデコレーションもされてある。
途中で里の子供に見られると食べられてしまいそうなので、お母さんの空間魔法で収納済み。
空間魔法は時間が経過するらしいので早めにパン屋に届けないと生クリームが溶けてしまうので少し早歩きで向かう。
早歩きで行ったおかげもあって、すぐに着いた。
「いらっしゃいませ!! もしかして、持ってきてくれたんですか?」
「そうなのですが、裏で渡す感じでいいですか? ここでは、パンを買いに来た子供たちがいますので……。」
「ありがとうございます!! では、こちらへ。」
私たちはシノさんの後をついて行ってパン屋の2階に行く。
2階はご夫婦が暮らしている部屋になっている。
お母さんが小声で話してくれたおかげで子供たちも気づいた様子はなかった。一安心。
「では、こちらです!!」
「これが、ホットケーキですか!! この白いものはなんですか?! 初めてみますけど……。」
「これは生クリームだよ。すごい甘くてふわふわで、口の中でとろけちゃうんだよ。1度食べちゃうとね。止められなくなっちゃうんだよ。気をつけてね。」
「そんなに凄いのですか……。今食べてもいいですか? 気になってしまって。」
「どうぞ食べてください。」
そうして、シノさんはフォークを取りに行って戻ってきた。
フォークで生クリームをすこし続くと小声で「柔らかい。」と言っていた。
その後にフォークに付いた生クリームを口の中に入れる。
「ん!!」
サリアが何か話そうとしたので私はサリアの口を急いで抑えた。
せっかく味わっているんだから、話しかけるのは我慢だよ。
私が小声でサリアに注意すると、分かってくれた。
「本当に生クリームなんですか。この甘さ。このとろけ具合。この固形。私の常識が壊れていきます。こんなに美味しいものがあるなんて……。」
「おまたせって、もう食べてるし!! 子供たちが買い終わったから一時的にクローズにしといたからゆっくり食べられるぞ。しっかりフォークも持ってきたからな。それにしても、ありがとな。」
「いえいえ。こちらもドライイースト貰いましたので。」
「それにしても、このパンみたいなのがホットケーキか。初めて見るが上にかかっているのはなんだ? あのこれはバターか?」
「かかっているのはシロップです。砂糖と水を煮詰めたものです!! 甘くてホットケーキにすごく合います!!」
「そうなのか。 ってか、さっきから何食べてるんだ? その白色は?」
「生クリームよ。甘くてすごい美味しいから早く食べてみて。」
「分かった。……ん!! なんだこと美味さと甘さ。そして、口の中でとろける感覚!! パンにすごい合いそうじゃないか!!」
「そうなのよ。」
「もし良かったら、教えてくれないか。この生クリームを使ったメニューを考えたくてな。」
「わかりました。ホットケーキが食べ終わった後に料理の説明などしますのでそのときでいいですか?」
「ああ。それと子供が敬語なんて使わなくていいぞ。ウサにも言ったんだが、もう直らないみたいだからな……。今からでも試してみるか?」
「いえ。これが癖みたいなものですので……。」
「分かり……。分かったよ。」
「いいね。それにしても、料理の説明の時はアリアだったが、これはアリアが考えたのか?」
「こないだ街に旅行しに行った時に買った料理本に乗ってまして……乗ってて。それで作ってみたくなって」
「そういう事か。次はこのホットケーキを食べてみるか」
「そうね。」
そうして、パラナーレさんとシノさんはホットケーキを一口サイズに切って口に運んでいく。
「「ん!!」」
2人ともすごい驚いた顔をしている。
生クリームよりも反応がいいのは、こっちがドライイーストを使っているからだろうか。
二人は何度ももぐもぐして、すごい味わっている。
「美味いな……。うちのパンよりも……。」
「そうね。美味しすぎるね……。」
「「……。」」
なんとも言えない。
パンの種類自体が違うので比べるものではないと思うが、それだけ感動しているのだろう……。
その後は私たちのことを気にせずに夢中でホットケーキを食べていた。
しっかりと生クリームを付けたりフルーツと一緒に食べていたので安心した。
その間にお母さんが小声で、家で今の言葉で書き直したレシピをあげても良いかと聞いてきたので了承した。最初から教えるつもりだったからね。
「美味しかった。一瞬で終わっちまったな。」
「そうね。」
「これがホットケーキのレシピです。」
「これが……。」
「生クリームはね。お砂糖を入れてすごい混ぜると完成するんだよ。ボールを裏返しても落ちないぐらいがいいんだって。ね。お姉ちゃん」
「うん。」
「それだけなのか? たったそれだけの材料でこの味を出せたのか?」
「そうだよ!! 生クリームすごいでしょ」
「凄すぎる……。新作が出来上がったら一番に持っていく!! これがこうであれが……。」
「すみません。こうなってしまったら、止められなくて……。」
「いえ。私たちもここら辺でお暇しますので。何かあったら、いつでも声掛けてください。」
「ありがとうございます。」
「ありがとうな。」
私たちはそうしてパン屋さんを出た。
そこからパン屋は、休業日が続いて里のみんなが困っていた。
材料が沢山あるのか一歩も出なかったらしいわ……。
私たちは家に着くとリビングで、今日のホットケーキの感想を言い合いながらゆっくり過ごしていた。
もちろんお父さんのホットケーキは、残してあるのでご安心を……。
自分で作ったホットケーキは、格別ですよね!!
サリアが作ってくれたホットケーキをみんなで食べましたが、こののんびりする感じがたまらないです!!
これからものんびり日常ばかりになりそうです……。
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
目標三月まで!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。