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第4話 久しぶりのうさぎ肉

 両親は家中に響き渡る声で、私の名前を呼んでくれる。


 今まで見た事がないような焦りの顔、額の汗が私の視界に映る。


 「安心せい、こっちに座っておる。」


 「「ありがとうございます!!」」


 両親は慌てながら私の目の前まで歩いてくる。


 私は二人の顔を見ると安心して泣き出しそうになるが、グッとこらえて謝罪シュミレーションを必死に思い出す。


 うん。大丈夫なはず……。


 ヤバい泣きそう。


 長老夫妻に見られていることもすっかり忘れて、近づいてくる両親の顔を見ながら鼓動が早くなっていく。



 「申し訳ございません!!」



 最終奥義土下座!!



 土下座したものの、二人の顔が見れないのでどんな表情をしているかが全く検討がつかない。


 それどころか、額を地べたに強く押し付けることで泣くことを耐えている。


 そんな私に暖かな温もりが感じられる。


 「無事でよかった。」


 「ほんとに無事でよかった。」


 少し顔を上げると、お父さんとお母さんが私に抱きついてくれてた。


 その瞬間今まで我慢していたものが一気に解放され、私は声を荒らげて泣いてしまった。


 「ごめんなさい。ごめんなさい。」


 「アリアが無事で何よりよ。」


 「本当に良かった」


 「ありがとう。」


 私は疑似体験では感じたことがないほどの家族の温かさに気づき、これから大切にしていくことに決めたのであった。


 こんなに幸せな家族がいてくれて私は幸せだ。


 しばらく私たちが抱き合って私がわんわんと泣いているとお父さんが


 「それにしてもアリア。全く出かけることがなかった子が1週間感もいなかったから、村中のみんながどれだけ心配したことだか!!」


 「ごめんなさい。」


 「まぁまぁ無事に帰ってきたことだし、説教はなしにしましょう。」


 「ウサがそういうなら……。」


私はお父さんとお母さんの顔が見れるように少しだけ抱きつく強さを弱め、唇を噛んで一時的に必死に涙を我慢してある言葉を両親に言う。

 

 「お母さん、お父さんただいま」


 両親揃って唇を噛み涙を堪えていた。


 お母さんは、小声で「おっおかえり」と満面な笑み。


 お父さんは嬉しそうに「おかえり。」と言ってくれた。


 それを見ると私は再度泣き出してしまった……。


 ありがとう。お父さん、お母さん。


 「アリアちゃんも帰ってきたことだし、ささ、みんなでお茶でも飲んで行って」


 長老の奥さんクラキさんはそう言うと、家族と同じぐらい温かいお茶を出してくれた。


 体が温かくなると心が温かくなるとよく言うが、こういうことかと実感した。


 長老の家のマグカップは全て猫の模様が書かれていてなんだか癒された。


 疑似体験時に猫を飼う方が多かったが、こういう気持ちなのだろうか。


 私たちは長老のご宅で少しゆっくりしたのに自宅に帰ることになった。


 「すみません。何から何までお世話になりました。」


 「ありがとうございました」


 「気ににするでない」



 長老夫妻に挨拶を終え、自宅に帰宅。


 その間に涙は止まり、あの頃を思い出して少し恥ずかしくなってきた。


 玄関に入るやいなや、両親と妹は私のことを抱きしめてくれる。


 私は恥ずかしさ、嬉しさ、温かさを感じながら3人に対して抱きしめた。


 「ほんとに無事に帰ってきて良かった。」


 「ほんとに、毎日アリアが帰ってくる夢を見ていたから、今が夢みたいだよ。夢じゃないよね?」


 「もう。お父さんったら!! お姉ちゃんもうどこにも行かないでね。帰ってきてくれてありがとう。」


 「うん。」


 こんな幸せな時間がいつまでも続いて欲しいと心から願ってしまった。


 疑似体験時では、あまり家族時間が取れず、自分自分となりがちだったが、こんなにも家族の存在が大きいとは……。


 これからの人生家族を大切にして生きよう。


 私たちはリビングで家族で団欒をした後に夕食をとることになった。


 「今日は、アリアが帰ってきた記念日だから、アリアが好きなキノコとうさぎ肉のステーキパーティーにするわよ!!」


 「「やったー!!」」


 キノコステーキパーティーとは、多種のキノコをステーキの形に切り、ホットプレートで焼く料理。疑似体験で言うことろの焼肉みたいな料理だ。(キノコバージョン)


 エルフの里の食事は野菜類を中心に作られるものが多く、メニューも疑似体験と比べられないほどあるのだ。


 キノコだけで数千種類、それが近所で手に入る。しかもほぼタダ!!


 お得すぎ!!


 それプラスお肉。


 疑似体験時では毎月ウサギ肉のビーフシチューを食べるほど好きだった。


 これはこの世界での好みがそのまま受け継がれているのかもしれなかったな。


 今後ビーフシチューも作ってもらわないとね!!


 「うさぎ肉どうしたの?」


 「森から出て散策しようと思ったら、珍しくうさぎがいてね。しかもこちらに気づいていなかったのよ。そこでお父さんが弓矢でスバっと。一撃で仕留めてね。お父さん。うさぎが仕留められたから、運を使ったって言って悲しんでたのよ。今日は見つけられないって。うふふ」


 「ちょっそれは内緒だって」


 「そうだったわね♡」


 エルフの森に住んでいるうさぎ達はスピードが早く、危機管理能力が高くあまり捕まえられない激レア食材!!


 誰かの誕生日に食べるぐらい豪華な食材なのだ。


   お母さんが夕食の準備をしている間にお風呂に入る為、1度自分の部屋へ。


 我が家は木造建築(エルフの家は木を想像させるような家づくり)2階建て。


 2階の奥の部屋が私の部屋。


 部屋には多くの図鑑が入ってる本棚、ベッド、観葉植物がある。


 そんな部屋を懐かしいな。といい気分に浸っていると、


 「感動的な再会だったね。こっちまで泣きそうになってきたよ。本当に申し訳ないことをしたと感じたよ。ごめん」


 「……うん」


 今までどこに隠れていたのか?


 急に出てきたロボットの紗夜ちゃん。ぷかぷか浮かぶ姿がなんとも言えない。


 「えっ。待って。姿を消すことができるの?! そんな魔法聞いたこともないよ。えっ。」


 「年の功ってやつだな。そんなどうでもいいことは忘れて、家族の素晴らしさを改めて感じさせてもらったよ。」


 「今まで家族のことをあまり気にしないで我が道を行くタイプだったから、なんか変な感じがするよ。これからは家族のことを大切にするつもり。こんな私を大切に思ってくれるんだから。」


 「それはいいね。それと、急で申し訳ないが私のことは黙っておいてくれ。亡くなった方が急に現れたらさすがに怖いし、機械化したことだってほぼまぐれみたいなものだから、真似したいとか言われたら困るから。」


 「分かったよ。」


 それもそうだ。


 こちらの世界にはゾンビの存在があるのか分からないが、ほぼソンビと会うなんて恐怖。


  それにしても、ほぼまぐれみたいな魔法を自分にかけるなんてやっぱり紗夜ちゃんはおかしいんだよね……。


 ここツッコ厶と永遠に話が終わらなくなるからしないけど……。


 「それと今後の私たちの予定だけど、私としてはアリアと色んな場所を回って旅をしたいという願望がある。今まで一人だった上に研究ばかりであまり外の世界に触れなかった。これでいいや。と思っていたが、アリアと出会って少し考えが変わってね。どうかな? 家族と会いたかったら転移魔法でいつでも戻れるし、検討してみてくれる?」


「うーん。」


 正直魅力的な話だ。


 疑似体験時に読んだライトノベルや漫画出みたような世界を実際に歩きながら感じられるんだから。


 魅力的だが、家族時間を大切ちしたい気持ちの大いにある。


 転移で戻ってこれるって言ってたし、大丈夫かな?


 「わかった。一緒に旅しよっか。落ち着くまでは家から通う感じになるけど、大丈夫?」


 「全然大丈夫だ。」


 「ありがとう。」


 「旅先で色んな地酒が飲めると思うから楽しみにしときな。アリア好きだったでしょ。」


 「それはいいね!!」


 地酒はいいね。


 その時の空気、水などを感じながら楽しめるからね。


 こっちではまだ未成年だから飲めないんだよね……。


 今度こっそり飲んじゃお。


 そういえば、湧水を売りに出してるあの地酒美味しかったな。


 それと、あのお酒も……。


 ってお風呂に入るんだった!!


 洋服洋服……。


 紗夜ちゃんさすがにお風呂は一緒に入ってこないよね……。



 「紗夜ちゃん。これこらお風呂だけど着いてこないでね」


 「……分かったよ」


 「絶対ダメだからね!!」


 なち今の間……。


 もしかして、一緒に入るつもりだったのか?


 さすがに仲がいい友達だとしても、これは別!!


 裸の付き合いとよく言うが、私は否定はの人間だからね。


 そもそも、機械が入ると壊れると思うし、防御魔法か何かを展開する予定だったのか?


 そんなことを考えながらクローゼットから洋服を選んで脱衣場に向かう。


 服を脱ぎ浴場に向かい、ドアを開けると檜のいい匂いが飛び込んでくる。


 体を洗わずに檜風呂に飛び込みたい欲が半端ない。


 しかし、1週間も入っていなかった臭い状態で入ったのなら次の人からクレームが出てしまう。


 旅館のお風呂のように檜風呂の端からお湯が出ている。


 マーライオンからお湯が出てくる温泉に憧れていたから、違和感半端なくなってしまうが変えてしまいたい!!


 我が家にはシャワーがないため、桶でかけ湯して頭、体を洗ってゆく。


 疑似体験では、黒髪だったがこの世界では金髪。相変わらずなれないな。


 この透き通るような美しさに、今まで感じたことがないほどのサラサラ具合。


 ツヤも半端ないし……。


 それにこの肌もすごいな。


 このぷにぷ肌!!


 赤ちゃんを思い浮かべるぐらいのぷにぷに具合……。


 本当にすごいな。


 私は目の前の鏡を見ながら、両手でほっぺをつい何度も触ってしまう。


 気持ちぃ!!



 お待たせしました。


 ついに、檜風呂へ。


 エルフの里の結界に入るような緊張感!!


 また右足からゆっくり入れていく。


 「あちぃ」


 少し暑いぐらいがちょうどいい!!


 体の芯まで温まりそうだ。


 そして、もう片方の足も入れ肩まで浸かる。


 「ああ!!最高すぎる〜」


 もはや言葉に表せないほどの幸せを感じる。


 全身の力が抜けて体が溶けていくような感覚。


 ああああああああぁぁぁ。


 いい湯だな。


 これから毎日入るって考えると幸せすぎて死にそう……。


 私はしばらく檜風呂に浸かりながら幸せを噛み締めるのであった。


 「お姉ちゃんもうすぐ夕飯出来るから上がってきて!!」


 「はーい」


 最高のお風呂タイム終了!!


 体を拭き着替えリビングへ



 !!


 高級旅館の夕食を感じさせるような、盛り付け方!!


 これを食べると考えただけで、ヨダレが……


 「さぁ食べるわよ!! みんな席について。焼き始めちゃうからね!!」


 「「はーい!!」」


 私が初めに食べたのは、うさぎのサイコロステーキ。


 口に入れるだけで、旨みが口の中に広がり、噛めば最高の肉汁。噛めば噛むほど、お肉の旨みも溢れ出てくる。


 疑似体験でもここまで美味しいお肉を食べたことがない。


 「美味しい〜」


 「今日取れて良かったよ。」


 「お姉ちゃん美味しいね。」


 「いっぱい食べてね」


 次は、焼きしいたけ!!


 これは焼肉の時も必ず頼んでしまうメニュー。途中で何度も挟んじゃうんだよね。


 こちらの世界でもレモンをかけて食べるのだが、今日取り立てなだけあって新鮮で、キノコ汁がすごい溢れてくるし、分厚くて美味しい。


 なんて幸せなんだろう。


 私はそんな幸せな時間をゆっくり過ごすと、お腹がいっぱいになり眠くなってきた。


 いつもはこの時間に眠くならないから、疲れも出たのかな?


 「もう眠いから今日はもう寝るね。おやすみ。また明日」


 「ゆっくり寝て、元気な顔しっかり見えるのよ。」


 「元気が一番だからな。」


 「お姉ちゃん。おやすみ!!」



 食べてすぐ寝ると牛になると言うが、そんなの関係ない。


 そのまま部屋に戻ると無意識にベッドに倒れ込む。

結局長老の名前は出ず!!今回は、過去最大文字数!!普通だったら1話目で最長を出すと思います。(10話内ぐらいなら)

今回は、服装だったり室内の風景とかを書くのに力を入れました!!マジで難しい!! 読んだだけで全てが想像できるような文章にできるように頑張ります。

【今後の予定】

10話に達するまでは1日1話公開予定!!毎日0:00に公開します。 その後は水、土曜日に更新予定です。

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