第28話ついに冒険者ギルド
「あれが冒険者ギルドだよ。」
「あれが……」
「大きい!!」
冒険者ギルドは、家四つをくっつけたぐらいの大きさで、よく分からない旗が掲げあげられている。
冒険者ギルドと聞くと、異世界感が半端ない。
これは疑似体験時に読んだライトノベルの影響だろう。
ずっとこっちに住んでいたら、ドキドキ感が半減したと思う。
私たちは、冒険者ギルドの中に入るが、そこにはゴツゴツで強そうな大人から杖を持って細身の子。
そして、ありとあらゆる種族が見える。
私たちは、ギルドの入口で感動していると
「おいそこ邪魔だろ。さっさとどけ。後ろつっかえてんのが見えねえのか?」
「……はっ」
私は後ろを振り向く余裕もなく急いで端にズレる。
端にズレると鬼族と犬族のガッチリしている冒険者たちが中に入ってきた。
鬼族は、顔がピンク色で一本角が生えており、犬族は疑似体験のブルドックを思い浮かべる顔をしている。
冒険者からの第一声があんな感じだったので正直いって早く出たいし、恐怖でドキドキが止まらない。
私は少し下を向きながらサリアの手をギュッと握った。
「すまないね。通路を阻害しか事はこちらに非があると思うが、そこまで言わなくてもいいのではないか?」
「疲れているとは思うけど、あなたたちだって始めてくる時はドキドキだったはずよ。」
「あん?」
「やんのか?」
まさかのお父さんとお母さんが反撃に!!
その気持ちはわかるけど、明らかに私たちが悪いから、怖そうな人に喧嘩売らないで!!
二人の方が心配だから!!
私がどうしよう。と思っていると手がギュッと握られる。
サリアを見ると今にも泣きそうな顔で「お姉ちゃん」と寄り添って来る。
「エルフだからって調子乗んなよ!!」
その瞬間鬼族の方が背負っていた鬼棒を手に持ちお父さんに降り掛かってくる。
その間に犬族は私たちに見えない移動し、気がつくお母さんに近づき拳を顔狙って放とうとしている!!
私たちが声をあげようとした瞬間、二人は床に転がっていた……。
たっているのはもちろんお父さんとお母さんだ……。
何があったのか?
私たちの声が響き渡る頃には、冒険者ギルドがざわつき出した。
「あいつらが一瞬で……。」
「化け物か……。」
「おいあのエルフ見た事あるぞ。よくギルドに来るエルフ連中の中のひとりじゃないか?」
「それほど高難易度をやってる訳では無いし、ランクも低いものしかやってないはずだよな」
「どうなってるんだ?」
驚いているのは私達だけではなく、ギルドにいる冒険者もだったみたいで、先程からああでもないこうでもないと言いながら騒いでいる。
お父さんとお母さんは、やっちまった。みたいな顔をして私たちのところにやってくるが、どう接したらいいか分からずに、突っ立ってることしか出来なかった。
「はぁ、馬鹿やったアイツらが悪いだろ。そもそもエルフに手を出すとか、馬鹿じゃねえのか?」
そう言いながらギルドの奥から鬼族がやってきた。
先程見た鬼族よりも身長が高い上に、筋肉量が圧倒的に多い。
見ただけで、圧倒的な圧力を感じるほどだ。
「久しぶりだなウサ。相変わらず乱暴みたいだな。結婚相手決まったから辞めるって聞いた時は驚いたが、本当にいるとはな」
「久しぶりね。ターロ。あなたの方針が悪いからこんなギルドになっているのではないかしら?」
「よく言うぜ。こっちとら、頑張ってもクソみたいな連中が増えるだけの仕事をしてるんだから、少しは気を使え」
「はいはい。」
「「……」」
先程出てきた超高圧的な鬼族は、お母さんと仲良さそうに話しているけど、誰なんだろうか?
私たちがお父さんの顔を見ると、お父さんも驚いた顔をしていて、全く状況が読めなくなった。
知り合いじゃなかったの!!
「こっちが旦那のディーロで、この二人が私の愛する娘。アリアとサリアよ。」
「そうか、よろしくな!! そこのエルフがここまで強かったなんて思ってもいなかったぜ。いつも低ランクばっかりやってるから、怪しさはぷんぷんだったけどな。」
「すみません。高難易度ですと、家に帰れなくなってしまうで、受けられないんですよ。それにしてもギルマスは、ウサと知り合いだったんですね。」
「ギャハハ。言ってなかったのかよ。こいつとは元々一緒のパーティーを組んでたんだよ。鬼族は、寿命が長いからって組み上がって。エルフ程でもないがな。ギャハハ。」
ターロさんは、どこか懐かしいような嬉しいような表情を浮かべながらギャハギャハ言っている。
そういえば、長老が前にお母さんが一時的に冒険者だったと言っていたが、その時の仲間だろう。
こんな強そうな方と一緒に冒険に出られるとは、安心しそうだ。
私は安心しきった顔で、ターロさんを見る。
それに気づいたのか、
「なんだお嬢ちゃん。もしかして、惚れちまったか?ごめんな。奥さんいるんだわ。諦めてくれ。ギャハハ。」
「いえ、そんな感情で見てませんので、大丈夫です……」
「連れねぇな。そっちの嬢ちゃんは、元気がねぇな。何が食ってきな。」
「私たちの娘をいじめないの!!誰があんななんかに惚れるか。それよりも、倒れてるのをどうにかしてくれる?」
「はいよ。」
ターロさんが、ギルド職員を呼ぶと倒れている二人を奥まで運んで行った。
運ぶ時も、「適当でいいから運んどけ」とギャハギャハと笑っていたのが印象的……。
ほんとにこんな笑い方するんだな……。
落ち着く私に対して、サリアは少し強ばっている。
「サリア?」
「お姉ちゃん!!」
サリアは、私を後ろから抱きしてめきて、隠れてしまった。
社交的なサリアがこんなことをするなんて思ってもしなかったから少しあたふたしてしまった。
多分だけど、他種族を初めて見て、それでもってあんな高圧的な態度を取られて怖かったんだろう。
「嬢ちゃんすまなかったな。最近調子に乗ってるのは知っていたが、ここまでするような奴だとは思ってなかった……。完全にこっちの不手際だ。申し訳ない。」
ターロは、言い終わるとサリアに向けて頭を下げた。
お母さんとお父さんは、頭を下げるとは思っていなかったみたいで驚いている。
私は優しい方で良かったという安心感で、力がだんだん抜けてきた。
「大丈夫です。怖かったけど、今は安心感の方が強いです。ありがとうございます。」
「そいつは良かった。せっかく来たんだし、楽しんでいってくれ。」
私の後ろに隠れていたサリアは少しだけズレてターロにぺこりとお辞儀をする。
それを見たターロさんは、gooと親指をたたてにっこり笑った。
「ごめんね。予めギルドについて、説明しておけば良かったんだけど、つい忘れてて……」
「俺もだ。もう大丈夫だからな。」
二人は心配そうに声をかけてくれたが、そのおかげで私たちは安心して笑顔になれた。
街遠足は、まだまだ序盤!!
あんなやつを忘れるぐらい楽しんでやるんだから!!
私たちは、まだ入口付近にいたので、私たちは登録をするために受付に向かう。
その時に、ターロも何故か一緒に受付に行くことに……?
そして、受付に着くとターロも立ち止まる……。
「どうしてターロまで止まるのよ。もう終わったんだから、中に入って手続きでもやってればいいのに。」
「そういうなって。冒険者登録するんだろ。せっかくだから、どれぐらい魔力を持ってるかとか見たいと思ってね。なんと言ってもあのウサの娘だから、期待の新人だからな。ギャハハ。」
「そもそも、身分証のために作るだけよ。ギルドで仕事はしないわ。」
「それでもいいんだよ。期待の新人登場!!となればギルド内でも盛り上がるだろ。そうすれば、冒険者たちのやる気が上がって、残ってる依頼もすぐに片付くからな。楽しみだな。ギャハハ。」
「はぁ。」
お母さんは、ため息をつきながらターロさんを見て、呆れている。
お父さんは、お母さんとターロさんの会話を羨ましく見ているが、私の視線に気づくと何も無かったかのような顔に一瞬で入れ替えた。
もしかして、ヤキモチ妬いてるところを娘に見られたくないのか。
私は、お父さんにそんな可愛い一面があったと知って、少し嬉しい気持ちになって。
「さて、立ち話もここらへんにして、登録すっか。ミラ持ってきてくれ。」
「はーい。」
さっきまで受付で座っていた犬族の可愛い女性が後ろに行って水晶と謎の木の板を持ってきた。
なんでも、水晶で魔力を測り、木の板で得意な属性などを調べたりするらしい。
ここで、職種を選ぶ方も多いとかなんだかと、ミラさんから説明を受けた。
「では、どちらからやりますか?」
「私からやる!!」
「では、水晶に手を置いてください。」
ピシッと手を提げたサリアが、水晶に手を当てた瞬間、水晶の上に数字が出てきた。
数字には150と書かれているが、基準値が分からないからどうなんだろう……。
「150ですか!! 若いのにこの数字とは……。150……」
「150だって!! すごいのかな? どうなの?」
「ギャハハ。150なんて、新人冒険者が出せる数字じゃない。さすがウサの子供だな。ギャハハ」
「すごいじゃない。もっと勉強頑張るのよ。」
「俺の時よりも、上じゃないか……。すごいな」
感心しているお母さんに対して、少し驚いているお父さん。
あっ待って。
私紗夜ちゃんから魔力貰ったから、やばい事になるんじゃないのか……。
下手すれば水晶が木端微塵になるのでは……。
私はドキドキしながら、サリアの後ろに並んでいると、「次はお姉ちゃん!!頑張って」と励ましてくれた……。
どうしよう。
私は、オドオドしながら水晶に触れた瞬間、水晶にヒビが入って数値が出なかった……。
「「えっ?」」
先程まで、ニコニコしていた両親でさえ驚愕のあまり口がポカンと空いている。
ターロや、ミラさんも言葉が出ていない……。
「ギルマス……。これは……。」
「ありえない……。こんなことがあって……。いや、故障していたに違いない……。」
「「アリア……」」
ミラさんがオドオドしながら、後ろに行って新しい水晶を持ってきた。
「こちらにかざしてもらってもよろしいでしょうか?」
「はい。」
先程と違って、一歩線を引いている感じがする。
私を見る顔も、化け物を見ているような感じで見てくるし……。
私がもう一度水晶に手を当てると今度は水晶が真っ二つ……。
どうしよう。
こんなの絶対におかしいし、紗夜ちゃんいるんだから、制御とかしてよ!!
さっきから、化け物みたいに皆見てくるしって!!
ミラさん白目むいてる!!
マジでヤバいって、これ!!
ターロさんも、顔引きつってるし……。
お父さんとお母さんは、もはや白目むく一歩前だし……。
みんなの光景に、どうしていいか分からずオドオドしてしまう。
「お姉ちゃん?大丈夫?」
「えっあっうん。」
唯一無事なのは水晶のことをあまり知らないサリアのみ……。
マジでどうしたらいいの!!
私は頭をがかけて天井を見るのであった。
今回の旅行が終わったら、大幅に飛ぶ予定です。流石にこの魔法を覚えます。とか、この料理作ります!!を365日分書くとそれだけで1000話とか行くことになりますし、同じ話をループ状態になるからです。
冒険がメインで書き始めたのに、未だ届かず。
冒険との間に学校編もあるので、半年ぐらい飛ばすって感じですね。
その後の予定はほぼ未定なので、どうなるかお楽しみに!!
それと、今日から少しの間毎日投稿をまた開始します!!お楽しみに!!
【お知らせ】
また毎日投稿始めます!!
いつまでかは未定です!!
最後まで読んで頂きありがとうございます。