第224話 ミアの里……
「なんだ、この慌てようは……。」
「実は、他の里が魔王の襲撃にあってると連絡があってな。一時的に俺たちが出陣することになったんだ。出陣と言っても人命救助だが、魔王がいる所に行くんだから最低限の準備をして大忙しってわけだ。それに、転移をするのにしても馬鹿みたいに魔力を食うだろ。だから、なるべくまとまって出陣となったから、さっさと準備して行くぞ!! 2人には申し訳ないが、お母さんとお父さん、そして、イアを連れていくからな。絶対に無事に帰ってくるからいい子に待ってて」
「やだ!! サリアも行く!!」
「サリア、ここは大人の意見を聞いとくべきだよ。私たちじゃあ足手まといになるだけだ」
「そんなことないもん!! だってサリアすごい強くなったもん!!」
サリアは少しほっぺを膨らませながら真剣な目で訴えて来るが、こればっかりは受け入れられない。
「確かにサリアは強くなったけど、精神面はどう? 魔法で強化できたところで途中出来れたり、魔王がキャンセル魔法とか使えればその時点で足手まといになっちゃうでしょ。それで誰かが怪我をしたり、誰かが亡くなったりしたら、立ち直れないよ。」
「……。うん。」
「ごめんね。2人とも。お母さん達少しだけ頑張ってくるから。大丈夫。絶対に無事で帰ってくるわ。約束」
「絶対だよ!! 絶対だからね」
「そんなに心配しないでも、俺たちは強くなりすぎたからな。アリア、サリア、この里は任せた。」
「「うん」」
サリアは目をうるうるさせながら私の腕に抱きついてきた。
私はサリアの頭を撫でると頭を寄せてきた姿を見て、お父さんの仲間がコホン。と咳払いをした。
「話はすんだか? もう行くぞ!!」
「そういえば、どこの里なんですか?」
「言ってなかったか? ミアの里だ」
その言葉を聞くとお父さんの表情が一気に変わり、緊張感が走る。
お母さんはお父さんの顔を見ながら心配な目をしてるし……。
一体その里に何があるのか……。
「おっおい!! 早く行くぞ!! あそこには両親がまだ住んでるはず!!」
「あなた!!」
「村長の家の前にもう集合済みだ。行くぞ!!」
「行ってくるわね!!」
「「行ってらっしゃい!!」」
お父さんたちは慌てて村長の家に向かい、しばらくすると魔力を感じなくなったので転移したのだろう。
魔力感知でわかるが、里に残っているのは子供か戦闘をあまりしない人々、そしてご老人だ。
でも、村長の魔力がないので村長も向かったのだろう。
そもそも、里は外部からの侵入を防ぐために里に結界が貼られているので、外からは魔力感知ができても気づかれないようになっているはず……。
一体魔王はどうやって里の中に入ったのか?
考えれば考えるだけ、疑問が浮かび上がる。
その場で考えていると、サリアに腕を少し引っ張られ、サリアの方を見る。
「お姉ちゃん、1回おうちに帰ろう。なんかサリア寂しくなってきちゃった……。」
「うん。そうしよっか。」
とりあえず、1回に家に帰って落ち着くか……。
色々考えていた私だが、家に着くと緊張の糸が切れたのか疲れがどっと来て、リビングで座ってのんびりしようと思っていたがそのまま寝てしまった。
次に目を覚ました時は、太陽の日差しが窓から差し込んできた時だった……。
なんでリビングで寝て……。
あっ。お父さんとお母さん!! まだ帰ってきてないか……。
魔王からの人命救助と行ってもさすがに直ぐに終わるとは行かないよね。
もし、私がこないだ会った魔王なら、逃げる余裕なんてほぼない。
早く無事に帰ってきて欲しいな……。
はぁ。
私はため息を着きながら辺りを見渡すとサリアも隣で寝ていたので頭を撫でる。
サリアも相当心配してたからな……。
本当に早く帰ってきて欲しいな……。
!! もしかして、これはお父さんとお母さん、イアさんの魔力!! でも、知らない魔力が……。
「サリア、起きて。お父さん達帰ってきたよ!!」
「えっ……。」
サリアが寝ぼけながら返事をするさなか、家のドアがガチャリと空いた。
「「ただいま〜」」
「サリア!! 迎えに行くよ!!」
「帰ってきた……。あっ!! お姉ちゃん!! 早く行くよ!!」
寝ぼけていたサリアだが、状態が分かる急いで起き上がり、私と一緒に慌てて玄関に行くが、そこには、両親、イアさんとそして、知らない2人……?
エルフであることは確かだけど、両親より少しだけ老けているような顔をしている。
「おお!! これが可愛い孫かいな。こんなことならはっさと戻ってくるんじゃったな。」
「あらあら、そういいながらあっちの生活も気に入ってたんでしょ。」
「まぁあな。」
「孫?」
もしかして……。
「自己紹介がまじゃじゃったな。ディーロの父親のミカイじゃ。」
「そして、母親のミサよ」
「「……。おじちゃんとおばあちゃん?」」
「そうじゃ、そうじゃ!!」 「まぁ、まぁ。」
「って、そんな場合じゃないだろ!! ほんとあんなにボロボロになってたのが回復して孫に会うとなんて言う変わりようだよ。心配したのが損したぐらいだ!!」
「まぁ、まぁ、ここまで元気になってくれたんだから、嬉しいじゃないの。そうそう、2人とも後で色々伝えなきゃ行けないことがあるわ。それまではゆっくりしててね。」
「「わかった」」
「その前に、わしら大人だけで少し話でもするかな。子供に聞かせるのはちと酷な話じゃからな。」
「そうですね。」
ということで、とりあえず2階に上がった後耳に魔力を注ぎ1階での話し声が聞こえるようにサリアとして話を聞いてみることにする。
「あのものがやってきたのは1週間前じゃったかのう? エルフの里なのに迷子の見たことの無いエルフの子供が迷い込んだ。と里で騒ぎになったのじゃ。そもそも、1度入ったことのある里には長老が使える防御魔法に登録されるはずじゃが、そやつは未登録。ちっと怪しいと思っておったんじゃが、まだ子供ということで長老が許ししばらく一緒に里で暮らすことになったのじゃ。わしら大人は何かあるんじゃないか。とふんでおったが、子供は楽しげに遊んでいくもんだから1日、2日と経てばまぁ、大丈夫か。と思ったんじゃ。これが油断だった。そして今日。いつも通り起きて外に出た瞬間里の周りを囲む木々が燃えておったのじゃ。しかも匂いや煙が一切家の中にやってこにいという特殊は魔法までかけられてのう。それでわしらは逃げようとしたタイミングでこないだ助けたあやつが大人の姿に徐々に変わり攻撃をしてきたのじゃ。だが、おかしな事に殺傷能力のない魔法ばかり……。本当にどういうことなのか意味がわからん。それに、転移には長い詠唱に膨大な魔力を使うからなかなか抜け出せなかったのじゃ。唯一使えたのがほかの里との連絡で使う魔法。それで何とかなったと言うわけじゃ。」
「その魔王ってエルフがか?」
「ああ。あれはダークエルフじゃな。ワシは何度か見たことがあるから間違いない!!」
「それにあの魔力はエルフが出せる範囲をこえてるわ。何人束になったところで勝ち目はなく、今回死人0で脱出できたのが喜ばしい程よ。私たちはこのままこっちで家が残ってるからそこで暮らす予定だけど、決して知らない子が入ってきてら油断したらダメよ!!」
「ああ。ありがとう」
「ありがとうございます。」
「それにしても、2人の魔力はどうなっておる? あの魔力量、瞬間的出力。あんなエルフは見たことがないわ。もしかして怪しいことでやってるんじゃないよな。」
「もちろんそんなことはありませんので安心してください!! 私もディーロも一生懸命修行をしただけです!! ねっディーロ」
「ああ。もちろんだ。それに、今回みたいなことが起きた時実際に助けられただろ。大人になっても怠らなかった自分を褒めたいぐらいだ。」
「よく言うのう。昔はぴーちくぱーちく泣いていたのに……。それにあんなに可愛い孫までいて幸せじゃのう!! よし、これからが楽しみじゃ!!」
「いや、娘たちは学園に通ってるからあまり帰ってこないよ。」
「「……えっ。」」
「だから、学園に通ってるから帰ってこないって」
「「えー!!」」
「あんなもんさっさと卒業しちゃえばいいじゃろ!! 本当に学園なんかに通ってるのか?」
「そうです……。」
「本当なんじゃな……。また寂しくなるのう……」
「そうね……、」
それにしても魔王のダークエルフってこないだの……。
私はサリアの目を合わせて頷いたのであった。
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