第221話 お母さんの気持ち
「あっ。お母さん上がってきちゃった。サリアどうする? まだ寝てることにする? それとも何か遊んでる感じにする? どうする?」
私は抱きついているサリアに優しく声を掛ける。
今のサリアは弱々しくどこか砕けてしまいそうな感覚があるので正直このまま抱きついていたいが……。
だが、そんなサリアは少しぎゅっと力を入れた後。
「もう、大丈夫……。大丈夫だよ。お姉ちゃん。ありがとう。」
そういいながら抱きついていたい手を優しく解いて来たので私もそれに応じるがサリアの目は真っ赤に腫れ今でも泣き出しそうな顔をしていた。
サリアはそれを察し魔法で瞬時に元通りに戻すが悲しい顔だけは戻らずそのままベッドに座っている。
私はそんなサリアの頭を撫でてから、ドアを開けるとちょうど2階にやってきたお母さんと目が合った。
お母さんは怒ってる顔をしていなくいつもみたいな優しい顔をしているので先程起きたことが嘘みたいに感じる。
「サリアは? あっ。起きてるじゃない。みんなが揃ったら朝ごはんにしましょう。お父さんはもうお仕事に言っちゃったから久しぶりに3人のご飯ね。お昼はこっそり豪華にしましょうか!! そうだ!! サリアが好きなパンでも買いに行く? 今もホットケーキ人気なのよ!!」
「「うん」」
私たちはお母さんについてリビングに向かうが、何故かいつも見ている背中なのに悲しく小さくなっているように見えた。
私たちが席に着くとお母さんがにこやかに「お待たせ!!」と、いつも作ってくれるお母さん特製のご飯を作ってくれていた。
卵焼きにキノコソテー。そしてお米だ。
私たちが行ったあともお米文化がしっかり根ずいてるみたいだから嬉しい気持ちと大丈夫かな? という気持ちが混ざりあってなんとも言えない感情になる。
「? 2人ともなんだか表情がくらいわね……。もしかして、学園で何か忘れ物でもしちゃったのかしら?」
「それは大丈夫。食べよっか。」
「うん……。」
「?」
お母さんは気づかないまま、朝食が始まったがなんとも言えない空気感が漂う。
お母さんは私たちの前ではいつも通り平然としているが私たちはそんなことにはならない。
このまま別れるとかないよね。などとふと頭によぎってしまい、そこから負の連鎖がぐるぐると頭の中に過ぎる……。
そんな中サリアが箸を起き真剣な目でお母さんのことをみる。
「お母さんはお父さんと仲良くなくなっちゃったの?」
「?! どうしたのサリア……。もしかして、さっきの話……」
「うん……。ごめんなさい。でもね。いつも仲良いふたりが喧嘩するとこなんて見たくないよ……。お母さんとお父さんと仲良く一緒にいたいよ……。もう、喧嘩やめてよ……」
サリアは涙を零しながら訴えるようにお母さんに言葉を放った。
お母さんはその言葉を聴きながら辛く悲しいような表情をしている。
「いつもみたいに仲良い2人と一緒にいたい。また笑いあって。それでまたみんなで旅行して、美味しい物食べて……。そういうことがいっぱいしたい……。お願い……。お母さん!!」
「サリア……」
お母さんは下を向きながらサリアの話を聞き、涙声でボソッとサリアの名前を呼んだ。
呼んだ後唇を少し噛んでいたが、我慢ができなくなりそのまま涙がポツリポツリと流れていく。
私は、今までお母さんの涙なんて一度も見たことがなかった。いつも笑顔いっぱいで、お父さんとイチャイチャしてら仲良いよりどり夫婦。
だからこそ、今回のことが嘘のように思ったし、サリアのように仲がいい2人を見ていたいと感じてしまった……。
本当に、お母さんとお父さんの間に何があったの?
「2人ともごめんね。こんなところを見せちゃって。実はね、こないだお父さんを街まで迎えに行って驚かそうとしたのよ。お父さんかっこいいから、冒険者に言い寄せられたらどうしよう。って考えていたら本当に女性冒険者と仲良く話していてね。しかも2人っきりで仲良く話してそのままカフェで食事まで取っていたのよ。最近は少し寂しそうにしてたけど、それが嘘のように。まるで私と一緒だからあの笑顔が出せない。そう感じちゃったら悲しくなってきてね……。こんな話子供である2人の前でする話じゃないわよね……。ごめんね。」
「そんなことないよ!! お母さんがお父さんのこと大好きなのは昔から知ってるから、そういう気持ちになるのは当たり前だよ!! ねっサリア」
「うん。」
「それでお父さんはそのことに対してなんて言ってたの?」
「それは聞いてないわ……。そもそもそんなこと聞けないわよ。ディーロが仲良くしようがディーロ自身の人生じゃない。でも、ふと思ってしまったの。私と結ばれなかったら、違う家庭を気づきそこで幸せになってしまったのかもしれないって。そう思うと胸がすごい苦しくなって、お父さんの顔を見るだけで心がチクチクしてつい最近言いすぎてしまうのよ……。」
「もしかして、嫉妬?」
「?」
「嫉妬? お姉ちゃんそれ何?」
「大切な人を誰かに取られたくない!! とか、やさしい気持ちを私だけに注いで!! とかそういう感情のことかな? お母さんは今までそういう場面を見たことがなかったんじゃないの?」
「そうね。ディーロだけそういうことになることがなかったわ。」
「だから、お父さんが他の方にデレデレしちゃっとり優しくしてるのが許せなくなって心がムカムカするんだよ。でも、お父さんにそんなことがあったとはね……。」
「でも、やっぱり。仲直りして欲しい。帰ったらお父さんにも聞いてみようよ。お父さんも同じこと思ってるかもしれないよ。」
「そっそうね。1度聞いてみることも大事よね!! うん。今日聞いてみるわ。」
お母さんは少し元気を見せた顔で私たちに笑ってくれた。
それにしてもそんな事情があるとはね……。
お母さんも言ってたけど、他のエルフがいる中お父さんだけって言うのがすこし気になるっていうか。なんというか……。
「あ!! 一回調査して見よっか」
「「調査?」」
「私とサリアで今日街まで行ってどうなってるか見てお母さんにテレパシーで状況を報告するよ。それで解決する問題であって欲しいけど、ね。」
「……。わかったわ。多分16時くらいに街に帰ってくると思うから2人ともよろしくね。多分私が行ったら苦しくなっちゃうから……。ごめんね」
「お母さん何回も謝らないで。悲しい気持ちになっちゃうよ」
「そうね。また元気にご飯食べましょうか」
「うん!!」
その後私たちは朝食の続きを頂いたのであった。
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