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第20話 新たな魔力制御

 私たちは、長老の所で修行した復習をしている間、お母さんは魔力循環を使わない魔法の撃ち方の練習をすることになった。


 「まず、なぜ魔力循環を使わないか。だが、呪いによって魔力循環が出来なくなる場合がある。実際にかけられて、魔法を使えない期間が少しあった。そんな時に思いついたのが、魔力循環をしない魔法の撃ち方。魔法が急に使えなくなると何も守れなくなるし、何も出来なくなることを実感したから是非今回の旅行前に覚えてほしい。最初はなれないと思うが、慣れればこっちの方が扱いやすいと思うから頑張ってくれ。」


 「はい」


 「まずは、考え方を少し変えて欲しい。魔力循環だと、自分の魔力をホースに流して体に流すみたいな感じだが、これだと自分の魔力であって魔力でないと思って欲しい。実際に川からホースを経由して家に水を運んでいる感覚に近い。そうではなくて、自分の魔力なら川に浸かりながら魔力を操作する感覚だと思うんだよ。簡単に言えば、魔力をホースに流すではなく体の一部、そこにあるのが当たり前な存在と考えて欲しい。私はこの考え方で習得できたので、是非やって見て欲しい。何か危険になったら必ず私が助けるから。」


 「……」


 お母さんの頭の上には何個もハテナが浮かんでいる。


 それもそのはず、今まで当たり前だと思っていたことと別のことを考えるようにと言っているものなんだから。


 それに1000年以上慣れているものを変えるというのは少し無理があるだろう。


 「娘たちのためですので頑張ります!!少し時間を貰ってもいいですか。少し自分の中で整理したいので……」


 「わかった。」


 その後、お母さんは一人でブツブツ言いながら、何を教えてもらったか。


 そしてどんなことを変えるべきかをしっかり整理している。


 しばらく経ってから、紗夜ちゃんにもう一回お願いしますといい、もう一度説明してもらっていた。


 「言ってることは理解できましたが、癖で魔力循環をしてしまうかもしれませんので、そうしたら教えてください。」


 「うむ。」


 そうして、お母さんは目をつぶり始めた。



 私たちは、放出系魔法の練習でも、細かいところまで魔力を制御できるかの練習中だ。


 サリアに関しては水と火の魔法が撃てるので魔力制御ができているが、私と同じ工程をしたいとのことでサリアも頑張っている。


 サリアは、一日で風魔法をミスターしたが普通は1週間ぐらいかかるらしい。


 紗夜ちゃん曰くエルフは、魔法の習得が早い体になっているらしいので多種とは比べないように。と言っていた。


 気がつくと1時間ほど経っていたのでサリアと共に休憩することに。


 お母さんは、まだ目をつぶって集中してるように見える。


 時間を忘れるほどの集中力を目にして、お母さんがどれぐらい強いかがよく分かる。


 実際に戦う時は何時間も集中を切らすことなく、周りに目を向けながら戦うらしい。


 後ろに目がないが、小さな魔力を感じて予め行動を読んだりしているらしい……。


 私ができるようになるだろうか……。


 サリアと共にお茶を飲みながらゆっくりしているとお母さんの方から急に強い風が吹く。


 座りながら休憩をしていたが、少しでも気を緩めると倒れてしまうのではないか。と感じてしまうほどの風だ。


 サリアと私はお母さんに目を向けるとよく分からないオーラみたいなものがすごいあふれでていて、すごい波打っている。


 お母さんから出ているオーラは、どこまで続くか検討がつかないほど天高く続いている。


 「サリア大丈夫?」


 「うっうん。お母さんから出てるものって……。あれが魔力なのかな?」


 サリアは少し怖がりながら言った。


 それもそのはず、あのオーラを見るだけで絶対に勝ち目がないと感じさせられるし、近づいてはいけない存在だと体が教えてくれる。


 これ以上近寄れば、風の刃が私たちに向かってくるのではないか。とも思うほどだ。


 私たちは少しづつお母さんから離れていき、今では強い風が吹いてるなと感じるほどで倒れたりする気配は無い。


 「いい調子だ。これが魔力と体が一体化した感覚だ。この感覚を忘れないで欲しい。ここからは魔力制御に入る。このままだとただ魔力を垂れ流ししているだけに過ぎない。これをどこまで落ち着かせるかになってくるが、慌てずに少しづつ落ち着かせようと考えてくれ。一気に落ち着かせると逆に魔力が暴走することがあるからな。魔力が落ちついてきたら波打っているのが無くなってくるはずだ。決して慌てるな。」


 「はい。」


 私たちは安全のためにも魔法の訓練を一時終了する。


 私は火魔法の練習中なので、風が吹いてるところでやれば山火事になってしまうから……。


 私たちが休憩している間もお母さんは、制御に向かう。


 「お母さん。大丈夫かな?これだけの風が来てるんだから魔力も相当使ってると思うし、それに私たちが見てる魔力がどんどん波打ってるように見えるんだけど……」


 「確かに心配だけど、今回ばかしは私たちは何も出来ないよ。お母さんと紗夜ちゃんを、信じて待とう。」


 「うん。」


 私たちは心配そうに見つめているお母さんは、顔から汗が垂れてきている。


 それほど難しくて集中していても、制御するのが難しいのだろう。


 私よりもずっと魔力制御ができていてもこれだけ難しいと考えると私が一体化する頃には、どうなってしまうのやら……。


 時間が経つにつれお母さんから溢れる風も大きくなっていく。


 そんな時にお母さんの周りにあった木がついに耐えきれなくなりこっちに向かって倒れてくる。


 「アリア!! サリア!!」


 お母さんが叫ぶと同時に風が強まり周りの木々も何本も倒れて行く。


 私たちは驚きと想像以上に早く倒れてくる木に何も出来ないでうずくまってしまう。


 木が私たちに当たるギリギリで、止まった……。


 いや。


 防御魔法で使用する決壊のようなものが私たちの前に展開されている。


 「ウサ。集中してくれ。娘たちのことが心配なことは分かるが、私が魔法で守っているので絶対に傷をつけることは無い。このまま精神が安定しない方が大問題になってくる。焦るかもしれないが、今1度集中し直してくれ」


 「でも……はいっ」


 すると少しだけ風がすこし弱くなり、防御魔法の上にある木はそれて倒れていく。


 「良かった……。さすがに死んだと思ったよ……良かった。」


 「お姉ちゃん!!」


 サリアは泣きながら私に抱きついてきた。


 死が目の前に浮かぶと恐怖のあまり泣いてしまうのは当然のことだ。


 私が大丈夫だよ。とサリアを泣き止ませていると突然風が止まった。


 一瞬世界が止まったのでは無いかと思うほどだ。


 お母さんの方に目を向けるとゆらぎがなくなっていて、どこまでも天に続く魔力のみが見受けられる。


 「サリア。もう大丈夫だよ。お母さん成功したみたいだから。だからね。大丈夫だよ。」


 「お姉ちゃん。グスン。お母さん成功したんだね。グスン。」


 お母さんは、集中しているのかそれとも集中をするためなのか私たちに背を向けていた。


 「ウサ。この状態を維持してくれ。さすがに初めてで難しいと思うが、これを維持しなくてはまた魔力風が吹いてしまうからな。」


 「はい」


 そこからサリアは、ずっと私に抱きついたままでお母さんは、魔力制御をしていた。


 1時間ぐらいがたったところで、


 「ウサ。今日はここまでにしよう。感覚を掴めてきたところだと思うが、これ以上してしまえば体に良くない。」


 「でも…………はい。分かりました。あと、解き方を教えてもらってないのですけど」


 「あっ……」


 紗夜ちゃんたまに抜けてるところがあるからね。


 その後しっかりとレクチャーして、お母さんの魔力が見えなくなった。


 見えなくなったと同時に私たちに駆け寄ってきて抱きしめてくれた。


 「ごめんね。私がまだ未熟だからあんな怖い思いさせてしまって。ごめんなさい。」


 「私は大丈夫だけど、サリアが……」


 「おがあざん!!」


 少し落ち着いていた涙が、思い出したのかそれとも安心したのか分からないが大声で泣き出してしまった。


 お母さんは、「もう大丈夫だよ。ごめんね。」とサリアを泣き止ましているがサリアは泣いたままだ。



 小一時間ぐらいだった頃にサリアは、だんだん落ち着いてきて、泣き止んできた。


 「お母さん。大丈夫? 怪我とかない?」


 「大丈夫よ。サリアは、大丈夫? どこも痛くない? もう大丈夫だから、安心して」


 「うん。」


 サリアは泣き止んだが、しばらくそこでサリアをもっと落ち着かせるためにゆっくりした。


 「すまない。最初から説明するべきだった。サリアちゃんごめんなさい。魔法による恐怖は私がいちばん分かっているつもりだったが、それを忘れてしまうとは……」


 「大丈夫だよ。倒れたきた時はすごく怖かったけど今はもっと魔法を勉強して強くなってもう怖い思いをしたくないって気持ちがいちばん大きいから。」


 「ありがとう。」


 その後、サリアは私とお母さんと手を繋いで家に帰ったのだった。

今回は今までになかった展開を作ってみました。魔法だけでなく私たちの身近にある使い慣れた存在もふとした時に怖いものだと思い出させてくれる。そんな感じのお話にしました。


【お知らせ】

今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)


最後まで読んで頂きありがとうございます。


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