第193話 ニーナの修行
「他の生徒もいるから気をつけながらしないとね。」
「ね!! あまり強力な魔法も撃てなさそうだし、魔力循環をずっとしながら対人戦とかでいいんじゃないの? 私たちが合わせれば大丈夫だと思うし。」
「確かに!! いいこと言うね!!」
「えへへ。」
「魔法の練習だけど、対人戦? 身体強化ってことにゃ?」
「そう。対人戦の後に魔力が残ってれば少し離れたところに的作って命中率を、上げる修行もしよっか。」
「賛成にゃ!!」
「まず今まで身体強化した中で1番魔力を込めた時と同じにしてくれる? それに私たちが合わせて体術していくから。」
「分かったにゃ!!」
身体強化はエルフなど関わらず誰でも無詠唱でできるのでほんと重宝されてる魔法だ。
しかも、前衛という魔力の少ない方々でも使えてほんと便利だよね。
私たちみたいに魔力が大量にあればあるほど最強ではないか? と思うかもしれないが、体を鍛えていなかったらボロボロになるので結局前衛の物という感じになってしまってる。
私たちは他の生徒から少し離れたところに移動した後、ニーナの魔力増量を感じそれと同じぐらいの身体強化をする。
「よし、いつでも来ていいよ。」
「本当に大丈夫にゃ? 一応いちばん得意な魔法にゃんだけど……。」
「大丈夫、大丈夫。いつでもいいよ。それと本気でね!!」
「遠慮しないにゃ!!」
ニーナは正直に正面から来るかと思ったが、私に攻撃をする振りをしてそのまま私の後ろに移動していた。
私たちのクラスでも反応できるが遅れてしまうレベルの速さだが、私には問題ない。
目の慣れや、脳自体も紗夜ちゃん色々しごかれたからね。特に脳の処理はダンジョンでサーチとか相当やらされたので問題ないはず。疲れるけどね。
背後で移動したニーナは爪を立てて背中を攻撃しようとしていたが、私は姿勢を低くしながら横にスライドし次にニーナの背中にスライドして移動する。ニーナは攻撃対象が居なくなったことと、腕の視界を利用したので見失ってしまっているはず。
私はそれをいい事に、背中を押すとその反動でニーナは少し吹き飛び空中で回転しながら地面に着地した。
「さすがにゃ。手も足も出ないとはこういうことを言うんだにゃ!! でも、さすがにここまでの身体強化は疲れるにゃ……。でも、やるにゃ!! 強くなるんだにゃ!!」
その言葉を放ったあと少しだけ魔力が増加したのが見えた。
ニーナが構えているのをただ待っていても対人戦の練習にはならないので次はこちらから反撃をする。
「にゃ?!」
私はニーナに向かって突き進むがさすがのニーナも気づき防御体勢に移る。
多分ニーナのことだから私が急展開して横から攻撃したりすると思ってるんだろう。
だが、実際の対人戦は想定以外から攻撃が来ることが多い。
今回はそれを知ってもらうつもりだ。
私は少しジャンプした後に私は反転し頭が下になる形になりながらニーナの肩を蹴る。
ニーナの様子は驚きはしたがしっかりと腕で防御し満足気だがこの攻撃はここで終わらない。
私は足をつかみながらニーナの方に体重をかけバランスを崩す。
「にゃっにゃ!!」
ドン!!
ニーナが転落する直前に防御魔法をかけといたので一切の怪我は無いはず。
私は体を起こしニーナを見るがニーナは驚いて呆気にとられている。
「どうだった?」
「見たことない技だったにゃ……。初めてあんなことされたから何も出来なかったにゃ……。想定以外のこともしっかりと考えないとって勉強になったにゃ!!」
「それは良かった!!」
「次は私が訓練するね!! 次は私が作った的に魔法を当てるの!! もちろん最大限の魔力を込めながらしっかりと的に当てるから結構難しいはずだよ!! 頑張ってね!!」
「少し休憩したあとでも大丈夫にゃ?」
「うん!!」
私は収納魔法から水が入ってる水筒を飛び出しニーナに渡す。
ニーナは相当疲れていたのか一気に大量の水を飲み「プッハー」と喜んでいた。
「それにしてもサリアもアリアみたいなことできるにゃ?」
「もちろん!! 私とお姉ちゃんは一緒に修行したんだもんね!!」
「ね!!」
「すごすぎにゃ……。1日目だけど、普通の授業受けてるよりもきついにゃ……。って他の生徒も少しづつ出てきてるにゃ!!」
「ほんとだ。」
ニーナとの戦闘で気づかなかったが、私のクラスメイトも着替えて何やら校庭で修行をしているみたい。
魔法を出したり私たちみたいに対人戦をしたりと色々だ。
もちろんほかのクラスの邪魔をしないように端の方でしている。
……?
ほかのクラスで私たちのことをよく見てる方がいるがどこかであったことがあるような気がするんだよな……。
どこだっけ?
そんなことを考えているとサリアが私に近づいてきた。
「お姉ちゃん、あの王子が私たちのことずっと見てるよ!! やっぱり気持ち悪いよね!! 王女も生意気だったし私絶対に嫌!!」
さすがのサリアもナギさんにあまり言ってはいけないと言われたからか小声で私に告げてきた。
そうか、あの時も気持ち悪い野郎か。
「大丈夫、何かあっても守るからね。」
「お姉ちゃん!!」
「そろそろ休憩大丈夫にゃ!!」
「あっ。始めるよ!!」
サリアは少し驚いたあと20メートルほど離れたところに木の的を10個ほど作り準備完了となった。
確かニーナって受験の時火魔法を使ってたけど他の属性はどうなんだろう?
「ニーナはどの魔法でうつの?」
「もちろん火球にゃ!! この距離ならそれしか届かないにゃ……。」
「? 他にどの属性の魔法が使えるの?」
「土魔法のストーンフライと木魔法のツリーフライにゃ。ツリーフライは魔力をいっぱい食うからあまり使ってないにゃ!!」
「それならストーンフライでやってみよっか。火球で命中率をあげてもいいけど、他の魔法に苦手意識があると同じように使えなくなるからね。」
「そうなのかにゃ!! だから思った場所にいかないにゃ?」
「そうそう。よし、頑張ってみよっか」
「にゃ!!」
「もうお姉ちゃんったら私が教えるんだからね!! お姉ちゃんはさっき頑張ったんだからゆっくり見てて!!」
「はーい。」
その後ニーナが詠唱を始め、サリアが出してくれた的に向かって魔法を撃つがそもそも届いていない。
先程の疲弊があるせいかもしれないが、魔法を撃つときあまり魔力循環が安定できていない。
サリアは魔法を撃つ時、放たれた魔法の軌道などを見て悩んでるっぽくて未だに気づいてない感じ。
「サリア、1回こっちから撃ってるところ見て見ない? 視点を変えるとわかることもあるって言うからさ。」
「うん……。そうしてみる!!」
私はニーナの斜め後ろに座ってるためニーナ自体もしっかり見えるのでなぜダメなのかがわかったのだろう。
受験の時の火球はそこまでぶれてなかったしやっぱり苦手意識かな?
「お願い!!」
「にゃ!!」
また詠唱が始まり魔法が放たれるが先程とさほど変わらない。
ニーナは思いの結果が出ずに少し落ち込んた感じが見える。
「わかった、わかったよ!! お姉ちゃんありがとうね!!」
「どういたしまして!!」
「ニーナ!! ニーナはね、ストーンフライを撃つ時に魔力循環が安定してないから魔力供給が上手くいけずにいい出力が出ないんだよ!! 次はそこを注意深く確認しながらやってみて!!」
「わかったにゃ!!」
ニーナの詠唱が終わりストーンフライで2個程の小石が出現するが先程よりも遠くに飛ばせることが出来た。
今回は的を目掛けていないのでブレブレだが、修正していけばものにできるようになるだろう。
「?! すごいにゃ!! あそこまで飛んだことがなかったにゃ!! サリアはすごいにゃ!!」
「お姉ちゃんが教えてくれたんだよ!!」
「ここで見てたからきづいただけで、ニーナが頑張ったからここまでできたんじゃない?」
「ありがとうにゃ!! 魔力が無くなるまで練習するにゃ!!」
ニーナは嬉しそうにストーンフライを何回も撃ち最終的に魔力がなくなりその場で座り込んだ。
私は急いで駆け寄り魔力譲渡をしたので少しは動けるようになったが今日は安静にした方がいいね。




