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第189話 王城に行くことになりました……

 「お姉ちゃん、いつ見ても大きいよね!! 子供の頃はこんな家に住んでみたい!!って思ってたんだ!! 今はお姉ちゃんと離れ離れになりそうだから絶対にヤダけどね。でも、そんな所に入れるんだからワクワクが止まらないよ!! お母さんが今度こっちにやってきた時に自慢しよっと!! 絶対に羨ましがるよ〜。」


 「そうね、私が昔王城に入ったことを自慢してたら別にっていいながらすごい悔しがっていた顔をしていたわ。それが拝めるとなると……。その時絶対に呼んでよね!!」


 なんて余裕な会話をしているが、ナギさんの足はガクガクと笑っている……。

 その影響でゾンビが襲ってくるような歩き方になっちゃってるし……。

 Sランク冒険者になるなることを無理やり決定になった私たちはギルマスに言われて王城に向かっている。

 あんなに可哀想な顔をされれば行きたくなくても行かなくてはと思ってつい行っちゃうよね……。


 はぁ。

 ため息をしながら城を見るが相変わらずのでかさ、それになにあの城の入口のでかさ意味わかんないじゃん。

 しかも、城はヨーロッパにある幻想的な白い城で近くに行っても傷のひとつも見えない上に、王都のどこでも見られる城。

 疑似体験を経験したものならワクワクしない理由がない。

 それに、近くに来て分かったが、日本城みたいに城は水に囲まれているのか。

 これもまた風情でいいね!!


 「あっ、見えてきたけど、デカすぎるだよ!! あれって王都に入る入口ぐらい大きいよね……。なんでこんなに大きいのかな? あっ!! もしかして、巨人でも住んでるのかも!! 昔本で読んだことあるもん!!」


 「それはないわ。巨人族はここから遠い場所に住んでるはずよ。それに入口がここまで大きいのは、武器が馬車に乗って送り込まれたり、国王などの特性こ馬車がでかいからだろう。とりあえず、あそこにいる門番にギルドで聞いた内容を伝えて入ろっか。ここに長時間いるとこっちがおかしくなってくるから。」


 ナギさんはそう言いながらさっきよりも足がカクカクと笑いよく歩けているもんだと関心する。

 門番も学園と大違いで、全身金属の甲冑に腰に剣を持ちいつ襲われても対応ができそうだ。それに比べて学園はスーツみたいな服を着てるだけだからね。

 さすが王城。


 私たちは城の入口から伸びている木製の橋を渡って、入口前まで行くと門番に止められる。


 「ここは王城だぞ。なんの用があってここまでやってきた。」


 1人の門番がそう語ってくれるがその影に何人もの門番が待機しているのが視覚からでも判断出来る。


 「私たち王様に呼ばれたからやってきたんだよ!! なんでもお姉ちゃんと私に会いたいって!!」


 「そんなことあるものか。国王は誰でも会えるような方ではない。毎日忙しく民のために働いているお方だぞ!! お前ら冒険者ごときに」


 「もっ申し訳ございません!! もしかして、S級冒険者のナギ様でございますよね?」


 「そうだが。」


 「もしかして、そちらはアリア様とサリア様でございますか?」


 「はい」 「そうだよ!!」


 「うちの門番が失礼いたしました。ささっ私が案内致します。私ここの騎士団の団長を務めてまいります、リーゼ・カロと申します。以後お見知り置きを。」


 私たちは団長が案内してくれるのでその後ろをついて行く形になったが、初めに私たちに話しかけてくれた門番はその場でガタガタと震えていた。

 多分顔が見れたら真っ青だろうが、私たちには関係ないのでほっとこう。


 門をまっすぐに進むと城があるがそこまでの道のりは綺麗に舗装されており、脇道は草が生えそこ騎士団達が模擬戦等をしていた。

 よくあんなに重そうな甲冑であんなに早い身動きができるよね。っと関心していると、騎士団長は何故かキョロキョロと私のことを見だした……?


 「もしかして、私たちの模擬戦にご興味がありますか? アリア様からするとお遊びと思われるかもしれませんが、これでも強いものではAランク冒険者程の実力がございます。」


 「いえいえ、そういうつもりで見ていた訳ではなくて、魔法を使用しないんだなって思っただけです。」


 「そうですね、騎士団では大体が身体魔法しかつかえないものが多いです。私は火属性の魔法が使えるのでそれを囮として使ったりしておりますが、剣術のやり取りが多い分魔法を使ってくる敵には相当苦労します。最近では若い魔法使いを育て新たな部門を作ろうと考えていると国王が仰っておりました。時期に発表になるでしょう。」


 「そうだったんですね……。」


 「はい。」


 すごい迫力で嬉しそうに伝えてくれるが、圧倒されなんとも言えない返事しか言えなかった。

 なんか体育会系みたいな感じで声が大きくすごいハキハキとしているのが伺える。

 部下達も騎士団長に気がつくと一礼を必ずしているし部下にも慕われている……。私と真逆だね。

 コミュ力お化けには一生かなわないからな、なんて考えていると城の中に入っており、そのまま王がいる玉座の前までやってきた。


 「この奥に国王がございますので何卒無礼のないようにお願い致します。」


 「「はい!!」」


 念の為、サリアは敬語を知らないので最低限話さないようにテレパシーを飛ばしといた。

 不敬なことがあれば学園を退学になりこの王都に一生来れなくなるかもしれないからね。


 「失礼致します。ナギ様、アリア様、サリア様をお連れいたしました。」


 「ああ、入れ。」


 「ははっ。」


 国王の声が帰って来ると、玉座前の門が勝手に開き100メートル程離れたところの玉座に王と王妃、そして王女がいたが高そうな椅子に堂々と座っていた。

 まさにRPGゲーを思い浮かぶような感じだ。


 ここでも騎士団長が私たちの前を進んでくれるのでそこにナギさんがついて行き、その後ろを私たちざついて行く。

 ふと後ろを振り向くと勝手に空いたと思っていた扉だったが、内側から騎士団が、開けてくれていたみたい。


 少し進むと騎士団長がこちらで。と言い騎士団長は私たちの斜め左に立ちそこで直立している。

 本当は頭とか下げた方がいいと思うのだが、私もサリアもそこら辺は全く詳しくない。

 ナギさんなら何か知ってるかも!! と思うが、私たちの前で直立しそこから一切動かない……。

 どうしよう……。


 「急に申し立てしてすまない。勇者を助け、その後狂犬化したポシカまで倒し勇者の命を救ってくれた件直接お礼を言いたくてギルドに無理を言ってきてもらった。ギルドから今日の今日行きますと連絡来た時はさすがに驚いたがな!!」


「あらあら、そうですわね。」


「「……。」」


「あまり緊張せずにゆっくり話したいと思っているのだが、ナギは大丈夫だろうか?」


「はっはひ!! このような場を設けてくれてありがとうございます!!」


「私が提案したんだ。それは突然だ。」


「はひ!!」


「そなたらのおかげで勇者は生きて勇者が帰って来れ、しかも今まで以上に修行に励んでおる。心から感謝しておる。そしてナギ、2人を連れてきてくれたこと感謝する。」


「はは!!」「「はい……。」」


「ギルドで話があった通り2人は特別なクエストを受注することはない。だが、何かあった時この王都を守って欲しいと考えている。S級冒険者はどこかの街や王都に留まることが少ないから2人みたいな冒険者がいることを非常にありがたいと思っておる。だからと言って休み期間中に外出するなとは言っておらん。時間が合えば、気がつけば助けて欲しいということだ。他の王にもそのように伝えてあるので問題は起きないだろう。もし起きた時はいつでも頼ってきてくれ。即対応しよう」


「「ありがとうございます」」


「以上だ!!」


「あっちょっと待って!! そこまで強いんだったら私の護衛にちょうどいいんじゃないの? ダメかしらお父様……。」


「「??」」


 今まで一言も話していなかった王女が急に口を開き、キラキラとした目で王のことを見ている。

 私たちの条件的にそのようなことはしないことになっているが、あんな目で娘に見られたどの父親も素直に願いを聞いてしまうだろう……。

 少し不安になっている私たちと少し困っている王。

 そこにひらりと王妃が口を開いたのであった。


 「いつまでそんなわがままを言っているの? 冒険者の方々は私たちのためにいるんじゃないわよ。そのことをいつも言ってるでしょ。民がいて、冒険者がいるからこそ私たちが存在するのよ。その大事な方々が居なくなったらどの国、街も崩壊へと進んでいくわ。そのことをしっかり肝に銘じて起きなさいと教えたはずよ!!」


 「だって、こんなに綺麗で可愛いエルフが護衛だったら護衛されてる私もすごい嬉しいしお友達にだってなれるかもしれないもん!! 外に出てもお父様とお母様がいるから私と仲良くして、話合わせてばっかりでなんにも面白くないんですから!!」


 「2人とも客の前で揉めては王家としての恥が知れる、やめたまえ!!」


 「でも……。」「ごめんなさい……。」


 私たちがいる玉座の間は最悪な雰囲気を醸し出し、静かな時間が少し続いた。

 こんなにも大きく広い場所で静かになると何か萎縮されてるような気分になるので早くこの場を去りたくなる。

 サリアは何も考えてないのかこの部屋に来てからほぼずっとぼーっとしてるし……。


 「呼び止めてすまない。もう帰っていいぞ。」


 「「はい!!」」「はひっ。」


 「やだ!! ヤダヤダ!! 絶対にあの冒険者しか認めないんだから!! あの冒険者以外の護衛なんて認めないんだから!! ヤダヤダ!!」


 「カロ3方には帰り道の案内を頼む。」


 「ははっ。」


 「やだやだやだやだやだやだ!! 絶対に護衛にするんだから!! お父様なんて大っ嫌い!!」


 「……。」


 王女は泣きながら子供みたいに暴れていて国王はすごく困りながら悲しい顔をしていたが、騎士団長に促され玉座の間を出た。

 サリアもわがままだが、さすがにあれほどのワガママになると誰も対処しきれないよね……。

 国王達の苦労を感じながら騎士団長の後ろを歩いていると急に泣き声が止まり、何事かと思ったら玉座の間の扉が閉じたからみたいだ。

 あの部屋で起きたことは誰にも知られることは無い……。


 「王女の護衛って誰がしてるの?」


 「えっ?」


 サリアのふとした質問に騎士団長は驚きで声が漏れてしまう。

 あの王女の言い方からして今の護衛が嫌な感じもする。もしかして、その護衛か適当にやっているのか?

それとも男しかいなく、同性がいないため心が安らがないとか?

 果たして……。


 「護衛は私たちがになっております。たまにS級冒険者の方々と一緒にすることもございますが、大体は私たちのみとなっております。何故お聞きになったのですか?」


 「それはね、絵本で読んだ王女様は楽しそうで愉快だったけど実際の王女様はなんかつまらなそうな顔してたから何かあるのかなって思って。」


 「サリアちゃん。王城内でそんなこと言ったらダメよ!!」


 「えっ?」


 「聞かなかったことにします。ですが、サリア様の考え方は私たちでは気づかない点ですね。王女様を守ることのみ考えておりましたが、護衛されている王女のことも少しは考えるべきでしたね。なにか改善できたらお礼をさせて下さい!!」


 「そういうのは大丈夫!! みんな元気になって幸せになってくれればいいもん!!」


 「こんなに優しいS級冒険者がいるとはな……。」


 最後ボソッと言葉を放った騎士団長だった。

 その後来た道を通り王城の門までしっかりと案内してくれそこでお別れになった。


 なんだか、どこかで王女と会うことになる予感がする……。

次回予告


ナギさんと別れゆっくり寝ていたを私だが、朝方校長先生からテレパシーがかかってくる。

ディルギンとキアが取り残された?!

なんか嫌な気がしたけど、ここでやってくるとは……。

とりあえず無事でいて!!


次回、迷子のおふたりさん お楽しみに。

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