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第188話 Sランク冒険者になりました?

 「はぁぁぁぁぁぁぁ。」


 私は起き上がりいつも恒例の日光浴中。少しだけカーテンを開けているのだが、そこから日差しが部屋の中に入り少し明るくなる。

 サリアを察して顔まで布団を被り「んん……。」と声を漏らしていた。


 「よし!! サリアまだ寝てるの? もうそろそろ起きないと、学園がある日も眠くなっちゃうよ。」


 「お姉ちゃん、もうちょっとだけ……。」


 「お姉ちゃんは一足先に学食食べてこよっかな?」


 「それはダメ!! もう!! そういう意地悪しないの。家族なんだから一緒に食べるの!!」


 サリアは布団から頑張って出て私の隣で日光浴をするが、私はサリアのことを待たずそこから離れ着替えを始める。

 今日は昨日色々とニーナ達にもAランクまで上げられるとバレてしまったのでこの際上げとこう。ということでまたギルドに行くことになっている。

 昨日少しだけアヤさんとサリアが仲良く? 慣れたみたいだし、クラスメイトといい関係を気づいていきたいな。


 「お姉ちゃんいつの間に着替えたの!! もう!! せっかくおなじ所で寝てるんだから一緒に着替えようと思ったのに!!」


 「そんなこと言うなら魔法で部屋を分割させちゃおっかな?」


 「冗談だよね……。お姉ちゃん。」


 「サリアが変なことしないからね」


 「はーい。」


 その後は問題なく食事を学食で済ませそのままギルドに向かった。

 学園の出入りは必ず学生証を門番に見せないといけないので少々めんどくさい。

 なんでも防犯的な観点から。といっていた。


 ギルドに向かってる途中小石を蹴りながら悲しそうな顔をするディラギンと何故かニコニコと笑顔な吸血鬼のキアが一緒に歩いているところを発見……。

 だが、最近何かと面倒事に巻き込まれるのでもしかして、今日も……。

 ここはほっとこう。うん。それがいいはず……。

 めんどくさいことは避けてもいいよね。


 私は道を変えてギルドに向かいあっという間に着いた。

 私たちはギルドに入るとナギさんが目に入るがそこには見たくないメンバーの姿が……。


 「あ!! お姉ちゃんあれみてよ。私たちの時と絶対に一緒だよ!! ナギさんのこともしつこく誘う気だよ!! 私たちにはもう誘ってこないはずだから助けに行くよ!!」


 「そうだねって、おじいさんも一緒にいるじゃん!!」


 「本当だ!! なんで?」


 私たちは気になってナギさんの元まで向かうが、検討していたことと全く違った……。


 「チルに魔法を教えてください!!」


 「先代、そろそろ勘弁して貰えるように言ってくれよ。こっちだって暇じゃないんだぞ。」


 「それは分かってるんじゃがな、少しだけ見てくれないじゃろうか……。ワシはリロに教えるのにはちょうどいいんじゃけど、魔法はこれっきしだからのう……。」


 「ほんと、Sランクソロ冒険者をなんだと思ってるんだか……。はぁ。悪いが本当にお断りだ。日を改めたところで変わることはないからな!!」


 「そうか……。すまんのぅ……。」


 「あっ、アリアちゃんにサリアちゃん!!」


 「久しぶりじゃのう。」


 「「?!」」


 私の存在を知ると勇者リロとその仲間のチルが驚いた顔で私達のことを見てくる。


 ポシカ事件があってからまだマシになったが、急に出てくると驚くのだろう。

 しかも、私勧誘みたいな光景だし……。

 何してるんだか……。


 「しっ師匠達!! 師匠達が学園に通ってなかってら是非修行をして欲しいところなんですけどね……。」


 「それにしても、1度断られたらしつこく聞いちゃダメでしょ!! お姉ちゃんみたいにナギさんが怒ったらどうするの!! お姉ちゃんは優しいから大丈夫だったけど、ナギさんはね、どうなるか分からないよ!! 気がつくとそこは……。」


 「さっサリアちゃん?! 私優しいね……。何か言ってよ!!」


 「……。ヤサシイヨ。」


 「片言じゃなくて!!」


 慌ててるナギさんについ意地悪をしてしまうサリアだった。

 ナギさんは言葉遣いも私たちと一緒にいる時と同じに戻ってるし、そんなナギさんをみてサリアはすごいにっこりしていた。


 「それで結局どうするの? 同胞同士で修行をした方が効率が段違いらしいけど、この王都には私たちと校長先生しかいないけど。」


 「そもそも、ミヤさんの時はどんな感じだったんですか? 」


 「あいつは天才肌だから、誰かに教わるなんてほぼしてなかったのう。教わっても珍しい魔法だけ、あとは基本が大事と言って基本練習してたぐらいじゃからのう……。そんなことより料理、うどん!! とか言ってた記憶がのう……。」


 「それですよ先代!! 何が足りないかわかった気がします!! そうですよ基本の練習が事足りてなかったんですよ。魔法の練習する時は毎回上位魔法の研究などをしているため消費する魔力が馬鹿にならないけどそれが悪かったみたいですね。基礎なら長時間練習できそうですし、また明日から頑張ります!!」


 「ナギさんも何がアドバイス教えたら? 一応勇者パーティーだから何かあったら助けてくれるかもよ!!」


 「そうだね、ミヤさんが言ってた通り基本が1番大事だが、魔力を常に感じるということを忘れてはならないかな。魔力は使えば使うほど増えていくから一日の終わりに巨大な魔法を撃って魔力を無くし、次の日に、その次の日となっていけば確実に成長はできる。まぁ、あとは気合いだな。」


 「ありがとうございます!!」


 「みんなすまんのぅ。これでチルもなかなかいいパーティーメンバーになりそうじゃ。」


 「そういえば、人数は増やしていかないの? さすがに2人だけでは魔王との戦いは厳しいと思うのですけど……。」


 「そうじゃな。わしの時は10人のパーティーでやっとの思いで倒すことができたからのう。流石にふたりじゃ何も始まらんわ。ポシカも抜けたことだしそろそろ新たなメンバーを増やしたいところじゃのう。もちろん嬢ちゃん方はいつでも賛成じゃぞ!!」


 「私とお姉ちゃんは学園があるから無理!!」


 「私もダンジョン攻略などで忙しいからな。」


 「それは仕方ないのう。」


 その後も勇者パーティーの今後の予定などを聞いた後私は受付に行きギルマスを呼んでもらう。


 「すみません、お待たせしました。受付嬢からAランクまであげてよろしいと伺いましたが、本当に大丈夫でしょうか? 前回渋っておりましたので。」


 「うん!! 大丈夫!!」「お願いします。」


 「わかりました。しばらくお待ちください!!」


 私たちはギルドのカードを提出すると、トレーに起きトレーごと裏にギルマスが直々に持って行った。


 Aランクまではギルド内で対応可能との事だからグタグタめんどくさい事にもならないだろう。

 そんな期待を胸に思いながら待っていたが速攻裏切られた……。


 「お待たせしました。こちらS級の冒険者カードになります。もちろん王から直々にS級の許可が出ておりますのでご安心ください!!」


 「ちょっと!! 私たちはAランク冒険者になりたかっただけでSランクになるつもりはないんですけど!! それに、Sランクまで行くと王や貴族たちの依頼が増えるって聞きましたが私たちは学園に通ってる身。それは難しいかと……。」


 「そこに関しては、頼みは一切しないから。との事です。その代わり何かあった時はこの王都を守って欲しい。伝言を承っておりまず。この国にいる間だけでいいので、その際はお願いします!!」


 「分かりました。学園に通ってる間に何かあれば対処します。」


 「ちょっちょっと待て!! 私でさえSランクになるのにあんなに時間がかかったし、Sランクになれた時飛び跳ねるほど嬉しかったのにこれで終了? アリアちゃん、サリアちゃん。 2人は嬉しくないの? Sランク冒険者なんてこの世に100人もいない選ばれし存在なのよ!!」


 「でもね、お姉ちゃん。Sランク冒険者になったからってやりたいこともないからね。」


 「まぁね……。」


 「そんな……。」


 ナギさんはすごい悲しそうな顔をしながら頭を下に下げため息を着いた。

 それほどナギさんにとってS級冒険者を誇りに思ってるのだろう。

 それに比べて私たちは……。

 本当にSランク冒険者でいいのだろうか?


 そんなことを思っているが、サリアは「クエスト全部受けられて楽だから嬉しいかも!!」といい、場を慰める所は凍らせた……。


 「でも、そうよね。私よりも強い2人が私よりも低いランクの冒険者たちなんてありえないわよね……。うん。あっ。先輩Sランク冒険者として何かあったらいつでも声がけてね。なんて言ったって先輩Sランク冒険者なんだから!!」


 ナギさんは先輩という部分をすごく強調しながら言うが、周りはなんとも言えない反応をしていた。

 その反応に気づくことなく、えっへん。と身構えているので情緒は大丈夫そうだ。

 せっかくだし何かあったらどんどん頼む予定だ。

 とりあえず、これで1番大事な予定が済んだからあとは適当なクエストでも受けてサリアと小旅行かな?

 なんてのんびりしたことを考えていると、


 「あともうひとつ大切なお知らせがありまして……。」


 「「?!」」


 「以前断られた王との面会ですが、学園に通ってるならいつでもこれるだろ。ということで面会の予定が入っておりまして……。」


 「お姉ちゃん、また断ろうよ。それに、第2王子? だっけ、私たちが入学するしすごい失礼だったでしょ!! あんなのに会いたくないもん!!」


 「ちょっと、ちょっと待ってください!! ぜひ考え直してください!!」


 ギルマスは急に汗をダラダラとかき始め少し手が震え出した。

 ここまで来ると脅されてるのでは? と思うレベル。

 正直めんどくさいがギルマスの為にも行った方がいいだろう。下手すると校長先生にも被害が来そうだし……。


 「サリアとりあえず1回だけ行ってみない? さすがにね……。」


 「……。それはわかるけど、行きたくないもん!!」


 「私も同行するからどうだ? ギルマスには色々とお世話になってるし、少しぐらいは手助けしたいんだよ。」


 「……。わかった、分かったよ。今回だけだからね!!」


 「あっ、ありがとうございます!! お時間ですが、本日の正午に城までお願いします。何卒遅れないように。何卒……。」


 ナギさんは喋り方が戻ったので調子が戻り、ギルマスは安心した吐息を漏らした。

 ギルマスは犬族だが、犬が吐息を漏らすと一緒に唾が出るのでは? という疑似体験時の疑問を晴らしてくれた。

 ひとつも唾を飛ばさず、丁寧な喋り方。


 はぁ。めんどくさいけど、王城に行くか。

次回予告なし!!


夜に多分投稿!!

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