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第184話 頑張れサリア

 「ふんふんふ〜ん!! 今日はどんなことをするのかな? ほんと楽しみだなぁ〜。こないだはみんな泥だらけになっちゃったけど、私は同じ気持ちになれなかったから一緒に楽しめる授業がいいな〜。 あっもちろん泥だらけは嫌だよ!! みんなでやるってことが楽しそうだもんね!!」


 「じゃあ、魔法禁止とかにする? それなら少しは楽しめそうだし。」


「賛成!! お姉ちゃん賢い!!」


「「……。」」


 私たちの周りにいるクラスメイトはなんとも言えない表情をしている。


 私たちだが、次の授業の為にまた更衣室で体育着に着替えている最中。

 昨日の事件でサリアの機嫌が悪くなることを心配していたが、朝起きたら「お姉ちゃん!!」と抱きついてきて暗い感じもなかったので多分大丈夫だろう。

 それにしても、サリアからみんなと一緒の事をしたい!! っていうのは意外だったな。サリアのことだからお姉ちゃんと一緒!! っていいそうだし。でも今日はマヤさんと作戦があるからもし2人組になったら別々になるけど、大丈夫かな?

 少し不安を抱えながら着替え終わり一緒に更衣室を出て校庭に行く。

 みんなが集まった後校長先生がお話を始める。


 「よし、集まってくれたね。今日はせっかくクラスメイトになったんだから仲良くしてもらおうと思って2人1組で組んで模擬戦をしてもらおうと思います!! 模擬戦の相手はこの私!! このクラスということは魔物などを狩った経験はあると思いますが、実際対人戦での死亡事件が多発するからね。そういうことを加味してこのような授業が設定されたからしっかり受けること!! アドバイスがあればその都度していくからよろしくね!! では、みんなペアを作って!! できるだけ関わったことの無い子同士で組んで新鮮味や仲良くなるきっかけになって欲しいな。あと、キアとディラギンはセットだからね。オスメス一緒に組むと厄介なことになることもあるからね……。では、始め!!」


「わかりました。」「そんなことならないんだけどな。」


 今校庭には私たちのクラスしかいないのでのびのびと使える。

 しかと、戦わない生徒は端の方で見て勉強するようにと言っていたので巻き込まれる心配も無さそうだ。


 始めの合図かなって1番最初に声をかけてきたのは案の定サリア。

だが、今回はマヤさんとの約束もあるし、校長先生もあういうことを言っていたのでサリアの組む気は1ミリも無い。

 サリアはそんなことも考えず、私にえへへ。という顔をしながら他の生徒には近づくなと無言の圧力をかけ始める。


 「ごめんね、サリア。実は昨日の時点で一緒に組む約束をしてる子がいるの。」


 「え?」


 サリアは何を言ってるのか理解できないような声をポツリと呟いた。

 驚いたサリアを置いて私はテレポートでマヤさんの隣にいき、恥ずかしいけどマヤさんの腕を組む。


 「ごめんね、アヤ。今日はアリアちゃんと組むことになってるから他の子と組んでくれる?」


 「え?」


 想像もしてなくどこから出たのかよく分からない声を漏らしたアヤさん。

 だが、そんなやり取りをしてる間に他の生徒はペアが決まったので必然的にサリアとアヤさんペアになること決定!!

 昨日の今日とか運がついてる!!


 「お姉ちゃんの意地悪!! もう知らない!!」


 「姉、さすがにこれは無い。急いで訂正すべき。」


 「ほらほらそこ揉めないの。2人1組でせっかく仲良くなれるチャンスなんだから、そんなに嫌なら2人の片脚を結んで二二三脚みたいにしちゃうわよ。毎年運動会があってねそれの重要な競技の一瞬なのよ。その事前練習ってことでもいいわね。どうする? これ以上揉めてるなら決定になるけれど。」


 「お姉ちゃん……」


 「姉……。」


 2人とも捨てられた子犬みたいな目で私たちのことを見ているが、私たちは昨日の寮内で決定したことなので何も言わない。


 「お姉ちゃん方が何も言わないってことは2人はペア決定ね。足は結ばないからふたり仲良く頑張るのよ!!」


 「「……。はい。」」


 2人の不貞腐れた声がポツリとこぼし不貞腐れながらペアを組んだ。


 仲良くなってくれると嬉しいけど、サリアのことだから自室に帰ってもぷんぷん起こりそうだな……。

 今日のお昼はホットケーキでも焼いて機嫌よくしてもらおっと。


 そうして始まった授業だが、初めに行ったディルギン、キアペアがボロボロになりながら模擬戦しているのを見て「にゃにゃ!!」と驚いたニーナだったが、2回戦目トライと一緒に模擬戦をしてボロボロになりながら何とか踏ん張っていた。

 そして次は、アヤさんとサリアペア。

 校庭でやってるので内容は丸わかりなので2人の協力が見れるはず。

 頑張れ、サリア!! 私は胸の中で拝むように言葉を放つ。


 「次はサリアちゃんとアヤちゃんペアよ。早く出てきて。」


 「「はい……。」」


 「もうほんとやる気がないんだから。そうそう、少しでも体術が身につくようにアリアちゃんとサリアちゃんはペアと同じぐらいの力量しか出さないようにしてくれる? 魔力だけじゃなくてもしも何かあったように体術もしっかりと身につけて欲しいから。それに、本気になったら私が負けて校長としての威厳もなくなりそうだしね……。」


 「「わかりました。」」


 「いいお返事!! では、開始するわ!!」


 サリアとアヤさんが校庭中央に行き、校長先生の合図によって模擬戦が始まった!!

 私とマヤさんとしては協力して仲良くなって欲しいところと思っていたが、やはりそう簡単にはいかない……。


 今回は校長先生が宙に浮いていないのでサリアは軽い地割れをおこし歩きにくするが、アヤさんが近づこうとしていたためアヤさんにも影響が出て睨まれるしまう。

 しかも校長先生は地割れしているとは思えないほど普通に歩き結局意味がなくアヤさんだけ苦しめることに……。

 サリアはそれを見て慌ててしゃがみ水魔法で地面を濡らして地面を元に戻すが少し水たまりができ、それに気づかないアヤさんが範囲の広い雷を何発も落としたせいでまアヤは感電してしまう……。

 アヤさんが感電し、しゃがんだところサリアが水の槍を魔法で作り校長先生目掛けて投げるが急に立つアヤさんの頭ギリギリを通って校長先生に向かい、あっけなく消滅させられた。


 コンビネーションが最悪だね……。


 「このエルフ邪魔しかしない。」


 「そんなことないもん!! そういうそっちが下手くそだからこっちに迷惑がかかってるんだもん!! 雷魔法しか使わないでもっと他の魔法も使わないとすぐ負けちゃうでしょ!! 考えてよ!!」


 「そもそも、水魔法と雷魔法しか使えない。ここでは水はあまり良くない。考えればわかること。」


 「そんなにおしゃべりしてていいのかしら? そろそろこっちの反撃に出るわよ!! 樹木!!」


 地面から突如現れた何本もの太い枝がサリアとアヤさんを絡め動けなくする。

 もちろんいつものサリアなら少し走るだけでかわせるが今は制限付きの為しっかりかかってる。


 「もう終わった、エルフのせいで。」


 「もう、なんなの!! ほんと口だけ達者なんだから!! 絶対に助けてあげないんだからね!! ディハイドレーション」


 サリアは絡まってる枝の水分を抜き脆くなってから絡まってる枝を粉々にして脱出成功したが、アヤさんは使えないのかそのままだ。

 そもそもサリアは詠唱をしていないのでアヤさんが真似をしようと思っても発動しないのだ。

 紗夜ちゃん曰く魔法を真似る魔族がいるらしいのでそういう時は詠唱をしない事と言っていた。


 「サリアちゃん、アヤちゃんの分は解いてあげないの? このままを私が魔法を撃つとアヤちゃんは負けになってしまうわよ。今回はペア同士の戦いだから片方が負けになった時点で終了よ。どうするの? やるならいまよ。」


 「もういいもん。この子は全く私と合わないんだもん!! だから終了でもしょうがないもん!! もっと優しくて強いペアが良かったな。」


 「違う、そっちが考えなしに行動するせい。」


 「そんなことないもん!! そんなこと言うなら、1人で戦ってみれば!! ディハイドレーション。もう知らないんだからね!!」


 そうしてアヤさんの樹木の水分を抜き少し動いただけでポロポロと絡まってる枝か落ちて行き行動ができるようになった。

 アヤさんは悔しそうな顔をしながらサリアを睨みそのままサリアに向かって進んでいく?!


 サリアは少し驚いたあとルール外の少し強いプロテクトを自身にかけたがそれに気づかないアヤさんは腰にかけてあった木製の短剣をサリアに向かって投げた。

 サリアは手で払っただけだが、その間にアヤさんがサリアの目の前まで一瞬でやってきてそのままタックルをするがサリアは一切動かない。

 そもそも、アヤさんが一瞬でやってこれたのは雷魔法を自身にかけ高速移動できたからである。


 「?!」


 「校長先生、これ絶対にサリア悪くないもん!!」


 「アヤちゃんそれはさすがにいけないわ。仲間同士で揉めることはあっても喧嘩はだめ。しかも、その威力じゃあ普通は倒れて頭を打って怪我をするかもしれないわ。もちろんサリアちゃんだったから大丈夫だったけどね。それと、サリアちゃんももっとペアのことを見てあげて。嫌いなのは十分に伝わるけど、しっかり協力しないと魔物と戦う時に負けてしまうことがあるわ。もしくは仲間が死んじゃったりね。嫌なのは分かるけどそこはしっかりしてちょうだい!!」


 「はい……。」


 サリアは少し不貞腐れた声で言葉を放った。

 対してアヤさんはまだサリアのことを押しているが、呆れたサリアがテレポートしておさえがなくなったアヤちゃんが そのまますごい勢いよく顔からダイブした。


 「アヤちゃん!!」


 「キューティクルリーバー!!」


 マヤさんは口に手を当ててすごい心配そうにアヤさんを見ている。

 多分駆け寄りたいという気持ちがすごいあると思うけど、今回そういうことは無しというルールになっている。

 でも、さすがに可哀想なので回復魔法を使った。サリアが悪い所もあったしね。

 私の掛け声と共にアヤさんのがいる地面に黄色い魔法陣が浮かびあがる。しかも上級だから多分あのぐらいの傷なら一瞬で治るだろう。


 魔法陣が消えると、アヤさんは起き上がり顔に着いた土を軽く払った。血が少し出てたのか鼻に少し付いている。


 「ありがとうね、アリアちゃん。それで2人はどうするの? まだ続ける? もうやめちゃう? もちろん私を狙ってきてね。」


 「サリアは別にやめてもいいもん!!」


 「私も辞める……。姉心配してるから」


 「わかったわ。2人とも少しはお姉ちゃん離れをした方がいいかもしれないわね。なんでもお姉ちゃん、お姉ちゃんだったら何かあった時に何もできなく終わってしまうわ。1人で戦う時もあれば今回みたいに誰かと戦う時もある。そんな時はどうするの? お姉ちゃんは助けてくれないわよ。別に仲良くしてねってことじゃないんだから、少しぐらいは協力してちょうだい。」


 「「はい……。」」


 「ってな感じで終了!! 最後はアリアちゃんとマヤちゃんね。頑張ってよ〜。」


 「「はい!!」」


 その後私とマヤさんは互いを思いやり協力しながら校長先生と戦い「これを目標に頑張りましょう」とすごい褒められ、体育は終了になった。


 サリアとアヤさんはもう仲良くなれないかもな……

次回予告


お姉ちゃんなんて知らない!!

ぷんぷんと怒るサリアに困るアリア。

怒った用にホットケーキを作ることを予定していたが、成功するのかどうか?

ホットケーキパーティーは2人じゃなくて3人で?!

誰が入ってくるのかお楽しみに!!


次回 ふわふわホットケーキは幸せを運ぶ。 お楽しみに

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