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第182話 クラスメイトと関わる日

 「おい、ドワーフの癖に魔術学園に通うとか落ちこぼれだな。いや、この場合は見放されたと言った方がいいか。」


 「そうだな、ドワーフは本来学園なんかに通わず鍛冶師の師匠について一生勉強して武器を作っていくらしいじゃねぇか。それなのになんだ、お前は!! 可哀想な奴だな。仲間に見捨てられたのか? ぼっちか?」


 「そもそも、ドワーフが魔術学園でAクラスのなんてどんな賄賂を使ったんだ? 教えてくれよ、俺たち同じ学び舎に通ってる同級生じゃないか。」


 「確かにな!!」


 「「はっはははは!!」」


 「……。」


 ドワーフのディルギンは2人の人族に言われたい放題だが、何も言わずただ下を向くことしていなかった。

 ドワーフといえば短期で少し暴力的なイメージがあるし、そもそも授業では私に少し横暴的な態度をとってきた。

 それなのに何故こいつらにはただ下を向くだけで反論の1つでもしないのか?


 ディルギンが反論しないことをいいことに人族の2人がケラケラとバカにしたような笑いを響かせるが、よく見るとディルギンはただ下を向居てるだけではなかった……。

 そう、下を向きながら拳を握りそこから血がぽたぽたと垂れている。だが、人族はそれに気づいていない。

 

 「おいおい、落ちこぼれ。お前のような存在がここに居場所があるなんて思われたくないんだよ!! 俺たちみたいな優秀な人族がこの学園にお似合いなんだよ。落ちこぼれのドワーフは家に帰って母さんのおっぱいでも吸ってろよ。」


 「確かにそうだな!! ここは人族の王都だぞ。人族がいるからこそ成り立っているんだ。お前みたいなよそ者はいらねぇよ。」


 「おい、なにか言ったらどうなんだよ!! いや、言い返せねぇんだよな!!」


 相変わらずケラケラとバカにしたような笑い声でディルギンに話しかけ、しまいにはディルギンの肩を押し尻もちをつかせ、それまたバカにして笑いだす。

 あんなことを言われたけど、流石にこれは見逃せない!! と思い出ていこうとするがサリアが腕を引っ張り首を左右に振りながら引留める。


 「ドワーフの癖にとんと叩いただけで倒れるとはな。見掛け倒しかよ。」


 「ドワーフ全てがこんな感じなんじゃねぇか? まさかこんなに弱い種族だったとはな。武器が作れなきゃただの役たたず。奴隷にしたって使えねぇだろうな!!」


 「きゃはははは!!」


 「おい、種族をバカにするのは違ぇだろ。」


 ディルギンは先程よりも力強く拳を握りながら立ち上がった。


 「おいおい、やっと反応してきたぜ!! 雑魚のくせに何ができるって言うんだよ。」


 「違ぇだろって言ってるだろ!!」


 「おごっ!!」


 「……。ひぃ!!!」


 立ち上がったディルギンは種族をバカにした人族の顔を殴り吹き飛ばす。

 こんなことを想像していなかったのかもう一人の人族は汚い声を出しながら顔色が少し悪くなりながら殴られた仲間を見るが彼は気絶して倒れたままだ。


 「お前も1発食らっとくか? 俺は自分の信念のために来てんだ。黙って聞いてれば調子によりあがって。そもそも、おまえらごときに言われる筋合いわねぇ。」


 「せん、先生にチクってやる!!」


 「そんなの好きにしろ。お前のように弱者がこの学園を続けられるとは思えないがな。」


 「ちっ、なんだこのドワーフ風情が!!」


 怯えながらも声を出し、仲間を置いて逃げていく人族。

 ちょうど私がいる反対側から逃げてくれたのですれ違うことなくすんだのだが……。

 

 「はぁ。つまらねぇ人族だな。」


 ディラギンはそう言いながら気絶してる人族をほっといて私たちの方に向かってくる。

 あれだけ私たちにガヤガヤ言ってくるんだから、この場にいたことがバレれば余計めんどくさい事になるはず!!


 「サリア行くよ!!」


 「うん!!」


 「「テレポート!!」」


 私たちはそのまま校長室の近くの廊下に転移しその足で校長室に向う。

 先程の光景は全て録画魔法でしっかりとってあるので校長先生に提出するつもりだ。

 いくら嫌いな相手でも、理不尽に辞めさせられるのは見ていられないからね。


 魔力感知でその後どこに行ったか気になったので調べたが普通に寮に戻って行った。

 寮でも揉めることがなければいいけど……。


 「お姉ちゃん、学園は色んな方がいるんだね。お母さんたちがエルフだから気をつけるんだよ。っていう意味がよくわかった気がするよ。私たちは告白とかで済むけど、他の種族だと嫌がらせとか受けるんだね……。同じ学生なのに悲しいよ……。」


 「この学園に入って強くなろうとか、その先こうなろう。と思ってる方々だけじゃないんだよねって改めて理解したよ……。もうこんな事がないといいな。それにしてもなんであそこで止めたの?」


 「1人で立ち向かってるんだから私たちが入ったらダメだよ!! お姉ちゃんはそういう所気をつけてね!!」


「はーい。」


 その後校長室にて先程の話を少しした後に録画したものを譲渡すると校長先生は珍しく怒りすぐに退学させる。と言っていた。

 校長先生もエルフだから色々と問題があったのだろう。


 用事が終わった私たちは寮に戻ろうと歩いていると、何やら寮の前で同じクラスの鬼族の2人組が何やら話している……。

 あんな所で話すと入りずらいから部屋とかで話せばいいのにな〜。と思いながら軽い会釈をしようとした時、急に話しかけられる。


 「随分待った。道端で遊んでないでさっさと帰ってくるべき。そうすればここまで待たずにすんだ。」


 「アヤちゃんそういうことは言わないの!! それにこっちが一方的に待ってただけだから私たちが待つのは当たり前でしょ!!  もう、ほんとアヤちゃんったら……。」


 「でも、姉をまたせた責任がある。」


 「もう、アヤちゃんたら」


 「「……。」」


 少し呆れたため息をするマヤさんだが、正直ため息をつきたいのはこっちだよ!!


 そもそも、勝手に話が進められ何が何だか分からない状況だし、何? 私たちに用事があって待ったらしいがなかなか帰ってこなくて怒ってる?

 そんなの知らないよ。

 ディルギンもそうだけど、ほんと変わった性格の子と同じクラスになることが多い。

 もしかして、他のクラスメイトはまだ接していないから分からないだけで、本性は……。

 この先も一緒にやっていられるか不安でいっぱいだ……。

 はぁ。


 私のこんな気持ちはお構い無しにマヤさんはまた話し始める。


 「ごめんね。アヤちゃんすごく優しいんだけど、一方通行になる時があってね……。そうそう、私たちの要件なんだけど、さっきの授業ですごい活躍をしてたから少しだけお話がしたいなって思ったんだ。なんでもあの試合でほぼ汚れ1つ付いていないのは2人だけだからね。でもなかなか帰ってこなくてアヤちゃん心配になってあたっちゃっただけなの。本当にごめんなさい。」


 マヤさんは頭を下げるがアヤさんは一切下げず堂々としている。

 堂々としてるクラスメイト多いのかな? なんて思ってるとサリアが口を開く。


 「私とお姉ちゃんはね、いっぱい修行をしたから強くなったの!! もう終わり!! もう、なんで今日は変なことばっかり続くの!! ほら、お姉ちゃん行くよ!!」


 「さすがにそれは沢山待った姉に対して無礼。」


 「そっちの方が無礼だもん!! なんで約束もしてないのに文句言われないといけないんだよ!! もう、絶対に修行の秘密とか教えてあげないんだからね!! プンプン!! 行くよ、お姉ちゃん!!」


 「こら、アヤちゃんそんなこと言っちゃだめでしょ。私たちが一方的に待ってただけなんだから。」


 「それでも、姉はいつ帰ってくるか分からないエルフをしっかり待ったのにそれに対応する態度を見せないのはどうかと?」


 「私のこと思ってくれるのすごく嬉しいけど、もっとエルフさんたちのことも思ってよ。」


 「ほら、お姉ちゃん行くよ!!」


 サリアはぷりぷりしながら私の手を引っ張ってきたので私もサリアと一緒に寮の中に入っていった。


 姉を思う気持ちは私も分からないでもないけど、さすがにね……。

 さっきのお姉さんは色々大変そうだな……。と思いながら階段を上がり自室に戻ってきた。


 その後もサリアがぷりぷりしていたが、一緒にパンフレットを見てここ行こっか。と話している内に元気になってくれたのでもう大丈夫だろう。

 その後ゆっくり2人で学食を食べ、いつでも大浴場に行ける準備をした。そう、サリアが1番楽しみにしていた大浴場に。


 「お姉ちゃん、もう行くよ!! ご飯の時もお風呂のことばっかり考えちゃったんだ!! 試験の時からすごい楽しみだったから早く入ろうよ。早く、早く!!」


 「行くから慌てないの!!」


 「えへへ。」


 私がサリアの分の準備して一緒に大浴場に向かうがまた会うとは思ってもいなかった……。

次回予告


入学試験から楽しみにしていた大浴場に入れると気分が良くなったサリアであったが、まさか出会いたくない人物も出会ってしまう!!

ディルギンは異性だから違うとして、絶対あのクラスメイトだよね?!

絶対そうだよね?!


次回、念願の大浴場だが……。 お楽しみに

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