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第178話 またあってしまった勇者一行……。

 「観光って言ったってどこに行ったらいいのか分からないわね……。一つ一つの建物も大きいから城ぐらいしかシンボルが分からないわ。」


 「そうだな、王都なんて滅多に来るところじゃないからさっぱりだ。詳しい里のものに聞いとくべきだったな。いや、聞いたところで数百年前の建物だからなくなってるか……。はぁ。」


 両親がそう話して考え込んでいる中、私は学校が楽しみでしょうがない。

 昔の記憶がよく見えるというように疑似体験での学生生活はいい記憶が多い。それをもう一度実施できると言うんだから幸せそのものだろう。

 それに、ニーナにも久しぶりに会えるし、色んな料理を教えてびっくりさせたいな。


 「おお、こんな所で会うとは久しぶりじゃのう……。あっそっか、今日は入学式じゃったな!!」


 「……? ?!」


 誰だろう? と思いながら声が聞こえた方向に振り向くとそこには元勇者のソースおじいさんとリロとチルがいた。

 もちろんポシカはあの事件があったのでいないが、ついこのパーティを見ているとあいつの顔が浮かんでイライラする。

 そういえば、ポシカは国王に悪事を知らされたという話になっていたが、いったいどうなったのか?


 「もしかして、師匠達のご両親でしょうか? 私勇者パーティーのチルといいます。色々お世話になっております!!」


 「あっああ。」 「そうなのね……。」


 最初疑心暗鬼だったチルだったが、両親が頷くと声のトーンが高くなり元気に挨拶をしてくれた。だが、お母さんとお父さんも少し苦い顔で返答。

 多分サリアが勇者達の嫌な話ばっかりするから印象は最悪だろう。


 「まぁ、まぁ、そんな堅苦しい挨拶は後にして少しゆっくりしながら話でもせんか?」


 「賛成!! 私ね、実は気になってるものがあるんだよ。フルーツジュースって言ってね色んなフルーツが絞られてジュースになってるんだって!! 絶対に美味しいはずだよ!! おじいさんたちは王都に住んでるから知ってるでしょ!! 教えて、教えて!!」


「あとのみんなもそれでいいかのう。」


「「はい!!」」


 そうして、私たちはおじいさん行きつけの喫茶店に行くことになった。

 そこにはサリアが言っていたミックスジュースがあるがそこまで混んでないのに飲み物、料理が美味しく隠れた名店らしい。


 「師匠たちは今日から学校ですよね……。危うく私も今日から学校に通わされるところだったんですが、何とか先代に頼み込んでお姉ちゃんを説得させてもらいリロ達と修行が続けられるようになったんです。師匠たちとの学校生活も楽しそうですが、私の身が持たなそうですので……。」


 「結局師匠のままなんだね……。もういっか。」


 「そうだよね、絶対に直らないもんね……。諦めが必要ってこういうことなんだね!!」


 「本当ですか!! いいんですか?! これからは自信を持って師匠と呼ばせて頂きます!!」


 呆れる私たちもは対照的にすごい喜んでいるチル。

 弟子としては認めてないが、めんどくさいので師匠呼びは当分ほっとくことにしよっと。

 何かあれば突き放せばいいし。


 「そういえば、ポシカの事なんですが……。話しても大丈夫ですか? あの場に居合わせたお2人にはどうなったかは知らせた方がいいと思いまして。」


 「お願い。」


 「ちょっと待った、その話は喫茶店についてからでもいいじゃろう。ポシカ騒動は嬢ちゃんたちの両親も聞く権利があるからのう。」


 「それもそうですね。」


 その後はチルがこういう修行をしました!! など永遠と私たちが話を聞く時間を味わいながら喫茶店を目指して行った。

 勇者は何も喋らずただ単に私たちを眺めているだけ、そして、両親とおじいさんはソースについて話している……。


 チルの話も非常につまらなかったのでソースの話を盗み聞きしたが、ソースを託したいエルフには未だ会えず王都で修行をつけながら探しているみたい。

 あえていないのでソースも自分で作り、自分たち用だけで楽しんでるとか。あと、コロッケパーティーをよく開くと話していた。

 コロッケまだ作ったこと無かったから、いつか作ってパーティーにしよっと。

 もちろん、チルや勇者は呼ばないけどね。


 「ここじゃ!!」


 案内されがお店は看板がなく、誰が見ても誰かの家と思うお店の上に王都では珍しい木造建築だ。


 中に入るとカランコロン。という音がなり、マスターに言われるまま席に着いた。

 どれも木製で作られていて、椅子には小さなクッションがひいてありおしりが痛くならないようにしっかりしてある。


 「好きな物頼むんじゃ。ここは絶品だからのう。」


 「じゃあね、このフルーツジュース頼む!! 絵が書いてあるんだけど、見るからに美味しいってわかっちゃうもん。これがいつでも飲めるなんてしあわせだね、おじいさん!!」


 「まぁのう。でもワシはフルーツジュース飲んだことがないから詳しいことは分からぬ。ワシは無難のいつも紅茶を頼むからのう。ほら、リロ、チルもしっかり見て決めんか。」


 「「はっはい!!」」


 そうして、おじいさん以外はフルーツジュースを頼み、おじいさんは紅茶を頼んでひとまずポシカの話をすることになった。


 「ポシカじゃがのう、あやつの仲間が城の中にもおって逃げられたわい。そやつも犬人族だったことから、今ではギルマスまでも仲間じゃないか、と疑われ色々あいつも大変みたいじゃな。王都の騎士が探すにも城が手薄になるし、狂犬化したあいつと戦うのなれば血が大量に流れるから、冒険者を雇って探してるらしいのう。しかも、絶対に攻撃はしないというルールつきじゃ。」


 「そうだったんですね……。ポシカはどんな刑にするつもりだったんですか?」


 「もちろん死刑じゃ。死刑の前日に飯を持っていった所いないことに気づいたそうじゃ。なんでも、あいつがいた牢獄の後ろに巨大な穴が空いてあったそうじゃ。牢獄に入る前にボディーチェックがあるから城の仲間が狂犬化する薬を渡したってなっとるわい。」


 「そうですか……。」


 「なに、お嬢ちゃんが気にすることじゃない。あれはポシカが悪いんじゃからのう。ポシカのことを見破らなかったワシ自体も悪いことじゃし。」


 「そんなことないもん。ポシカがわるいんだもん。だってお姉ちゃんに向かってあんなに悪い口を言ったり色々するんだから、おじいさんが気にしない方がいいよ。それに、ポシカと会ったら姉ちゃんと力合わせて倒しちゃうんだから!!」


 「それは頼もしいわい。」


 「本気を出しすぎないようにするのよ。」


 「はーい。」


 「改めて狂犬化したポシカを倒すとは、さすがですよね……。私もそれぐらい強くなくては、勇者として名乗れないですからね。」


 「なんか謙虚になってない?」


 「先代に結構しごかれてますからね。今までの自分がどれだけ無知で弱かったのかを自覚できますので。」


 「良かったね、お姉ちゃん。」


 「うん!!」


 「あっそうじゃ、それと聞きたいことがあったんじゃ!! エルフだからワシの元パーティーメンバーもわかるかもしれないと思ってのう。名前はミヤと言ってうどんを見つけるといてもたってもいられなくなる変人なんじゃけど何か分かるかのう?」


 「ミヤ? それってあのミヤじゃないか? 里でうどん屋やってる。」


 「そういえば、うどん屋をやる前あまり里にいなかったわね。もしかしてね……。」


 「今度王都に連れてきますので、その時はギルドに行けばいいですか?」


 「ああ、頼む!! これでソース生活とはおさらばじゃ!! 話してみるもんじゃのう。」


 おじいさんはすごく嬉しそうな顔をしながら紅茶を飲んだ。

 それだけソース作りをやめたかったのか……。

 色んな種類の野菜を煮詰めたりして大半とは聞いたことあるけど、私が想像している以上なのかもね。


 その後は王都の最新情報を色々を教えてくれえいい時間になったので、私たちは喫茶店を出た。


 おじいさん達はまたリロ達に修行をつける。と言って王都の近くにある原っぱに行くと言うのでここで別れた。

 2人だけでパーティーとして成り立つのか不安だが、いつか仲間も増えどうにかなるだろ。

 私が気にしても変わらないしね。


 「俺たちは学校に向かうとするか」


 「「うん!!」」


 私たちは仲良く話しながら学校に向けて歩き出した。

次回予告


やっと学園生活だ!!

と楽しみでしょうがないアリア達だが、こないだのテトラ同様変な奴に絡まれてしまう……。

しかもまた身分の高いオスというわけ……。

この学園は本当に大丈夫なんだろうか……。

はぁ。


次回、久々の学園!! 変人との出会い? お楽しみに

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