表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/192

第177話 王都に到着。ナギさんとの別れ。

 「ふぁぁぁぁ。よく寝れた〜」


 楽しみな行事前だと眠れないということが多々あるが、なぜか今日はぐっすり眠れた。

 これも、サリアと一緒に寝たからかもしれないな。

 昨日の夜、サリアがあまり帰って来れなくなっちゃうから一緒に寝るよ!! という意味のわからないことを言ってきてつい乗ってしまったのだ。


 「サリア、ほら起きて!! 今日から学園に通うんだよ。」


 「がくえん……。あっ、そうだよ!! 学園に通うんだよ!! 早く準備して行かなくちゃ!!」


 「そんなに慌てなくても大丈夫だから、ゆっくり行くよ。」


 「あっ。はーい。」


 私たちは1階に降り顔を洗ったりしてリビングに向かった。

 そこにはお父さんとお母さんそしてナギさんが椅子に座っておしゃべりしているが、ナギさんとお母さんは少し寂しそうな顔をしているのに対し、お父さんは複雑そうな顔をしている。


 「「おはよう!!」」


 「おはよう、よく眠れたか?」


 「「うん!!」」


 「おはよう、ご飯できてるから準備しちゃうわね!!」


 「私たちも手伝うよ。」


 「いいの。座ってて、すぐに終わるから。」


 そう言ってお母さんはご飯の準備をするべく席を立った。

 私はその間に収納魔法にしまってある今日必要なものがあっているか確認していると、なんだか懐かしく良い匂いがしてくる。

 その匂いに応じてお腹がぐぅ〜。と鳴き出すが私だけではない。お父さん、サリア、ナギさんもだ。


 「お待たせ!!」


 「「?! カツ丼!!」」


 そう、懐かしのカツ丼!!

 ナギさんが家に来てから紗夜ちゃん料理を一切作らなくなった私たちが最も求めていた料理。

 それに、今日から学校に通うって言うことで、なにかに勝つどん!! という気持ちも込められているだろう。


 「お母さん、いいの!! カツ丼いいの!!」


 「もちろんよ!!」


 「やったー!!」


 「カツ丼? すごい美味しそうな料理ね。これはお姉ちゃんが考えたの?」


 「違うわ。これは人族の料理なのよ。説明はいいから、1回食べてみてちょうだい。」


 「あっ、うん。」


 興奮するサリアに期待しているナギさん、感動のあまり声が出ないお父さん、そして、何より嬉しそうなお母さんと一緒に「いただきます」を言いカツ丼を食べ始める。

 そう、これだよ。

 カツのサクサク感と卵がとろっと優しく包み込みこれをご飯と一緒に口いっぱいに味わうことが出来るこの料理。

 体全身が喜んでいるのがわかる。やっぱり私はご飯がないとね。

 校長先生に頼んでご飯料理増やして貰わないと!!


 「なっなんだこれは……。美味しすぎる。お姉ちゃん今日中に作り方おしえてほしいんだけど、大丈夫? いや、絶対におしえて。こんなに美味しい料理が食べられるんだったらいつものやる気100倍でクエストに迎えられるよ。」


 「そう言うと思ってもうメモに書いてあるわ。食べ終わったら渡すわね。」


 「やった!!」


 「もう、お父さんがっつきすぎだよ。みんなが喋ってる中ひとり黙々と食べちゃってるよ。」


 「?」


 「口元にお米着いちゃってるし。」


 「そう言うサリアも付いてるよ? 2人揃って慌てすぎだよ。もうなくなりそうじゃん。」


 「おかわりはないわよ。」


 「「……。」」


 その後、お父さんとサリアは今までに見た事がないぐらいスローリーでカツ丼を食べ始めた。

 サリアの口元に付いていたお米は私が取ってたべたところ、サリアは嬉しそうにニコッと笑っていた。

 そんな様子を見ていたナギさんが姉妹っていいよね。と小声で言っていたのを聞き逃さなかった。


 こんな幸せな時間も今日で一時的におさらばか……。


 楽しみのようで悲しい気持ちになりながら残りのカツ丼を平らげた。


 朝食を食べた後はゆっくりすることなく、準備をしいつも通り玄関で転移したが5人揃っての転移したがぎゅうぎゅうになってしまい、森に着いた時少しだけ転びそうになったが、これも大切な思い出になるだろう。


 お母さんとお父さんも着いてきているが学校内には入れないらしい。

 疑似体験の入学式と言うと親同伴だが、この世界では子供たちだけで入学式等を済ませその後色々な話し合いをして寮に戻るといった日程になっている。

 お父さん達は学校の前まで一緒に来てくれてそこで離れることになっているのでギリギリまでゆっくりするつもりだ。

 それに、寂しくなったら転移魔法でいつでも帰れるからね。


 「アリア、サリア、2人とも色々あると思うけどいちいち気にしちゃダメよ!! それと不安になったらいつでも返ってくること。いいね!!」


 「お母さん、まだ森の中だよ。もう少しあるんだから今言わなくても大丈夫だよ。それに、昨日も一昨日と聞いたし……。」


 「それでもよ。心配なのよ、初めての体験だからね。私たちと時代が違うから少し緩和されてるかもしれないけど、まだそういう目はいっぱいあるから……。」


 「お姉ちゃん大丈夫。私と知り合いってだけで変な話がまいりこんで来なくなるから。だから、2人とも安心してね。」


 「「はーい!!」」


 「よし、行くか。いつまでもお姉ちゃんと一緒にいると緩んでいつもの口調で話しちゃうからね。」


 「私が居ない時でもその口調の方がみんなよってくると思うのに。」


 「冒険者が舐められたら評価が下がるから、どうしてもね。それに、エルフってだけで狙われちゃうし。」


 「頑張って、ナギ!!」


 「うん!!」


 ナギさんは今日一の笑顔でお母さんに返答し私たちは歩き始め森を抜けた。

 森を抜けるとすぐ王都が見え歩いて進んでいくが、今日が入学式とあって今まで以上にすごい門番が混んでいる。

 時間的にも余裕があるけど、ギリギリだと遅刻確定だね。


 そんなことを思いながら並んでいると門番の方が列の後方に向けて走って来るのが見受けられる。

 普通に走るのではなく、汗をダラダラとかいながら全力疾走で走っている感じだが冒険者ではないのでやはり時間がかかってしまってる。


 「……?」


 「どうしたんだろうね? あんなに走って?」


 「魔物でも出たんじゃないか、なんなら私が倒してやってもいいけどな!!」


 「なんかナギさんがその喋り方あまり聞き慣れてないから変な感じ〜」


 「そういうことは内緒で!!」


 「お疲れ様です、ナギさん!!」


 「ああ。」


 走っていた門番は私たちの目の前で止まりナギさんに話しかけ始めた。さすがS級冒険者、門番でさえ顔を覚えてる存在とは……。


 「ナギさん一行は列に並ばなくても大丈夫です。ナギさんこれからは門の左側にあるドアに入ってください。そこで対応致しますので。」


 「ああ、すまないね。」


 「いえいえ、とんでもございません!! ささっ。こちらへどうぞ!!」


 「なんか特別扱いされちゃったね。それに長い列にも並ばなくてもいいなんてラッキー!! こういうことがあると冒険者のランクあげようか悩んじゃうよね。」


 「ね!!」


 そんな会話をしながら門番について行き私たちは左側の受付にて身分証明書を見せすぐに王都の中に入ることができた。

 なんでも一般が右側で王族、貴族、Aランク冒険者以上はこちらから手続きができるらしい。


 「私はギルドの方に顔を出しそこから色々とやることがあるからここでおさらばだ。お姉ちゃん、いつでも会いに来ていいからね。アリアもサリアも不安になったらいつでも冒険者ギルドで私を呼んでくれたら駆けつけるから、いつでも、いつでも声をかけてくれ!!」


 「あっはい。」 「分かった!!」


 「体に気をつけるのよ!!」


 「頑張って。」


 「またね!!」


 ナギさんは冒険者ギルドに向かって歩き背を向けながら手を振ってくれた。

 ナギさんは後ろに巨大な剣をしょっているので余計かっこよく見えてしまう。どこかのワンシーンではないのかと思うほどだ。

 そんなかっこよく見えるナギさんだが、家ではまるで態度が違うんだから逆に怖くもある……。


 私たちは時間もあるし、観光でもした後に学校に行くかな。

 後2時間ぐらい観光できそうだし。

次回予告


どこを観光しよっかな? と考えているとソースのおじいさんに声をかけられる。

ということはあいつらもいるってことだよね……。

勇者リロに仲間のチル……。

大事な日に会いたくなかった。


次回、またあってしまった勇者一行……。 お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ