第176話 ナギと暮らす日々……。
そこから二日間時が経ったがナギさんはお母さんに甘えっぱなしでお父さんがなんとも言えない表情をしていた。
しかも、ナギさんがお母さんと一緒に寝る。と言い出して全く話を聞かず、お父さんが渋々別室に布団を引いて寝るはめに!!
ナギさんは幸せそうな顔をしていたが、お父さんが悲しそうな顔をしてたし、仕事に行く時もなんか元気がなかった気がする……。
さすがに可哀想だなっと思ってる私だが私たちにもデメリットは当然存在する。
そう、紗夜ちゃんのことを感じ取られる訳にはいかないから美味しい料理のことを内緒にしている点だ。
こっそり抜け出して収納魔法に入ってるピザを食べることはあるがみんなで食べられないし作りたてではない。
もちろんお母さん特製の料理の美味しいのだが、故郷の味が食べたくなるもんだよ。
そんな私たちの気も知らないナギさんは、お母さん特製のご飯を久々に沢山食べてすごい勢い幸せそうに食べていた。
はぁぁぁぁぁ。これから1階に行くのか……。
少しだけナギさんがいることが億劫になってきている影響かボソッと心の声がでてしまった。
私は起床しこれから1階に降りようと考えているがつい本音を漏らしてしまった……。
「……。はぁ。なんかナギさんがいると疲れるな……。」
あっ。と思い急いで口に手を当てたがある人物に見られてしまった!!
しかもその少女はドアを少し開け私のことを観察しているみたいだ。
多分聞かれちゃったよね……。
トントントン
「お姉ちゃん入ってもいい?」
「こっそり見てるのバレバレだからね。」
「えへへ。バレちゃってたか。おじゃましまーす!!」
サリアはニコニコしながら入ってきて、私のベッドに腰掛けた。
もちろん私は日光浴中だ。
「ナギさんがいるとなんかちょっと気を張っちゃうよね。お父さんもなんかぎこちない感じ出てるし。別に嫌だってわけではないんだけどね。」
「やっぱり聞いてたんだ!!」
「そうだけどさ、家に来てからはお母さんにベッタリだし、私たちを観察するように見てくるから私も一緒にいるだけで疲れちゃうんだよね……。家族なのにね……。」
「……。サリアがそこまで言うなんて珍しいね。もしかして、お母さんが取られちゃったのが嫌とか? 寂しいとか?」
「そんなんじゃないもん。だって私にはお姉ちゃんがいるんだから!!」
「はぁ。もうサリアったら。」
そんな惚気けた時間を過ごしたあと、2人揃って1階に降りたが相変わらずナギさんはお母さんにベッタリだ。
そして、お父さんはなんとも言えないく暗い表情で椅子に座ってご飯を食べていた。
本来ならば、この時間に美味しい料理を作ったり、紗夜ちゃんとこっそり修行をする予定だったんだけどな……。と思ってしまう。
「2人ともおはよう、お姉ちゃんがね、今日も美味しいご飯を作ってくれたから冷める前に食べるんだよ。なんと言ってもお姉ちゃんの料理は世界一だからね。世界中を回った私が言うんだから間違えなし!!」
「ありがとね、ナギ。」
「えへへ。」
お母さんはナギさんの頭を撫でながら感謝の気持ちを言葉で表し、ナギさん満面の笑みですごい嬉しそう。
そんなナギさんだが、本日は1度自宅に帰る日。
おじいちゃんとおばあちゃんに会いに行くのだ。
「ナギもご飯食べちゃいなさい、今日はお父さんとお母さんに会いに行くんでしょ。」
「えー。もうお母さんの子供になろっかな。だってもうすぐアリアちゃんとサリアちゃんは学校に行っちゃうんでしょ。そうすればディーロだけ。お母さんか寂しくなっちゃうから私がいた方がいいでしょ? どうかな?」
「冒険者の仕事はどうするのよ?」
「もういいよ。一生分は稼いだし。それに、いつまでもできる仕事ではないことぐらいわかってるから。その時間を使ってお姉ちゃんと一緒にいた方が楽しいし。」
「……。はぁ。」
その後ナギさんはご飯を食べた後実家に帰ったが、1時間もしないうちに帰ってきて、「絶対にこの家で暮らすんだから!!」と言っていたが目が本気だった。
お母さんが寂しくないのはいいけど、お父さんがね……。
「本当にずっとこの家で過ごすつもりなの?」
「そうだけど? 着替えとかは大丈夫だよ、収納魔法に全部入れてるから。もしかしてお金に困っちゃうとか?! 大丈夫!! 稼ぎがあるからそこからしっかり出すつもりだから!! 何かあったらいつでも言ってよ。手伝うから。」
「ナギ。たまに来たり短期で泊まるのはいいけど、何年もだったりするのは流石に困るわ。それにあなたを待ってるギルドに受注する方々のことをもう少し考えなさい。あなたはもうS級冒険者なのよ。」
「私はそんなことまで考えないよ。それにお金もあるし縛られることなく暮らすつもり。それに、ギルドだって何週間も帰れないようなクエストばっかり頼んで来るんだよ。すこしはこっちのことも考えてよ!! って思うよ。」
「それはわかるけど、初めて一緒にいったクエスト覚えてる?」
「あっ……。」
「薬草を近くの村に届けるという誰でも出来る仕事だったわよね。でも、あの村にいる方々にとっては来てくれると言うだけで喜びで私たちをもてなしてくれたでしょ。あの村の方々にしてみれば魔物がいる外に出ること自体非常に危険なことなのよ。そんな方々がどこかで冒険者のことを待っているのよ。 もちろん、それ以上に自分のことも大事なのも分かるわ。その時はいつでもお話し相手になるつもりよ。でも軽々しく辞めるなんて言わないで……。」
「お姉ちゃん……。確かにそうだよね……。」
ナギさんは何かを思い出したようにポツリと呟いた。
お母さんはナギさんに語りかけたが、私たちも心の奥底で必ず持っていなくては行けない考え方だ。
後悔しないように、1人でも助けられるように……。
「今はリフレッシュ休暇って言うことでゆっくりしていってもいいけど、後で必ず戻るのよ。」
「分かったよ。ありがとうね、お姉ちゃん。」
「うん。」
ナギさんは考えに考えた結果私たちが王都に行くまでお世話になることになった。
最初はちょっとギクシャクしていたが、日にちが経つにつれてお姉ちゃんができた感覚になり嬉しくつい頼ってしまう存在になっていた。
あと、白金貨だがリビングに飾ることになった。
いくら日光に当たっても錆びることがないらしいので数千年後もゆっくり眺めることができるだろう。
そして見る度にあの時の光景を思い出すんだろうな。と少し嬉しそうにしながらサリアと一緒に白金貨を飾った。
そんな楽しい日々はあっという間に過ぎていき、今日から学校に通う日。そして、ナギさんが王都に帰る日になった。
次回予告
やっと学園に通える日になった!!
よし、今日から頑張るぞ!! と気合いを入れたがいつも以上に門が混んでいて入れるのに数時間はかかりそう……。
入学式間に合うか?!
次回、王都に到着。ナギさんとの別れ。 お楽しみに