第173話 ウサの妹、ナギ参上!!
あれから月日は流れ、学園に通うまであと3ヶ月。
あの後は特に目立ったイベントは無く自宅でのんびりゆっくりしりて紗夜ちゃんと修行をしながら過ごしていた。
紗夜ちゃんは、私たちにあの話をはなしてからというもの氷を溶かすことに力を入れ、私たちの修行が終わると氷の世界に行き、どうにか解凍できないか研究をしてる。
自分で氷らせたのに何故解凍できないんだ。と日々頭を抱えている。
私たちも手伝うと言ったが、自分の罪だから。と言って手伝わせてくれなかった。
そして、今日からは自分たちで修行の確認とかをして学園に通うまでに使えるものをより使いやすくする予定だ。
何か困ったら、テレパシーで呼べばいつでも帰ってくると言っていたらその時はあまえるつもりだ。
「はぁぁぁぁぁぁぁ。眠い……。でも、起きないと……。」
今日は待ちに待ったギルドで下ろした魔物の換金がおこなわれ私たちに支払いが来る日。
なので、今日は朝から街に行ってお金を貰ったあと観光する予定なのだがその日に限って何故か眠い……。
そもそもなぜ今日なのか? と思ったが、いくら待っても連絡が無いので、どうなってるんだ。とお母さんが問いただしたところ、日程を教えてくれたらしい。
その時に俺はテレパシーを使えないんだから、そっちから出向け!! と言われ、お母さんは私たちにプンプンと怒りながら説明してくれたが、ただただ可愛いだけで全く怒ったようには見えなかった。
お母さんに可愛いとか言っていいのだろうか?
まぁ、そんなことはほっといてっと。
とりあえず、日光浴でもしながらスッキリするかな。
「お姉ちゃん!! ついにお金が入ってくる日だよ!! 何買っちゃおっかな。何買っちゃおっかな。なにか一緒のもの買う? あっ。オーブンまだ見つかってないから買っちゃおうよ!! 楽しみだな!! ? お姉ちゃん外ばっか見てないで私見てよ!!」
「いつも言ってるでしょ、ノックをして返事があった後に入るって。」
「もう、お姉ちゃんはいつもそんな意地悪言うんだから。そんなこと言うんだったら、お母さんとお父さんに頼んで一緒の部屋にしてもらうよ!! 私はいつでも大歓迎なんだからね!!」
「サリアがこの部屋に入れないように紗夜ちゃんに魔法教えてもらおっかな?」
「お姉ちゃん絶対にやめて!! 分かった、わかったから。ちゃんとノックするから!! ね。絶対ダメだからね。」
「それと、サリアこっそり私の部屋に入ってるのもバレてるからね。次回やったらその時も……。」
「わっわかった。絶対にもうしないから、許して!! お姉ちゃんが悲しくこと絶対にやらないもん!! だからお願い。」
「さすがサリア。わかってくれて嬉しいよ。」
「えへへ。お姉ちゃん頭撫でて〜。」
「もう、しょうがないんだから。」
私はサリアを日光浴をやっている窓際まで呼んで頭を撫でる。
サリアは私に頭を撫でられるのが好きらしく、撫でられるといつも「えへへ。」とだらけた顔になるのだ。
「よし、ご飯食べて着替えて行くよ!!」
「はーい!!」
私たちは1階におり顔を洗いリビングに到着するがいつもと違う風景が目に浮かぶ。
そう、お父さんの格好だ。
いつもならラフな格好で遊ぶ気満々って感じだが今日は疑似体験のスーツのようなお召し物を来て顔も強ばっている……。
せっかくの家族旅行だけど、私が知らないところで何か計画でもしてるのだろうか?
「「おはよう」」
「「おはよう〜」」
「お母さん、お父さんなんか変だよ。服装がいつもと違うっていうのもあるんだけど、なんか雰囲気が変だよ。なんで?」
サリアは私が気になっていることをズケズケと聞いてくれた。
このズケズケが困る時もあるが、今回は非常にありがたい。
「それはね、今日は私の妹がダンジョンから帰ってくるのよ。その後この家に寄ってのんびりするって言ってたわって、言ってなかったかしら?」
「聞いてないよ!! それにしてもお母さんの妹? 一度も会ったことないけど、いつもどこにいるの?」
「それがね、あの子いつもダンジョンに篭もりっぱなしなのよ。しかも、実力を隠さないといけないエルフなのに堂々と実力晒してるし、ちょっと困った子なのよ。でも、悪い子じゃないから安心してね。」
「そうなんだ。でも、楽しみだな〜。あっもしかして、お母さんと似てたり!!」
「楽しみだね、サリア。」
「うん!!」
しかも、私たちが行く街で会う約束になっているらしい。お母さんの妹さんの話をその後も聞いたが、なんとここ数百年は私達が通う予定の王都近くのダンジョンを中心に活躍してので会える機会が増えるかもしれない。と言っていた。
どんな方なんだろう。と考えながらご飯を食べ、着替え、行く準備ができたので玄関で転移し、いつもの森までやってきた。
「見てみて、お父さん緊張して歩き方変!! お父さん緊張しすぎだよ。私なんて楽しみでしょうがないのに!!」
「もしかして、お母さんの妹さんって怖いのかな? だから、お父さんが変になったのかな?」
「えっ。大丈夫かな。お父さんが歩き方がおかしくなるぐらいだから、相当怖いんだよ。どうしよう。私怒られちゃうかも!! お姉ちゃん、助けてね。絶対ね。ちょっと会いたくなくなってきちゃった……。」
「大丈夫よ。ナギは優しいから。ちょっとおかしい所があるけど、大丈夫。アリアとサリアにはとっても優しいはずだから。」
「お父さんは?」
「……。どうかしらね。」
「「……。」」
そんなドキドキな気持ちを持ちながら門番にギルドカードを見せすんなりと入り予定通り冒険者ギルドに直行する。
それにしても、さっきから色んな方とすれ違うけどやけに嬉しそうな顔で私たちが向かう方向に走って行ってる。
……。
以前にもこんなことあったような。
そう、あれは勇者パーティーがこの街に来た時……。
あれ?
出禁になったはずだよね……。
もしくは別の勇者パーティー?
「お姉ちゃん、なんかみんな私たちが行く方に向かってるね。なんでかな?」
「また勇者だったり?」
「えっ。やだよ絶対!! お姉ちゃんに意地悪するんだから絶対に許さないんだもんね!! それに出禁にもなってるんだから、いたら許さないもん!!」
「あれは多分ナギじゃないかしら? あの子何故か人気があるのよね。」
「そうなの?! そんな人気者の方がお母さんの妹なんてお母さんもすごいよ!! どれぐらい強いんだろう。少し戦ってみたいな。あっでも、強かったらお姉ちゃんに助けてもらおっと!!」
「色々楽しみだね。」
そんな会話をしていたら冒険者ギルドの前まで着いたが、人が溢れかえっていて入れそうにない。
本日のメインイベントであるお金を貰いに絶対に入らないといけないのに。ほんとなんなの。
「はぁ。」
「? ひぃっ。すっすみません。どうぞお通りください?」
「? 勇者パーティーを追い出した英雄のお通りだぜ!! みんな道を開けろ!! 邪魔なもんは外にでも出な!!」
「「はっはい!!」」
「「……。」」
中から溢れかえっていた冒険者が飛び出し、落ち着いてから中に入るが受付嬢までの冒険者の道ができていた。
唯一その道に立っている冒険者はどこかで見たことがある顔で耳がしっかり尖っている。
もしかして……。
その冒険者は振り返り少し不思議な顔をしながら口を開いた。
「……。お姉ちゃんの娘だよね……。」
「はい……。」
「そうだよ!! サリアっていうの!!」
「「……。」」
なんとも言えない空気がギルドいっぱいに広がった。
次回予告
お母さんの妹のナギさんと合流し、ギルド内でクエストのお金を貰うがその金額にナギさんは驚愕を隠せない。
ナギさんでも驚くほどの稼ぎって……。
それと、オーブンは売っているのか?
次回、ついにオーブンと対面?! お楽しみに