表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/190

第17話ついに来たカツ丼!!

 「ギルドにオークを下ろす時に少し分けてもらったんだよ。アリアが飯を作ってくれると言うんだからこれぐらいは用意させてくれ。今回いつも以上に強いオークだったから、きっと肉も特別美味しいと思う。是非使ってくれ。」


 「ありがとうお父さん。今日はお父さんが持って帰ってきたオーク肉を使った最高の一品にしようと思うよ!!楽しみにしておいてね」


 「楽しみにしている。」



 テンションが高いのかいつもより声が高くなっている。


 お父さんが出してくれたオーク肉の塊は葉っぱに包まれている。


 見た感じ5kgほどありそうだ。


 お肉の塊を見る機会があまりなかったのでこの状態で渡されると興奮する。


 どれだけ重いのか、匂いはどうかと、思わずいろいろと試してしまう。


 それにしてもお父さんのことだから、美味しかったら白身フライ同様に四日ぐらい食べるのであろう……。


 さすがに飽きるからやめてほしいな、と心の中で呟いた。


 オーク肉を使うと聞いてお母さんとサリアは大喜び。


 この塊を見れば誰でも喜んでしまうだろう。


 それに、これは今日取れたばかりの新鮮な肉だ。


 肉は熟成させたほうが美味しいとも聞いたことがあるが、詳しいことは知らないので、今回は新鮮なままいただくことにする。



 オーク肉は、疑似体験で言うことろの豚肉と同じで、豚肉同様にオーク肉内でもランクがつけられている。


 今回の肉は、肉屋のガラスケース越しに並べられた高級肉に匹敵するランクだ。


 スーパーでは一番安い肉しか買わない私にとって、父からランクを聞いたときの期待感は言葉にできないほどだった。



 私は、お風呂に入ってさっぱりした後にキッチンに向かう。


 カツ丼を作るにあたって最も重要なのは麺つゆだ。


 うどんをよく食べる家なので、冷蔵庫に麺つゆがあることを確認し、ほっと安心する。


 昔、とあるエルフがうどんの味に感動し、作り方を学んで里に戻ったそうだ。


 そこでうどん屋を開き、大反響を巻き起こしたとか。


 家でもうどんを楽しんでほしいという気持ちから、うどんと麺つゆの販売も始め、今ではエルフの里でも大人気となっている。


 そんな背景のおかげで、我が家にも麺つゆがある。

 持ち帰ってくれたエルフに感謝しながら、私は料理を開始する。


 まずは土鍋でご飯を炊く。


 擬似体験で何度か炊飯器なしで炊いた経験があるので、これは楽勝だ。


 あとは炊き上がるのを待つだけ。


 オーク肉は、家庭で作るカツ丼と同じ要領で調理する。


 肉を切ってみると、その柔らかさに驚く。


 まるでナイフがスッと入っていく感覚だ。


 この柔らかさなら、揚げたときにサクッとした食感とふわっとした口当たりが期待できそうだ。



 そして、いよいよ揚げる工程へ。


 とんかつの命とも言える重要な工程だ。


 ここで失敗すれば、肉が固くなったり、見た目が焦げたりしてしまう。


 擬似体験でも揚げ物は苦手だったので少し心配だが、いざ挑戦!


 ………行きます!!


 オーク肉投入!!



 オーク肉を油に投入すると、パチパチと良い音が響く。


 揚げ物のタイミングを見計らうのは難しいが、母が見守ってくれているので、いざとなれば手伝ってもらうつもりだ。



 数分後――


 「お母さんもう少しかな?」


 「もういい感じ!!こっちにあげちゃって!!」


 「はーい。」



 結局手伝ってもらった……。


 せっかくの美味しいオーク肉と久しぶりのご飯料理がが不味くなったら立ち直れないと思うかしょうがないよね!!


 私は素早くお皿にカツを移動し、人数分揚げていく。


 最後の方ではお母さんの教え方が美味かったのか自分であげるタイミングがわかった。


 今回はカツ丼にする為カツをカットしていく。



 サクッ



 サクッ



 なんていい音なんだろうか。


 この音を聞くだけで揚げ物が想像できお腹がすいてくる。


 カツ丼ではなくてとんかつ定食に変更して今すぐにでも食べたい気持ちがいっぱいだが、必死に抑えてカツ丼の準備に取り掛かる。


 カツの味見をしようとお母さんが提案してくれたが、カツ丼にすることがなくなってしまいそうなので我慢した。


 エルフの里でもとんかつはあるが、完成料理なのでここにひと手間加えるのが全く想像できないらしい。


 私は玉ねぎをカットし小さなフライパンにいれ、麺つゆとお水を入れていく。


 麺つゆはうどんにしか使わないのでほんとに美味しいのか? とお母さんの顔が曇ってきた。


 玉ねぎがしんなりなったタイミングで、カツ投入!!



 そしてカツ丼を最高にする最後のひと手間、卵投入!!

  

 卵を入れた後急いで蓋を閉めて少したったら、隣の土鍋からご飯を茶碗に注ぎ、カツの卵とじを上に乗せる




 完成!!


 カツ丼!!




 久しぶりのお米料理がカツ丼とは……。


 なんて最高なんだろうか。


 しかも今までに食べたことがないぐらい美味しそうなお肉で作られているなんて考えただけでヨダレが垂れてきまう。


 急いで人数分作り、机に運んでいく。


 「お姉ちゃん!! いい匂いするよ。それに卵が入って美味しそう。」


 「これはすごい!! 見ただけで美味しいと感じさせる見た目。そしてこの匂い。何故今まで知らなかったのだろうか。」


 「隣にいて何度味見をしようと思ったことか……これのために我慢できたのだわ!!」



 みんな食べる前からの期待値がすごい。


 実際に目の前に出されてから一切目を離していない。


 では


 「「いただきます!!」」


 口に入れた瞬間。無意識に笑顔が出てしまう。


 なんだこの美味さは……。


 噛むとわかる、感触が違いすぎると……。


 お肉ってこんなに柔らかいんだ。と感動してしまうぐらい柔らかい。


 歯がなくてもかみ切れるのでは。と思うほどだ。


 お肉本来の美味しさが口いっぱいに膨らんでいき、それを卵と衣がマッチしてさらに美味しくなっていく。


 そこに玉ねぎの甘みと大好きなお米が加わって最高の一品!!


 「………」


 美味しさのあまり感想を言わず黙々と食べていく。


 口の中が終わってしまえば勝手に手はカツ丼を口に入れる準備を開始し気づけば口の中にカツ丼が現れている……。


 次に意識が戻る頃には茶碗の中は空っぽだった。



 「なんなんだ!! この料理は!! 今まで食べた中でいちばん美味い!! トンカツだけでもあれだけ上手いのに卵で閉じることによってここまで進化するとは……料理は侮れない」


 「お姉ちゃん!! 自分が怖くなってきたよ。手が止まらないんだよ。少しずつ食べないと直ぐに終わってしまうから手を止めようと頑張ったんだけど言うこと全く聞かなくてね。」


 「こんなに美味しいとは……りしかもここまでの味を家で出せるってこと。そして食べたい時に作れるってこと………。ありえない」


 ここまで感動してもらえるとは思ってもいなかったので嬉しい。


 今までは誰かのために料理なんて作ることがなかったから、ここまで喜ばれると作ったかいがあるもんだ。


 「おかわりはまだあんのか?」


 「「あるの?」」


 「今回は人数分しか作ってないから今日はこれでおしまい!! 美味しいからって食べすぎると後々動けなくなっちゃうし、飽きも早く来ちゃうよ」


 「何言ってるんだよ。ここまで美味しい料理が飽きるわけないだろ。次回はいつにするか? 明日か? やっぱ明日だよな。」


 「それ賛成。今日アリアの作り方を見て学んだからいつでも作れるわ。白身フライは四日連続だったけど今回は何日までならアリアが怒らないかしらね。」


 「お姉ちゃん。毎日食べようよ。こんなに美味しい料理だったら毎食食べたい!!」



 ピンポンパンポン!!


 明日のご飯もカツ丼になりました。


 この調子では一週間毎日カツ丼になりそうです。


 ピンポンパンポン!!



 その後、あまりの美味しさにリビングは盛り上がった。


 今回食べた種類が丼。ということを教えると他の丼を食べたい!! とリクエストが来てしまった……。


 お米を食べられるのは嬉しいが、毎日丼ものはさすがに………。


 その夜、私はカツ丼の味を思い出しながら幸せな気持ちで寝るのであった。

お米が一生食べられません!!とかなったらマジでおかしくなりそう。私たちは無意識にお米依存性になっているのかもしれないですね(笑)


【お知らせ】

今後は思い浮かばなかったり忙しかったりする時は投稿なしって感じになります。(前日に進捗状況みたいなのでアナウンスします。)

それ以外は毎日投稿する予定ですのでお楽しみに!!


最後まで読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ