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第170話 紗夜物語21

 あんな結界なんてなかったはず……。


 あの街に何があったというのか……。


 疑問を抱きながら魔力感知をしてみると、街全体に結界が覆いかぶさり中の魔力が読めなくなっている。

 以前なこんなもの無く外からでも魔力感知がしっかりできていたのに、本当に何があったというのか……。


 魔力感知が使えないので、千里眼ならどうか? と思ったが街の中の様子は見れず、しょうがないので門番の様子をみて判断しようと思ったが門番すらいない。

 普通門番が居なくなるなんてありえないし、もしもそうなったら即クビだ。


 ほんと、あの街で何があるというのか?


 私は魔力を完全に消し、こっそり入れるか試そうと結界に触れてみるが特にはばかれることは無い。

 だが、入ることは出来ても外に出られない魔法などが存在するので油断はできない。

 もしかして、強大な魔法の難易度、繊細さ等を考えるとどこかの魔王が攻めてきたか?


 一体何が目当てなのか?


 結局カヤ達を助けないと行けないのでその疑問は後回しにしてとりあえずこっそり入ってみる。

 入ると大通りに出るので私は慌てて小道に駆け込んだのでバレる心配も少ないだろう。


 嫌な胸騒ぎがするから、さっさとパーティーズと合流してさっさとこの街を出るかな。ここに住んでる住民たちには申し訳ないが、置いていくしかない。



 ?!


 魔力感知にカヤたちの反応有り!!

 とりあえず生きてるみたいだけど、何故かリーダーの魔力が感じない。リーダー以外はまとまってるようだ。

 それに、この魔力をダダ漏れで私には劣るが膨大な魔力……。これは魔王レベル。

ここが戦場となればカヤ立ちを巻き込み殺してしまうかもしれないからら無事なところまで連れて行って急いで転移しないと。


 私は小道を進みながらカヤたちの方向に向かっていく。

本来であればテレパシーで色々と聞きたいが、魔王による逆探知などで会話内容、居場所がバレる心配があるので今回は使用していない。


 魔王? にバレないようにこっそり進みながらカヤとの距離を詰めて行くが、遠くの方に巨大な火球が落ちていくのが見えた。

 次の瞬間、暴風が小道を襲いフードは取れ、髪は後ろに引っ張られた。

 魔力感知でわかったが、火球が落ちたところにいた住民達は全員亡くなっている。

 あれほどの魔法はカヤじゃ対処しきれないから少し急いだ方がいいな。


 その後も急ぎながらコソコソ動き、やっとカヤ達あと、100m。

 曲がり角を曲がるとカヤの姿が見えたので手を振るが、カヤたちは絶望している表情で私のことを見る。

もう、大丈夫だから。これが終わったらまたみんなで冒険しよう。私はそう思いながらカヤたちの方向に歩き出すが、カヤは泣き声で大声で叫び出す。


 「逃げて!! 逃げてください!! 私たちに近づかないで!!」


 「カヤ?」


 「やっと見つけた。最愛の紗夜!!」


 何が起きてるのか?


 カヤはなぜかそんなことを言ったのか?


 ほかのメンバーはなぜか何も言わず私に向かって歩いているのか?


 「紗夜さん、早く逃げて、早く!!」


 「カヤ?」


 「お願い、紗夜さん……。」


 「カヤ……。サナ……。アマ……。」


 次の瞬間、バァァァァァァァァァァン!!と大きな音と共に私の視界が煙に遮られた。

 しかも、1度ではなく3回も……。


 「うっ嘘だ……。嘘だ、嘘だ……。なんで……。なんで!! なんで魔力感知にカヤたちが反応してないの!!」


さっきまであった反応が一瞬にして消え、わたしの近くの反応が全て居なくなった。


 なにかの冗談かと、何度も何度も探すがカヤたちの魔力が感じられない。


 気づくと膝をつき、呆然としながら涙が溢れていた。

 そんな絶望する私に向けて嵐のように何発もの魔法が撃たれ服はボロボロ、体は傷だらけになるがそんなことはどうでもいい。


 なんで、私から。


 この前まであんなに元気だったのに。


 また、サナとアマの冗談みたいなやり合いとか、リーダーをからかったりとか、カヤが冷静に突っ込んだりとか……。


 当たり前の日常を返して!!


 それに、教えたいことだってたくさんあるのに。


 なんで、どうしても……。


 私がいる周りは先程の魔法によって小道では無くなっていた。


 「久しぶりね、紗夜。誰とも組まなかったあなたがあんな雑魚を相手にするとはね……。おかげであんなちっぽけな魔法で一瞬で殺せたわ。まぁ、どうせあなたのことだから、変えが無限にいるんでしょうけどね。知ってる、紗夜。守るものがいると強くなると同時に弱くもなるのよ。そう、今のあなたのようにね。」


 「……。」


 急に天から舞い降りてきたそいつは私が昔戦ったことのある、四天王のダークエルフ。

 元々同じところに暮らしていたと言われているが、魔王がエルフの国に攻めて来た時に裏切りエルフを殺し魔王の傘下に入ったきっかけでダークエルフは生まれたらしいが、何故こいつがここにいるのか……。

 それにさっきの言い方、魔力量など、色々考えてもこいつがカヤ達は殺した。

 私の大切な仲間、教え子、そして、大切な存在を……。


 「少し前から潜入してあなたたちの様子を見させて貰ったわ。それにしても戦場の悪魔とも言われたあなたが、あんな気持ち悪い笑顔を浮かべ楽しんいるのを見た時は吐き気を覚えたわ。あんなにカリスマ性があり、誰も引き付けないあなたがね、少しは嫉妬してつい仲間を殺しちゃったじゃない。もう、あなたのことを忘れたことが1度もないのに。」


 「……。」


 「そもそも、あんだけ魔族を殺し残酷だったエルフがのうのうと暮らせるわけないでしょ。どれだけ恨まれてるのか私でも分からないレベルだわ。そうそう、あなたが命乞いをして殺さなかった魔王は今でも城の中で怯えて暮らしてるわ。あんな腰抜け魔王の四天王だなんて私の株も下がったもんよ。 紗夜、あなたを殺して魔王も殺す。そうすればどうなると思う? そう、新たな魔王の誕生よ。しかも、魔族から神のように崇められる魔王がね。」


 「……。」


 「はぁ。精神的にやられてるあなたなんて、ゴミにも等しいわ。誰かと馴れ合う、守る相手がいるからこその逆転ね。あんな雑魚で釣れるなんてラッキー!!」


 「……ゆるさない。」


 「もう遅いわよ。今のあなたに何が出来るっていうのん」


 「お前だけは絶対に許さない!!」


 「死になさい紗夜。雷鳴よ。私に力を貸しなさい。天より神より認められ、誰よりもあなたを愛するこの私に……。」


 カヤ達が死んだことを徐々に理解してきて、プチンと何かが切れた音が聞こえた。

 今まで理性を持って行動していたが、そんな私はもう居ない。


 もう、どうにでもなっちゃえ。


 気がつくと座ったまま、周りにあったほとんどの物が凍っていた。

 誰かが見れば美しい、怖いなんて感想を言うだろうが私にはそんな余裕は無い。


 カヤは、サナは、アマは一生私の前に現れることない。


 「はぁ。はぁっ。カヤ、サナ、アマ、リーダー……。あっ。リーダー!! カマンが生きてるはず!!」


 リーダーだけでも見つけて、何としても助けないと。


 待ってて、リーダー。必ず助けるから。


 私は慌てて魔力感知に意識を傾けるが、未だにリーダーの魔力が感じない。


 死んで……。いや、死ぬわけが無い。だって、私の目の前で居なくなってないんだから、絶対に生きてるはず。


 あいつが死ぬわけがない。だって、カヤ、サナ、アマのチームリーダーなんだから。


 私は必死になって辺りを探した。


 ここもいない、あっちもいない……。


 いや、絶対にいきてるは……。グッ。


 「ほんとあなたらしく無いわね。相手の死骸を確認せずに他のことをするなんて。ほんと危なかったわ、ひとつ間違えれば私も凍っていたけど、魔力増大したおかげで問題なく生きてるわ。ほんと修行した私を褒めてあげたいわ。それに、心臓は逃したけれど、もう立ち直れないでしょ。もう終わりね、紗夜。」


 「ア・サ・ラ!!」


 私はテレポートして、一瞬で傷を治しアサラに向かって氷刃を目にも見えない速さで投げ出したが、それを後悔することになる。


 「さっさよ……。さん……。」


 「はぁ、はぁ、はぁ……。ああああああああぁぁぁ!!」


 私が投げた氷刃は急に現れたリーダーを貫通し、言葉を残すと刃の勢いで肉片が飛び散った。


 そう、私が殺したんだ。


 大切にしていたパーティーのリーダー、カマンを私の手で……。


 私は涙と手の痙攣が止まらなく、その様子を見て甲高い声で笑うアサラがいる。


 もう、こんな世界いらない。


 私がいるから傷つけるんだ。


 大切な方ほどすぐに居なくなる。なぜいつも私を置いて行くんだろうか……。


 もう消しちゃおう。


 「アイスフィールド。」


 全魔力を込め私は魔法を発した。


 いち早く気がついたアサラだったが対応もできず私の前で氷づいことだけ視界で確認し、その後意識を失った。


 もう死んでもいい、あの子達に会えるのなら。


 死んだ方がいい。


 あっちでも修行してあげるからね……。

次回予告


あれから何年経ったんだろうか……。パーティーズを目の前で死んでいき、精神的に参っている紗夜。

そんな紗夜が里に戻るが、時間が経ってしまい以前とは明らかに雰囲気が違う……。

お父さん、生きてるよね……。


次回、紗夜物語22 お楽しみに

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