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第167話 紗夜物語18

 「準備は大丈夫?」


 「「はい!!」」


 「忘れ物は本当に無い?」


 「「はい!!」」


 「出発!!」


 「「はい!!」」


 ダンジョン前に集まった私達は最後の確認をし、受付嬢の元へ向かう。

 ダンジョン前に設置されているバリケードのところに換金所などが有り、そこで対応してもらってからダンジョンに入ることができるのだ。

 ダンジョンの入口は洞窟のようになっていて奥が全く見えないようになっている。

 以前と同じであれば色々とわかるからいいんだけどな。


 「では、次はあなたたちですね。素材はここで買い取ることになっているので気をつけてくださいね。あと、どれぐらいで戻る予定ですか? 予定よりも大幅に遅れている場合探検隊を出さなくては行けませんので。」


 「だいたい10日ぐらいを予定してます。」


 「承知しました。では、気をつけていってらっしゃいませ!!」


 送り出された私達はバリケードの中に入りダンジョンの入口の前までやってくる。もちろん端に避けてだ。


 「これからダンジョンに入るけど、あまり緊張しないで大丈夫だからね。今回はグラビティもかけるつもりもないし、あまり疲れずにほほいと進む感じを予定してるから。」


 「「はい!!」」


 「じゃあ、行こっか。」


 私が先頭になってダンジョン内に入っていく。

 入る前は真っ暗だが、ダンジョン内に入ると何故か明るく見えすぐに下層に降りる階段が見える。ここを降りたら第1回層。


 「なんかドキドキするな。今までのレベルじゃあ何年も先のことだと思ってたからな。紗夜さん本当に大丈夫なんですよね!!」


 「大丈夫、大丈夫。何かあっても助けるから。」


 「実力は無し……。グラビティをしなかったのが仇に出た。」


 「そんなこと言うなよ。」


 「頭で考えるよりも行動でやるしかないっしょ。見えてきたっしょ。えっ。これがダンジョン?」


 「なんで?! こんなにも天井が広くて広大な場所に出るなんて……。夢でも見てるんじゃないかしら?」


 「寝ぼけたこと言ってないでさっさと10階層まで降りるよ。今ボスもいないことだし効率よく行くよ。」


 「「はっはい!!」」


 記憶にある下層に降りる階段の場所に行きながら徐々に下がっていった。

 途中寝ることもあったが、交代制で寝る姿勢は壁によっかかりながら武器を持つスタイル。

 正直いって半分も寝れない。

 通行人の邪魔になる訳にも行かないし、本当にダンジョンは不便だ。


 そんな私たちも11階層にやってきた。

 ここからは広大な草原ではなく、洞窟のような構造になっている。

 パーティーズが持っている剣ならば問題ないけれど、壁とか追いやられると少し厄介だ。


 「ここからは火魔法の使用は禁止だから注意してね。酸欠で死ぬ事件が多発してるから。」


 「はい。」


 「あとはやってみてって感じかな。」


 「「……。」」


 最初の頃はこんな感じに言うと暗い顔をしていたが、もう慣れたのかほぼ変わらない顔での対応になった。

 ダンジョンと言うからには盗賊などといった輩にも注意が必要だが、運良く今のところあってはいない。

 正直行けば、修行のために会いたいもんだけどね。


 「紗夜さん。このダンジョンのあかりはどう言うシステムなんですか? 冒険者が付けたんですか?」


 「もしかして、ダンジョンの手引き読んでないの?」


 「……。」


 「ダンジョンが生まれると大体の部屋が勝手に明るくなるように設定されてるんだよ。中には真っ暗な部屋もあってそこは光魔法を使いながら対処していく感じ。光魔法がなければ松明でもいいけど、危ないからね。」


 「そうだったんですね……。私光魔法の属性がないので良かったです。」


 「あっそうなんだ。カヤは全部あるでしょ?」


 「いえ、土だけ無いです。」


 「へぇ。」


 大体のエルフが全属性を使えるのに変わってるな。

 カヤは別に気にした様子も無いのでしょうがないと割り切ってるのだろう。

 その代わりアマが土魔法を使えるらしい。

 何故かアマは誇らしく語り、それを嬉しそうにサナが聞いていた。あんなことがあったけど、やっぱり仲がいいんだろうな。


 「前方にオーク二体。凍らして足止め。」


 「OK。それじゃ俺は行くぜ!!」


 「アマ早く行くよ。紗夜さん、先行ってますね」


 「みんな、待って!!」


 詠唱を始めながら移動するアマ。

 うん。しっかり成長してて、なんだか嬉しいな。

 初めの頃は動きながら詠唱なんてできるわけが無い。と変なことを抜かしていたが今では当たり前になっている。

 いつか私みたいに詠唱カットを覚えさすつもりだ。

 やっぱり効率重視じゃないと死が近づいてくるからね。


 「アイスフィールド!! 気をつけて!!」


 「わかってる!! オラオラ、こっちだぞ!! アマ!!」


 「ちょうど詠唱完了、エアー突っ張り!!」


 「ここは任せてっしょ!!」


 エアー突っ張りで、オークの上体に激しい風を吹いてる間にサナが急いで足元に行き、風が流れてる逆方向から足の関節目掛けてナイフで切れ目を入れたり蹴ったりしてオークを転ばせる。

 転ばせたところでリーダーたちの連打攻撃が炸裂!!

 もちろん魔法組は詠唱を始め次の準備を進める。


 「危ねぇっ。そろそろ死ね!!」


 「エアーアロー!!」「ウォーターアロー!!」


 「関節から攻撃っしょ!!」


 10秒ほど攻撃を続けた結果オークが魔石を残して消えていった。

 ダンジョン内では、何故かこういうシステムになっている。本当に謎だ。

 ダンジョンを出れば死んだ形で残るのに……。


 「疲れた!! 紗夜さん。休憩っしょ。」


 「そうだよね。さすがにここまで結構頑張ったもんね。」


 「紗夜さんいいでしょ? ねぇ。」


 「わかった、わかった休憩タイムね」


 「「やった!!」」


 「樹木っと。」


 木の椅子を魔法で出現し私たちはそこに座って休憩タイムだ。

 冒険者たちが私たちの目の前を通る時羨ましいような苛立ちのようななんとも言えない視線を浴びることになるが、あんなものは気にしない。

 いちいち気にしてたら精神がまいっちゃうからね。


 椅子に座りながら皆、水分補給をしたり体の力を抜いたりと結構くつろいでるが、カヤだけはそうではなかった。

 もちろん水分補給はしているが周りをしっかりと警戒をし、冒険者がら通る度にしっかりと目をくばっている。

 このパーティーはカヤがいるから安心かな。やっぱり頼れるのは同胞だけだよね。



 「それにしても、紗夜さんとだいぶ仲良くなったよね。初めはすごい怖かったけど、最近優しさが見えてくるようになったわ。」


 「マジでそれっしょ。マジ何言ってるのこのエルフ?って思ってたっしょ。しかもあのきついトレーニング。地獄に行った気分だったっしょ。めっちゃ恨んでたんだからね。でも、今ではあのおかげで強くなってるよ実感できてるし、信頼もしてるっしょ。」


 「そうだよな。紗夜さんって優しいもんな。」


 そんな会話を私がいる目の前で繰り広げているのだ。

 仲が良くなって嬉しいけど、さすがに酷いセリフ多くね?

 あの時だって心は泣いてたんだよ!!


 「そうそう。リーダーが急に紗夜さんのこと信用した時何があったん? 絶対おかしいと思ってたんっしょ。」


 「それ、私も思ってたわ。急に紗夜さんの悪口言わなくなったし、なんでもはい。って答えるようになったから怪しいんだよね。」


 「……。」


 「喋らないってことは何あったっしょ。白状しちゃいなよ。それとも、紗夜さんに惚れちゃったとか? エルフなら、カヤだっているっしょ」


 「お断り」


 「紗夜さんしかないね。リーダー結局どうなのよ?」


 「それは……。もうすぐ行きませんか、紗夜さん?」


 「もう少しゆっくりしてから行こっか。」


 「紗夜さんわかってる!! 白状しなさい!!」


 「……。内緒だ!!」


 「紗夜さんのこと好きなんでしょ。わかってるんだからね!!」


 「そんなことは……。ない……。はず。」


 リーダーはチラチラとこちらを見ながら真っ赤な顔でそう告げたが、私は一切興味が無い。

 恋愛事なんてめんどくさい塊だ。それに、魔法研究の時間も減るし私にとっては損しかないからね。


 「紗夜さんはどう思ってるんですか?」


 「興味ないよ」


 「……。リーダー。そういう時もあるっしょ。大丈夫っしょ。」


 「べっ別に好きじゃないって言ったから!!」


 私から視線を外してなんとも言えない雰囲気を醸し出したリーダー。

 ……。これは本気だったのか?

 もし本気だったら対応がめんどくさいし、嫌いになってもらいたいからグラビティでもお見舞いしよっかな。


 「紗夜さん、そろそろ。」


 「そうだね。」


 私達はダンジョン攻略の続きを階層を徐々に降りていった。

次回予告

ダンジョンからでて、今日はふかふかのベッドで寝るぞ!!

その気持ちを胸に私たちは地上にやってきた。

久しぶりの地上に眩しさを感じるがそんなことを考えてる余裕は無い。

だって、私は早く寝たいんだから!!


次回、紗夜物語19 お楽しみに

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