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第166話 紗夜物語17

 「まさか紗夜さんから食事を誘われるとはね……。」


 「しかも、こっちがお店を選んでお会計が紗夜さんなんて難問すぎだろ。」


 「カヤは紗夜さんの好み何か知ってるっしょ? 私たちよりも長い時間いるんだから。」


 「知らない。エルフなのに野菜以外もしっかり食べる。変わり者。」


 「エルフ食を中心という訳にも行かねぇか……。どうすっかな。」


 ある一室でこんな会議が開かれていた。

 もちろん紗夜はそんなことになっているとも知れず、頑張ったご褒美だから喜ぶかな? しか思っていない。


 「紗夜さんの好きな食べ物とか聞いたことある?」


 「「……。」」


 「そうだよな。ほんと謎エルフ代表って感じだもんな。そもそも、エルフ自体あまり知られていない事が多すぎるんだ。カヤ、エルフってどんな存在なのかちょっとだけ教えてくれないか? なにかヒントになるかもしれないし。」


 「分からない。里が違えば考え方も変わる。」


 「……。もう終わりっしょ。一か八かで食べたことがなさそうなお店とかしかないっしょ。」


 「そんなかけよりも安全安定の味がいい。種類も豊富で好きなの食べられる。」


 「どうするべきか……。」


 時間が迫れば迫るほど彼女たちは緊張とどうしよう精神が襲ってきて、結局何も決めることなく紗夜と合流したのであった。



 「? なんだか顔色悪くない? これからご飯だけど大丈夫? しっかり休まないと明日からダンジョンだよ?」


 「分かってます……。わかってるんですけど……。」


 「? 結局どこに行くことになったの?」


 「「ギクッ!!」」


 ? なんでこんなに慌てたような顔をしてるのか?

 せっかくだから好きなものを食べさせてあげようと思っただけなのに……。

 そんなに私と一緒にご飯が嫌だったかな?

 冒険してる時はそんな様子がなかったけど……。

 謎……。


 「それが、紗夜さん……。実は、決まってなくて。」


 「ちょっとアマ!! なんで素直に言っちゃうの?!」


 「だって……。」


 「……。この街初めてだっけ?」


 「「はい!!」」


 「それは分からないよね……。よし、美味しい店知ってるから行こっか!!」


 「「はい!」」


 なんだよ、そういう事か。

 さっきまでの真っ青な顔が嘘のよう明るくなったから、本当に困っていたのだろう。なんか変な気を使わせちゃったな……。

 まぁ、修行の一環って言うことにしとこ。これから何かあったらそうしよっと。


 ハンバーグ。ハンバーグ!!


 私はルンルンな気持ちで200年前にあったお店に向かっていく。

 途中家がなかった場所に建てられてたりとハプニングが続いたが問題なくそのお店があったところまで到着することができたが……。


 「何も無い……。」


 「「……。」」


 家すらなく雑草が生い茂ってる土地になっていた。

 移転した可能性もあるが、200年前のことなんか誰も覚えてないだろう。

 だってここは高レベルなのに何故か人族の街という意味不明なところなんだから……。


 はぁ。あのハンバーグが食べられないのか……。

 付け合せのグラッセ最高だったのにな……。


 トボトボと悲しみながら適当に歩いていると、よく分からない食事処があったのでそこに入った。

 メニューは人族向けの食べ物しか置いてなかったが、ハンバーグがあったので問題なし!!

 しかも、グラッセ付きますか? と聞いたところ付いてくるとの事だ。


 「私は紗夜さんと同じにする。エルフ同士合いそう」


 「私は焼き魚っしょ。故郷では魚ばっかり食べてたから、食べると元気になるっしょ。」


 「私は……。サナと同じにしよっと。」


 「俺は……。おすすめでいっか。」


 そんな感じでメニューを注文し、美味しく頂いた。

 私が行きたかった店のグラッセの方がおいしかったが、ここもなかなかいい味を出している。

 一度作ったが甘すぎて食べられるものではなかった。料理の才能というものは凄まじい。


 「紗夜さん、美味しかった」


 「それなら、私もハンバーグにすれば良かったっしょ。もちろん焼き魚も最高だったけど、食べたことが無い味って美味しいと聞くと食べたくなるっしょ。」


 「今度みんなで行ったら分けて食べましょ。そうすれば色んな味を楽しめておなかいっぱいにもなるわ。次回が楽しみだね。」


 「次回があればね」


 「「……。」」


 そこからは誰も一言も話すことなく宿屋に戻り皆が就寝したのを確認してから窓から宿屋を出た。

 引率だから、情報を持ってないとだよね。

 少しめんどくさいけど、一人でもかけないためだ。

 なんかカヤ達の考え方が写ってる気がするが……。まぁ、いっか。


 エルフだとバレるとめんどくさいのでフード付きの上着を収納魔法から出して深く被りギルド内にある酒屋に入る。


 「ぷっはぁ。新人の子守りは大変だぜ!! まぁ、その分羽振りがいいし、命の架け橋もないし安心ではあるんだけどよ。ヒリヒリ感がないってもんよ。ゴブリン一匹倒すぐらいで喜んじゃうんだぜ。笑っちまうぜ!!」


 「お前のところのリーダーもめんどくさい事ばかり押し付けられるよな。それなのに全て受注する。あれば受付嬢に惚れてると見た。実際どうなんだ?」


 「鼻の下伸ばして対応してもらってるよ。その代わりつまらなかったり、危ねぇ橋ばっかりだけどな。」


 「生きてるんだから満足だろ」


 「たしかにな!!」


 「知ってるか? 10階層のボスが倒されたって。さっさと渡らねぇとめんどくさい事になるか。」


 「それなら明日行くしかないわね。リーダーに言っとくわ。同部屋だからね。」


 「相変わらず仲がよろしいことで!!」


 そんな冒険者たちの声が聞こえてくるが、私が欲しいのは情報だけ。

 でも困ったことに私はあまり人とのコミュニケーションが良くないので、酒を注文しちびちび飲んで盗み聞きをするだけだ。

 盗み聞きをしていたら、私たちのことを話している会話を発見?!

 なになに?


 「見たかよ。あのエルフの冒険者。やっぱりエルフはいいよな。なんでか分からねぇけど、ここは他種族があまりやってこねぇから人族だらけでつまらねぇ憧れが強くなっちまう。」


 「噂には聞いてたけど、あそこまで美しいとは聞いちゃいねぇ!! あれは本物だな。いっぺんでいいから付き合ってみてぇな。あの男は今頃お楽しみなんじゃねぇのか?」


 「いやいや、ああいうやつに限ってなんにもないんだよ。つまらねぇ男だろ。知り合いのパーティーがそうだったんだ。周りから羨ましがられてたけど、中はレズパーティー。ただの幼馴染だから入ってるだけだって。それ聞いて涙が止まらなかったぜ。」


 「それは悲しいな……。笑顔の街と言われてるこの街にも悲しい顔が存在するんだよな。」


 「だよな!!」


 「……。」


 それ以降は私たちの話を聞くことはなかったが、リーダーは可哀想な奴扱いになってしまった……。

 なんで冒険者は下ネタが好きなのか……。めんどくさい生き物。


 ダンジョンの方だが、あまり収穫は無く12時を回ったので宿屋に戻り就寝した。


 酒はおいしかったが、無駄な時間を過ごしたな……。

次回予告


やっとダンジョンに突入。グラビティも解き、動きが見違えるほど良くなってる勇者パーティー。

それに、休憩中くだらないことばっかり話してるし、もう少し危機感持って!!


次回、紗夜物語18 お楽しみに

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