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第165話 紗夜物語16

 その後のアマとサナはいつも通りに過ごしていた。

 他のメンバーもギクシャクが無くなり、目立った喧嘩もなく森を抜けることが出来た。


 そして、森をぬけた先に二つほど街があったが、当初の予定通り素通りし、この後は最後の森入る予定だ。

 初めの街は初心者より少し上って感じだが、二つ目はガッツリ中級者用の街。

 そして、これから向かうのは上級者向けの街のはず。

 まぁ、100年も前のことだから、合ってるか分からないけどね。

 そんなことは置いといて、また森に向かってレッツゴー!!


 「紗夜さん、本当に街に寄らないんですね。少しはゆっくりしたいとか考えないんですか?」


 「それ私も思ったっしょ。だって、初めて行く街なんてドキドキワクワク止まらないっしょ。実際少し期待してたし、洋服だって見たかったっしょ。」


 「遊びに来てる訳じゃないんだから。それとも置いていって欲しかった?」


 「「いえいえ。」」


 サナとアマは意気投合しながら私に声をかけてくれてなんだかうれしくなる。

 あそこまで揉めていたが、今では一番最初に助け合ってるもんな。日々成長とはこのことだよ。

 グラビティも徐々に重くしてるし、最後の街に着く頃には見違えるぐらいの強さが手に入ってるはず。


 そのまま道なりに進み森も見え進んでいると、


 「紗夜さん。あそこの森からすごいオーラ感じます……。」


 「えっカヤがすごいオーラって言うんだから、俺らじゃ無理じゃん。紗夜さん、考え直してください!!」


 「カヤ、それってグラビティが入ってるからって理由っしょ。一時的に解除してもらえば大丈夫っしょ。」


 「そうだよ。」


 「……。そんなんじゃ勝てない……。レベルが違いすぎる……。」


 「さすが魔力感知だね。あの森の魔物は多分一瞬でやられるから対処はこっちでするから大丈夫。その内カヤには楽勝に勝って欲しいんだけどね」


 「……。」


 みんなの足が遅くなり始めるが、私は変わらないスピードで歩いていく。


 「ひぃっ!!」


 「あっアマ?!」


 「しっかりするんだ!! アマ何があったって言うんだ!! カヤ?」


 「……。」


 「どうして止まって動かないんだよ!! ほんとどうしたんだよ!!」


 「ぬっぬえ。鵺があの、森に……。」


 「鵺なんておとぎ話だけでしょ。現実にいるわけないっしょ。アマ相当疲れてるっぽいから、私の肩貸すよ。しっかり楽させるっしょ。」


 「そっ。そうじゃない。ダメ。あんな森入ったら二度と出られない……。」


 「「アマ……。」」


 アマは真っ青で地獄でも見たかのような顔で発言した。

 確かに鵺が通ったが、なんのあれしき。

 それに戦わないんだから、大丈夫なのに。


 「いつまでもゆっくりしてないで、行くよ。」


 「さっ紗夜さん。考えせんか? 鵺ですよ。さすがの紗夜さんでも生きて帰って来れても傷だからけですよ……。」


 「大丈夫、大丈夫。鵺ごときパパっとやっつけちゃうから。」


 「「……。」」


 みんなの足が重いまま森の中に入っていく。

 魔力感知的に色んな魔物がうじゃうじゃいるのがまるわかりなうえに、入ったばかりの私たちを狙う魔物も大勢いる。

 魔力を解放させれば慌てて逃げるが、今回は訓練ということなのでそれはしないつもりだ。

 恐怖に打ち勝ってこその成長だからね。



 バキツ。バキッ。


 バキバキバキッ!!


 「高魔力反応が向かってきてる。紗夜さん!!」


 「あっアマ?! しっかりして!! こんなところに座り込んだら、もう終わりっしょ!!」


 「あっ、あれが鵺……。終わった……。」


 「「紗夜さん?!」」


 ドシン!!


 「「……。止まってる……。」」


 走ってきた鵺は私が展開しておいた防御魔法にぶつかり頭が少し回ってるのか動いていない。

 そもそも鵺ごときで騒ぎすぎなのだ。


 「ダイスカット」


 「「ひっひぃ!!」」


 私の魔法により、一瞬で鵺は巨大サイコロステーキの形に分解され、地面にボトボトと落ちる。

 鵺の肉は美味しいので収納魔法にしまいたいが、血がべっとりとついてしまっている。ということで、生活魔法をしっかりかけてからしまった。

 ステーキにすれば絶品だから楽しみだな。


 私はルンルンだが、アマは腰を抜かしサナはアマを抱いて守る姿勢を取りカヤは棒立ち。

 肝心のリーダーは立ちながら意識がなくなっている……。


 ちょっとだけ休憩かな。



 彼ら全員が目覚めるのは一時間後だった。


 「あっ!! ぬっぬえ!! ぬ鵺が!! ってはぁ。」


 「大丈夫?」


 「ありがとう。ちょっと腰抜かしちゃって立てなくなっちゃったわ。紗夜さん。すみませんが少しだけ休憩してもいいですか。」


 「紗夜さん。私も賛成っしょ。なんだか心の奥から震えが止まらないっしょ。お願いします。」


 「一時間だけね。」


 また一時間休憩することになった。

 気絶をしなかったカヤにとってはラッキーだと思っていたが、顔色が未だに治らず。

 実力が着いても、今までの常識を変えるのにはやはり時間がかかるだろう。

 それに、カヤたちパーティーズでは、鵺を相手にすると秒殺で亡くなるレベルだからね……。


 今回の休憩時間も誰も話すことなく自分との戦いをして終わった。


 「よし、出発!!」


 「「……。はい。」」


 「特別にグラビティは解いたから、元気に行くよ!!」


 「「……。はい。」」


 そんな感じで森の中で二日間過ごし、やっと次の街が見えてきた。

 結局鵺を数匹倒しただけでそれ以外目立ったことはなかった。

 夜中も流石に可哀想なので私の防御魔法を展開し、ぐっすり寝てもらったので体力は万全。

 あとは精神面だけだ。ここまで精神がすり減ると思っていなかったので、あそこの街で少し休憩するつもりだ。


 「見えてきたよ。あれがアカラーナ。」


 「紗夜さん。今回はゆっくりしせんか? 一泊でもいいので、検討して欲しいのですけど……。」


 「そうだな。流石に色々ありすぎて疲れたな。紗夜さんどうにかなりませんか?」


 「「お願いします!!」」


 意気投合しているパーティーズからそんな言葉を聞き速攻承諾した。

 承諾をしないと思ったのかすごい驚いていたが、たまにはリフレッシュも大事だよね。と言うと変な顔をされた……。

 私をなんだと思ってるのか。


 あの街を出たら鵺の料理を作って元気にさせてダンジョンがある街に進む予定。

 ここからすぐに着く上に魔物とほぼ会うことがないので安心安全だ。


 よし、休むぞ!!


 私たちは街へ入るため街の入口へ向かう。

 記憶が正しければ三つほど街へはいる入口があり、そこで身分証を見せ街へ入るシステムになっているはず。


 そうそう。こんな感じで……。


 「エルフ様、このような街に来てくださいましてありがとうございます。領主様がお会いになりたいそうなのでお願い致します。」


 そうそう、こんな感じで。


 「なんて、美しいんだ!! すまないエルフ様。もし良ければ私の妻としてこの街に残ってくれないか? もちろん望んだものをなんでもあげよう。そのお連れにも何にでもあげるつもりだ。」


 そんな感じで……。


 「わしの妻にならぬとは? しかも二人ともなんて、ありえん!! 領主だぞ!! 俺をなんだと思ってるんだ!! おい、あいつらを呼べ。早くしろ!!」



 「ひぃっ。ごめんなさい!! こんなこと二度と致しませんので許してください!! 王に言う……。それだけはそれだけはご勘弁を!!」


 「こちらが私のコレクションです。そして、こちらが今出せる財産になってます。ひぃっ。隠してません。そんなことしません!! ベットの裏の扉……。ひぃ。すみません!!」


 「もう本当にありませんので、許してください!!」


 そんな感じで……。


 いや、こんな変な街は知らない。

 一泊する予定だったが、金をもらってすぐに退散した。

 先程のやり取りは全て録画という魔法に入っているのでいつでも見返す事が可能。

 譲渡やコピーも可能なので、いつもいる街に戻ったらギルマスに頼んで王都まで運んでもらうつもりだ。

 ほんとへんな街だったな。


 「ほんと最悪よ。なんでも自分のものになるなんて考える領主なんて、そんなの民がしてたらすぐに居なくなるわ!!」


 「ほんと胸苦しいよね。マジないっしょ。あんな街さっさと離れて正解っしょ。」


 「カヤ、エルフってだけでああなるから、いくらかは強くなっておくように。」


 「はい。」


 「はぁ。」


 なんやかんないって街に行くのが楽しみだったので、なんだか損した気分。変な街ではなかったらな。

 美味しい料理でも食べて元気が出せたり、魔導書を探したりと色々する予定だったのに……。


 はぁ。


 そこまで離れていなかったのが幸いで、その日の内に次の街に着くことが出来た。

 今回は領主に呼ばれることなくすんなり入れた上にギルドでダンジョン通行証も貰えた。

 今日はゆっくり宿で休んで明日から開始だ!!


 とりあえず、宿屋確保っと。

次回予告


せっかく街についたのでみんなで食事タイム!! 好きな物食べていいよ!! と言ったが、なぜかみんな困った顔をしている。

えっ。私に気を使って決まってない?!


私怖がられてる……。


次回、紗夜物語17 お楽しみに、

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