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第163話 紗夜物語14

 リタイアしそうなサナをどうするかな?


 とりあえず、魔物がうじゃうじゃいるところに放り込んでいやでも走らせるか?

 それとも、操り人形みたいにして無理やり着いてこさせるか……。

 でも、精神が鍛えられないか……。


 どうするかな?


 私は真剣に考えていると、カヤがスピードを急にスピードを落とし始める。

 さっきまで喋る元気があったから、こんなことはありえないはずなのにな?


 カヤはスピードを落としながらボツボツと呟いたあと、小走りで遅れているサナとアマのところに向かった。

 アマは自分をまた助けてくれる。と思ったのか目が少し輝いていたが、そんなアマを通り越してサナのところに到着。

 アマは少し絶望したような顔をしていたが、これはしょうがないだろう。



 「サナ、みんな一緒。誰も置いてかない。」


 「カヤ……。このままだとカヤまで置いてきぼりっしょ。頑張ってるんだから、私なんかに構っちゃダメっしょ……。」


 「サナ、違う。私たちはパーティー。一人もかけては行けない存在。だからサナ一緒に行く。」


 「ダメっしょ……。私なんて置いていくっしょ。」


 「サナは大切な仲間。絶対に置いてかない。」


 そう言ってつらそうに座ってるサナを無理やり自分におぶってカヤは走り出した。


 サナはカヤが向かってる途中から涙目になり、唇を噛みながら我慢してるのが伺えた。

 それを見ていたアマはなんとも言えない表情をしていたが、これはカヤたちが解決する問題。


 私たちエルフは耳がいいので、サナが小さな声で抱きつきながら「ありがとう」という声もしっかり聞こえた。


 カヤがどれぐらい頑張れるかによって変わってきそうだな……。このパーティー。


 私は休憩することなく森に向かってる進んで行く。

 とりあえず、森の手前まで来たので遅れ組を少し待つかな。

 このまま突っ切ると遅れてないリーダーがウルフなどと戦って不利になっちゃうからね。フェアじゃないと。


 「みんなが揃うまでちょっと待とうか。」


 「はい。」


 私たちが止まると、私の声が聞こえていないであろうアマは目を輝かせながら私たちの元へ向かってきた。

 アマが到着するのと、カヤたちが到着するのはほぼ同じ感じだ。


 「えっと、サナちゃん?はどうするの? このままカヤにおぶってもらって森を進める感じ?」


 「さすがに森は危ないから一人で歩くっしょ。ありがとね、カヤ。」


 「何かあったら何時でもいって。」


 「ほんと助かる〜。」


 「それよりも、これから休憩ですか?」


 話をそらすように言ったのはアマだった。

 アマはサナの方は一切向かずに私の方に訴えてきた。

 そんなアマを見たサナがなんだか言いたそうな顔をしているが、我慢していた。


 「みんなの足並みが揃うまで待っただけだから、進んでいくよ。しっかり着いてきてるリーダーにとってはちょっとした休憩だったけどね。それじゃ行こっか。」


 「「……。」」


 重たい空気が流れている中私たちは森の中に入っていった。


 森の中は道が整備されてなく、慣れていない方には非常に体力を消耗するようになっているが、エルフである私とカヤは問題ない。

 特にカヤは、里で誰とも合わないようによく森で散歩をしていた。とこないだ言っていたので私よりも消耗は少ないだろう。

 私は何故大丈夫かって、引きこもる前はしっかりと散策してたからだよ。

 そんな引きこもりが、なぜここまで体力が持つのか? と言う身体強化だ。

 魔力量が比べ物にならないほど持っている私からすれば、どれぐらい使っても問題はない。

 身体強化なしだと、数メートル進むだけで疲れてしまうレベルだけどね。

 まぁ。何にせよ、結果良ければ全てよし。ってことだよね。


 「サナ、アマもう半分切ったぞ。だから頑張るんだ!!」


 「グラビティを貰ってないリーダーに言われてもね……。」


 「魔物出てきたらリーダーにまかせるっしょ。私たちは限界ギリギリなんだからっしょ」


 「そうだよね!! あっ。……。」


 「……。」


 「「……。」」


 はぁ。少し会話があったと思えばこんな感じだ。

 二人の意見があっても、顔を見合わせると急にだんまりになってしまう。

 ウルフと戦わなくちゃいけなくなるからそんなこと言ってる場合じゃなくなるよね。


 「前方にウルフ。……。20体……。」


 カヤが冷静に言うが、アマとサナは地獄にでも言ったかのような顔になった。


 「そんな数経験したことないっしょ。それにこんなにも疲れて、剣を握るのも一苦労。無理っしょ!!」


 「いや、戦ってもらうよ。それに、リーダーとカヤが動けるから問題ないでしょ。あとはお荷物だから、そこら辺でゆっくりしてもらえればいいんじゃない?」


 「言い方があるっしょ!!」


 「ほんとそうです。」


 「だったら強くなりな。そうすれば問題ないでしょ。そして、相手の行動もしっかり読めれば怪我をすることも無くなるし一石二鳥にもなるでしょ。少しは考えたら?」


 「もう、どうにかするしかないっしょ!!」


 「?!」


 サナは無理やり気合いを入れ、遅れ気味を取り戻し腰にかけてあるナイフを構えて戦闘態勢を取る。

 それを見たリーダーも慌てて戦闘態勢になるが、さすがカヤ。

 既に魔力を練り始め何時でも攻撃することができる。


 だが、こういう場所で修行をしてこなかったのでつい火魔法とかうちそうで内心ヒヤヒヤしている。

 もちろんすぐに消すことはできるが、もしもの事を考えるとね……。


 「ウァオーン!!」


 「くっ来るぞ!!」


 体力ボロボロの状態でウルフとの先頭が始まった。

 そう、始まったはいいが、何も出来ないまま傷らけになりそうだったので、防御魔法を展開しておいた。


 肝心のカヤは魔法を使おうとしたが、狭いところで何を使ったらいいのか判断出来ず、結局身体強化で何とか相手にする形を取っていた。

 威勢が良かったサナだが、疲労が限界を達していてウルフの突進で床に倒れそこから何も出来なかった。

 アマも同様だ。リーダーは空振り全開!! 結局手伝って終了した……。


 今回は特別に助けてあげたが、この後が思いやられる……。


 「疲れてなければ私たちは行けたのですが……。」


 「それは言い訳。」


 「でも、ほんとそうですよ。私たちが。あんなに修行した私たちがやられるわけないですよ。絶対疲れが、溜まってたからああなったんですよ!!」


 「絶対そうっしょ。紗夜さんの教え方が……。なんでもないっしょ……。」


 「ごめんなさい……。」


 「紗夜さん。グラビティかけるなら俺にかけてください。こいつら少し愚痴が出ちゃっただけなので!!」


 「そうだね……。とりあえず、アマとサナで決闘しよっか? 買った方はグラビティ解除。負けた方はそのままっていう感じで。もちろん手を抜いたらどっちにもかけるからね」


 「後衛に負けるわけないっしょ。」


 「頭のない前衛にはもちろん勝ちますよ。」


 「訳わかんないっしょ。」


 「そちらこそ!!」


 目を合わせるがバチバチと音がなりそうなぐらい気合十分な二人。周りに魔物も居ないし、思う存分やってもらおうか。

次回予告

 限界突破しているサナとアマが戦うって?

 仲間だからもちろん本気じゃないよ。と問いたいが二人の目は人を殺す目をしている。

 そんなの仲間に向ける目じゃないよ……。


次回、紗夜物語15 お楽しみ

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