第162話 紗夜物語13
「なんであの時私を置いていこうとしたの?」
「普通自分優先っしょ。誰かに構ってる暇なんて1ミリもないっしょ。逆に私が足引っ張ってたら助けてくれたん?」
「当たり前でしょ。だって私たちパーティーなんだから!!」
「そしたら、考え方が違っただけっしょ。そもそも、こんなにキツイって教えられてるんだから、無理そうなら着いてこなければよかたんっしょ。そうすればカヤの負担だって減ったっしょ。」
「問題ない。」
「そういうことじゃないっしょ。私は足を引っ張るなって言ってるっしょ。」
キツめに言ったことにより言われた女の子はポツリポツリと涙をこぼした。体力、精神的にも限界を達してしまったのだろう。それに、〇〇っしょ。だってそろそろ限界のはずだ。そのせいで誰かに八つ当たりしてしまってる。
私が止めてもいいが、パーティーの問題だから口出しはしないつもり。
あと、名前聞かないとね……。
「後衛だから体力ないっていうのは関係ないからね。だって、カヤだって紗夜さんだって魔法使ってるっしょ。それであの体力、ただの言い訳しかならないっしょ。」
「元々カヤだってあまり体力が無い方だったわよ。紗夜さんと修行してから身についたってことでしょ。なんでこんなに私が責められるの!!」
「あんな短時間であそこまで体力つくわけないっしょ。冷静に考えるべきっしょ。ほんと邪魔ばっかりするんだから。」
「私がいつ邪魔をしたと言うのよ!! 今回は私も自覚があるけど、他はないわ!!」
「ほんとよくいうっしょ。こないだって……」
「はぁ。」「……。」
リーダーは最初は反論などをしていたが、女性二人の圧により会話に入れなく一人縮こまっている。カヤは私の隣で少しあわあわしているが、問題ないだろう……。
うん。多分。
後で、魔物の住処にでも置いてきて精神鍛えないとね。
それにしても、揉めると思ったけど、想像以上に揉めてるな。
時間的に揉めてもあと10分。休憩という最高の時間を体力消耗するということは、後半はもっとスパルタでも大丈夫ってことかな?
どうしよっかな?
そんなことを考えていると、喧嘩はヒートアップしていき二人とも胸ぐらを掴みあっている。
殴りはしないものの、いつ殴ってもおかしくないぐらいの雰囲気。縮こまってたリーダーもあわあわしだしたし、時間も来たから終わりにするかな。
パーティーをほぼ組まないからこういう楽しいことがかけるんだよね。見れてよかったっと。
「はいはい。そこまで、休憩時間終了〜。」
「今、そんな場合じゃないっしょ。分かんないの?」
「紗夜さん。私に対してあんなこと言ったんですよ。一言謝って貰うまで私はやめません!!」
「はいはい。喧嘩するだけの元気があるんだね。グラビティ1.5,」
「「?!」」
「元気があるってことは、全然余裕ってことだよね。だから、体重を1.5倍にし少しきついトレーニングね。それと午後は午前中の倍歩くつもりだけど、喧嘩するほど元気があるんだから大丈夫だよね。途中おぶって貰う余裕すらないもんね。」
「待っつっしょ。」
「2倍の方が良かった? それとも3倍?」
「元に戻さないとついていけないっしょ。」
「ほんとですよ。戻してください。もう喧嘩しませんから。」
「それじゃあつまらないでしょ。それに、私はカヤ以外どこで死のうが関係ないないし。流石に同胞が目の前で死ぬのは心が病むからね。そうそう、着いて来れなかったら魔物に食われて終わりだから。あっ。あっちのドラゴンが住む山にでもハイキングに行く? そうすればさっさと脱落してくれて効率よくほかのメンバーを育てられるけど?」
「「ごめんなさい」」
「謝って欲しい訳じゃないから。とりあえず、その重力で予定通り進もうっか。それと、おぶって貰うの禁止ね。二人は余裕があるみたいだから」
「「……。」」
泣きそうな顔をしていたが、そんなことは無視無視。多分カヤ当たりが助けるかもしれないが、どう出るかはカヤ次第だからね。
今後が楽しみだ。夜とか喧嘩とかしてくれないかな。元気があるから二倍とか言えるのに。そうすればカヤとこ差を早く解消できるからね。
カヤはこっそり私の修行場所で鍛えたからざっとB級程度だからね。
よし、出発!!
「あっ。カヤは他の子よりも余裕あるから、二人みたいにグラビティかける? そっちの方が負荷がかかって強くなるけど?」
「やめときます。後半のきつさが分からないので。」
「お仲間は1.5倍だけど、いいの? いちばん強い自分が1倍のままで。私だったら恥ずかしくて2倍以降じゃないとやって行けないけどね。もちろんカヤ自信が決めることだからいいんだよ。でも恥ずかしくないのかなって。それにこのままだったら弱いままだと思うけどな〜。」
「やります!!」
半泣きの状態で決意したカヤ。ほぼ強制だと言う方がいるかもしれないが、これはカヤのことを思っての行動だ。決して自分のストレスをカヤで発散している訳では無い。
頑張れ、同胞!!
「グラビティ2っと。よし、出発!! 途中で追いつけなくなったらどんどん置いていくからね。リーダーだけは何があっても置いてきぼりにはならないと思うよ。だって、グラビティかかってないんだもんね。」
「……。」
そんな感じで始まったただ歩くだけの修行。体重が急に1.5倍や2倍になっているので動きずらそうにしている様子が伺える。特に喧嘩していた二人。身体強化をする余裕すらない感じで始まって数十メートル進んだだけだが、既に少し遅れているご様子……。
ちょっとした怖い目でもあってもらおっかな。言うて幻術とかできるし。
そんなことを考えているとカヤから「怖い顔してますよ。」と言われたので慌てて別のことを考えている始めた。
いつかカヤもこうなるんだろうな。
あっ。そうそう、名前聞かないとだった。私はカヤにテレパシーを使う。
「パーティーメンバーの名前教えて。」
「えっ。あっ。はい。リーダーがカマン。っしょ。っていう子がアマ、もう一人がサナです。」
「OK、ありがとう。どう? グラビティの調子は?」
「やっぱりキツイです。身体強化の魔力を増やして対処してますり後々に響そうです。」
「まぁ。頑張って。そのうちなれるから」
「はい……。」
一時間後……。
カマンとカヤは順調っと。
アマとサナは100mほど遅れてる感じか……。頑張って着いてきてる感じはあるけど、この後は距離が離れていくだけ。まぁ、悲鳴をあげないだけまだマシか。多分あんなことがあったから、きつくなっても何も言わずにリタイアしていくだけだと思うけど。
「紗夜さん。あの二人はどうするの? 結構離れていたけど。」
「あのままでいっかな。二人は相当キツそうだけど、その分力が着いて最終的にはやって良かったっ思えるからね。」
「多分二人は気づかないかと……。」
「そしたらその時じゃない?」
「はっはぁ。」
「……。」
カマンは会話する余裕すらもないのか全くと言っていいほど会話に入ってこない。頷くという行為さえもしないんだから、相当キツイはず。これをあと四時間。いつまで着いてこれるかが見ものだね。カヤ含めて。
その前に魔物と遭遇してどれだけ動けるか確認と、体力消耗しとかないと。距離的に今がJustタイミングかな?
ようやく本日野宿する森が見えてきた。魔力感知で魔物を探ってみたが、森の初めから少し歩いたところにウルフの群れぞいる。ちょうどいい運動だね。
「このまま森に進んでいくよ!! あそこで野宿するから、色々と周りを見ながら行動しておいてね。」
「「……。」」「はい」
今までと表情を変わらないのはカヤだけで、他の三人は真っ青な顔を来ていた。
おおっ。ついに、サナの足がとまった。魔物と聞いて怯えてるんだろう。あんなガクガクな足じゃ逃げることさえもできないからね。
それを見たアマは、少し見下したようにサナを見て何も言わずに私に着いてきてる……。
ほんとチームワーク最悪だよね……。あんな事件があったけど、少しぐらい助け合いしてもいいと思うんだけど……。
はぁ。どうしたものか……。
次回予告
今度はサナがリタイア寸前?! アマのことを助けなかったから、誰も助けてくれない可能性もある……。
自業自得だ。しょうがない。
……。
頑張れ。
次回、紗夜物語14 お楽しみ