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第159話 紗夜物語10

 「一回休憩入れよっか」


 「はい!!」


 魔力循環を一度といてもらってゆっくりリフレッシュタイムだ。本来であればリフレッシュタイムだからと言って魔力循環を休ませるという甘々な考えにはならないが、彼女の生まれ故郷の話を聞いてしまいなんとも言えない気持ちになってしまったがためにこんなことを言ってしまった。

 ぼちぼちやればいいよね。


 「調子はどう?」


 「一時間が長いことを知りました。」


 「まぁ、それは人それぞれだからね……。この調子でできそう? 魔力循環は魔力消費量も少ないし、魔力関係だけでいえば数日はで居そうだけど。」


 「あと数時間はできます。」


 「それなら、休憩を挟みながら寝るまでやってもらおっかな。基礎中の基礎は体にし見つけておいた方が色々と楽だからね。それに魔力感知を使えるエルフしか何やってるのかわからないし、私の修行では魔物退治もないからね。」


 「一日中ですか……。」


 「そのぐらいできるでしょ。限界超えないと強くなれないよ。」


 「頑張ります!!」


 コップに入ったお茶をグイッと飲んで気合いを入れたカヤ。門が閉まる夕方までこの調子で続けたのであった。


 「よし、今日は終了。あっ。終了と言っても私と離れるだけで一人でも魔力循環やるんだよ。サボったら魔力感知ですぐにわかるから。」


 「流石に限界超えてます」


 「教えるのやめよっかな……。」


 「なんでもありません。やります!!」


 「とりあえず一週間それを続けよっか」


 「はい!!」


 お金が無いので労うこともできず、私の宿屋の前で別れを告げ私は自室に帰宅する。夕食の準備はもうできてるらしいのでゆっくりした後いただく予定だ。あの後パーティーズも来なかったみたいだし順調順調。早く換金のお金入ってこないかな。


 そんなのんきなことを考えながら夕食を食べ就寝しようとしたがちょっとトラブル発生だ。


 しかもパーティーズのリーダーがめんどくさい事に巻き込まれてるっぽい。まぁ。カヤがいないからほっといてもいいんだけど、気づくと仲間が死んでたら修行に支障が出るかもしれないからな。


 はぁ。


 ため息を着いたあと着替えて準備万端。


 「テレポート。」


 「すみません。混ぜて貰えませんか? 随分楽しそうなお遊びしているのですね?」


 「おい、誰だ?」


 「アニキ、アニキこっちもやっちまいましょう。どうせこの街で俺らに勝てる存在なんて指で数える程なんですから。」


 「それもそうだな。あのエルフのせいで景気が悪いんだ。すまんな嬢ちゃん。このバカと一緒に痛めつけさせてもらうぜ!!」


 「おい、逃げろ!! ここは俺だけ」


 「おいおい、何偉そうなこと言っちゃってんの? 自分の状況わかってる?わかってないよな。はっはっは。そんなに顔面地面にくっついてるのが嬉しいのか!!」


 ちょうど月の光がパーティーズのリーダーを照らしているが、ちょっと派手めな冒険者に顔を踏みつけられ床と顔がくっついてるしまっている。

 しかも、グリグリと足を動かし床と顔面がスリスリといたそうな光景。

 流石に可哀想だな。


 はぁ。さっさと助けるかな。


 コツコツコツコツ。


 「おいおい、あいつこっちにきやがったぜ。逃げもせずに。度胸だけは認めてやるよ。」


 「アニキ、今日の夜にもこの街から離れましょうか。金も手に行ったのでのんびりできまっせ。」


 「楽しみだな。」


 「街に出られるといいね。」


 「「はぁ? はぁぁぁ?!」」


 私が近づいていく事に月の光が私を照らすようになり徐々に顔が見えたのか悪党たちの顔はだんだん真っ青になっていく。


 「「ひぃ。」」


 「随分楽しそうじゃないか。人の嫌がることはしないと言うからね。君たちもどんな顔をするのかが楽しみだよ。」


 「ひぃ。化け物だ!!」


 「あっアニキ!! あのエルフ。そうですよね!!」


 「ああ。そのはず……。ちょっと待てよ。こっちには人質がいるぜ!!」


 「流石にアニキ!!」


 「ガキが欲しければ言うこと聞いてもらおうか。」


 少し引きつった顔で言うが何言ってるんだこいつら。あのリーダーぐらいすぐにでも回収できるって言うのにそんな余裕なんて見せて。ほんとに雑魚が増えたな。


 「俺のことはいい。早くギルドに伝えてくれ!! あんたならできるだろ!!」


 「床とお友達の癖によく喋るやつだな。」


 「ほんとだぜ。アニキ。」


 「はぁ。テレポート」


 「あがっ。」


 パーティーズリーダーにテレポートを上空に移動させる。あわあわと慌て結局何も出来ずに床とぶつかるが、ギリギリ意識は残っている。もう一人は兄貴が負けると思っていなかったのか謝罪の声が止まらないり


 なんの茶番だよ。


 「樹木。これで終わりか。」


 「「ん!!んん!!」」


 とりあえず樹木で木を生成し縛り上げるついでに口も封じといた。騒音だからね。


 ギルドに行って帰って寝ますかな。


 「なんで助けたんだよ。俺、あんなことやったのに。」


 雨が降っていないのにポツリポツリ音が聞こえると思い振り返ると彼は泣いていた。その涙は悲しいものではなく悔しいだけでもなく色んな感情が混ざりあってるようだ。


 「カヤの修行の邪魔になるでしょ。あなたが死ねば。それだけ。それがなかったら助けないよ。ただの迷惑冒険者だからね。」


 「俺が弱いからだよな。威勢よく言ってるのもそれを隠すためなんだ。でも、あんな恥ずかしいことがあってギルドからも笑いもの。それに、金貨を見られこのザマ。俺たちがパーティーをやる理由ってなんなのかな?」


 「知らないよ。めんどくさいから早くギルドに行こ。」


 「……。うん。」


 威勢よく言っているのが当たり前になってしまったので、弱々しいと少し接しにくい。人々はコンプレックスがどこかしらにあるが彼のコンプレックスはなかなか厄介なものだ。そのせいで敵を作りすぎてしまうから。

 まっ協力なんてしてあげないけどね。


 私たちはギルドに向かって歩き出した。樹木で捉えた悪党共はとりあえず空中で浮かせながら移動している。


 「あの。カヤのこと修行つけてくれてるのですよね……。ありがとうございます。あっ。つけてなかったら忘れてください。」


 「はいはい。」


 「カヤは人一倍頑張り屋さんなのでお願いします。俺たちなんかと本当は一緒に居ない方がいいんですよね。」


 「さぁ。それは彼女自身が決める問題なんじゃない?」


 「俺たちのパーティーにエルフが入ることによって逆に気を使わせてるなってたまに感じるんです。」


 「じゃあ脱退させれば。」


 「それは……。」


 「なにか思ってることがあるから脱退の言葉を言い出せないんでしょ。本当は怖いんでしょ。彼女がいなくなって弱体化するパーティーが。自信が無いんでしょ。そんなパーティーなんて言ってもC級程度だよ。それに見ていてつまらないし、魅力もない。」


 「……。」


 「パーティーリーダーが変わればパーティーの色も変わる。そのことに気がついてない時点でね……。」


 「すみません。」


 「でもいいんじゃない。今知れたんだから。知らないまま生きてる冒険者もいるんだから。どうするかは自分たちで決めれば。」


 「はい。そうします。」


 「それに、今の喋り方の方が接しやすいとは思うけどね。いきなりあの態度で来られるとただの喧嘩腰野郎になるから。気をつけな。」


 「はい……。すみません。」


 そんなことを話している内にギルドに到着した。回復魔法をリーダーにかけたって? かけるわけないじゃん。ただの魔力の無駄だからね。いくらあってももったいないことには消費しない主義なんですよ。


 「ひぃ。ギルマス!!」


 「まって!!」


 相変わらず受付嬢が奥へ逃げていく。はぁ。めんどくさい。受付嬢が対応出来ればスムーズに行くことを。

 時間が時間なためギルドにいる冒険者の数も少なくそこまでうるさくないのは助かった。


 「すみません。あとは俺がギルマスにいいます。夜遅くにすみません。」


 「君だけじゃ判断しにくいでしょ。さっさと用事済ませるよ。」


 「はい!!」


 「またせたな。またこいつが問題を!!」


 「違いますギルマス!! 俺はやられた側だ!! この後ろの二人に!!」


 「二人……。」


 「とりあえず状況説明してくれる?」


 「はい!!」


 そうして状況説明をしてもらい、悪党共を引き取って貰えることになった。夜も遅いので悪党共には明日色々と聞くらしい。さっさとめんどくさい事がなくなりますように。


 「じゃあね。」


 「ありがとうございました!!」


 私が見えなくなるまでギルドの門の前で頭を下げるリーダー。


 宿屋までは問題なくつき夕食を取ってゆっくりした後就寝した。

次回予告


一件落着して、のんびり朝食でも頂こっと。そして、適当に修行をつけてって……。あれはリーダー?

なぜカヤの修行場所にこっそりいるんだ? もしかして、カヤの事が……。


次回、紗夜物語11 おたのしみに

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