第157話 紗夜物語8
「カヤ。とりあえず教えるよ。この調子だと色んなところでエルフが恥かくことになるからね。その予防って思えば安いもんかな。私が教えるに当たって条件があるんだけど、私が教えるのはここにいる1ヶ月だけ。あとほかのメンバーには一切教えないっいうこと。守れる?」
「はっはい!!」
「結局敬語のままだし。あと、キツくて辞めたくなったら何時でもやめていいから。それと、私の里は落ちこぼれが誰一人いないからどれぐらいのスピードで進むのか分からないから色々質問するかもだからよろしくね」
「はっはい……」
下を向いたまま暗めのトーンで返事をしてくれた。魔力は使えば使うほど増えるものだし、ワンツーマンだからざっと今の数倍の魔力量を保持できるようになるかな。
その間は冒険とかにも行かないようにしてもらおっと。なんと言っても暇つぶしが無くなるからね。
「とりあえず修行始めるよ。まずは私が水玉を撃つから全部かわしてくれる? もちろん身体強化使ってもいいから。」
「魔力が残ってないです。」
「だからいいんじゃない。行くよ!!」
私はサッカーボールぐらいの水玉をカヤに向かって撃っていく。当たった瞬間に形が崩れ当たっても痛くも痒くもない。ただ濡れるだけで。
必至に身体強化をして避けようとしてくれたが、結局間に合わず水玉を食らう羽目に。
「すみません。」
「大丈夫。大丈夫。これからドンドン撃って行くから気にしないで!!」
「?!」
そして夕方まで私の一方通行の水玉飛ばしで終了した。結果は言うまでもなく一回も避けられずに終わった。
途中から魔力がなくなり気力だけで避けようとしていたが、身体強化をしなくなった分遅くなっていたが最後まで諦めることはなかった。
「ドライ。ってことでお疲れ様。明日は違うメニューを考えとくから楽しみにしててね。夜更かしなんてしないでさっさと寝て遅刻しないで来てね」
「はっはい。」
服を乾燥させ、肩で息をしているカヤと一緒に街まで戻った。途中パーティーズと会いそうになるのがわかった為違う道で帰った。なんと言っても魔力感知ができるエルフだからね。ほんと一緒にされては困るよ。
私が止まってる宿の前で別れ私は静かに宿屋に入った。
「紗夜さん、夕ご飯できてますがどうしますか? 食べていきますよね!!」
「ありがとうございます。」
夕食を食べながらどんなトレーニングメニューにするか考え、そのまま自室で寝っ転がりながら色々と考える。
うん。暇つぶしにはちょうどいいね。あっ。時間伝え忘れたけど、どうにかなるかな……。
最悪テレパシーで場所教えればいっか。
その後は何を考えていたのか記憶がない。気づくとすっかり寝てしまっていた。
「はぁぁぁぁぁ。」
窓からの日差しが眩しくて起床。起こしに来ないってことは前回みたいに何日も何日も寝ていた。ということはないははず。
それに昔から約束がある時は何故か早く起きれるという謎のシステムが発動されるからね。
眠そうな顔で顔を洗い、軽く着替えて一階に行こうと階段を降りるが何故か騒がしい。
また花がどうとかで揉めているのか?
「すみませんが、それにはお答えすることができません。」
「だから、エルフを出しくれって言ってるんだよ!!」
「昨日カヤがボロボロに帰ってきたっしょ。これって絶対あのエルフのせいでっしょ。」
「本人は否定してましたが、絶対にそうだと思うわ。それに、帰ってきた瞬間ベッドで寝てしまうし、相当疲れてしたみたい。絶対に何かおかしいわ。」
「何度も言いますが、紗夜さんを呼ぶことはできません。これ以上ここに居座るのなら、営業妨害として、ギルドなどに訴えますけど!!」
「それは……。でも、パーティーメンバーは家族なんだ。家族がボロボロで帰ってきたら誰だって気になるだろう!!」
「おい、さっきから聞いてれば自分の事ばかり棚に上げて全くこっちのことを考えもせずに行動してやがるな。冒険者だからって調子に乗ってんじゃねぇぞ。しかもお前らまだひよっこじゃねぇか。そんなひよっこが今しようとしてることわかってるのか?あ?!」
「関係ないっしょ。こっちの問題を解決しようとしてるだけっしょ。」
「はぁぁぁ。お前ら、少しは他所様のこと考えろや!!」
リオのお父さんが机をドンっと叩くと叩いたところから瞬時にヒビが入り一瞬で割れてしまった。
その光景に驚いたパーティーズは少し後退し、腰を引きながら反論をまだしていた。
ここはでないと解決しなさそうだな。それに、お店がなくなっても困るし……。
私よりリオのお父さんに教えてもらった方が良かったんじゃね?
そんなこと思いながら階段を降りると、リオが「紗夜さん。」と発言し、皆の視線が集まる。
「お前が!!」
「うるさい。サイレント。」
「すみません。私のせいでうるさいガキがやってきて営業妨害してしまったみたいで……。」
「紗夜さん気にしないでください。昨日の件といい、こちらの冒険者が悪いということは分かります。それに、リオがギルドでのやり取りを少し見ていた見たいでその内容も知っておりますので……。」
「とりあえず、ガキをギルドに持っていきますので朝食楽しみにしてるね。」
「はい!!」
「バルバルーン」
ガキ達を一人一人透明なボールの中に閉じ込めそれを浮かして宿屋を出た。あの感じだと、やっぱり寝過ごすことはしなかったみたい。良かった。めんどくさい事にならないように教えないようにって言ったけど、逆効果になったのは想定外だったけどね……。
はぁ。めんどくさい。とりあえず、カヤを呼んで色々頑張ってもらおっと。
「ああ、カヤ? 至急ギルドまでやってきて。」
「さっ紗夜さん? えっどうして。わか」
ブチッ。
よし、これでOK!!
ギルドまではあっという間についてしまったので、カヤを待つ事に。
何故か私を見た冒険者はギルドへ入っていかなかったが、私のせいでは無いよね……。
そうだよね……。
次回予告
次から次へとめんどくさい事だらけな生活を送る紗夜。冒険者ギルドからはっきりいってくれ!! と思うと、ギルマス登場?!
これでこいつらも大人しくなるだろう。
次回、紗夜物語9 お楽しみに!!