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第152話 紗夜物語3

 「おらぁぁぁぁ!!」


 リーダーと言われてる少年が私に向かって剣を向け走ってくる。


 はぁ。オークが傷ついて換金が下がっても嫌だしとりあえずしまって対応するかな。

 収納魔法にしまうと、驚いた顔をする四人組だが少年はそのまま突き進んできた。

 

 あのスピードに鉄の剣。それに、相手の力量も分からずに突っ込むとは初心者丸出し。それに、体の中心がさっきからブレブレ。あれでは当たったところで攻撃力が半減以上してしまう。そんなことも分からないとはね……。めんどくさい。はぁ。

 おっと、そんなこと考えているとだいぶ近くなってきた。とりあえず、意識失わせれば。いや、でもこれだと私が悪くなるな。


 ……。


 !! 


 あれがあった。


 私はいつもより少ない魔力を込めて魔法を発する。



 「アイスフィールド。」


 「ここまで完膚なきまでされるとは想定外。」


 「凍ったんだったら火で溶かせばいいだろ!!」


 「ギルドごと燃えて借金地獄になるだけ」


 「どうすればいいんだよ!!」


 「どうしようもできないっしょ。マジ最悪〜。」


 下半身氷漬けにされてるパーティーは私のことを気にせずああだこうだと言い合いながら揉め始めた。

 ギルド職員、ギルドの偉い人、冒険者から騒がれるのはもう勘弁。さすがに疲れたよ。もう、こっちの話を聞くだけの世界を一度作るしかないかな。


 「サイレント」


 「……。……。?!」


 「……。……。」


 パーティーズは声が出ないことに気づくと、どうにか声を出そうと口を大きく開いているが全く意味がない。ただつまらない披露物を見ているだけに過ぎない。

 まぁ。これで私の話を聞いてくれる。


 「何度も言うけど、ただ換金しに来ただけ。あなた達との交流なんて必要が無いし、身の丈にあっていない敵と戦おうとするなんて無駄死を増やすだけ。そんなことも分からないで冒険者やってるんだったらやめた方が身のためだよ。いちいち騒ぎを大きくしないでくれる? 分かったら頷いて欲しいんだけど?」


 「「……。(うんうん)」」


 「ふぅ。解除。」


 解除すると共にパーティーズが氷漬けされていた氷が一瞬にして消して、いつも通りの音が聞こえるようになった。


 「あ。喋れてる!!」


 「良かった。一生あのままだと思っちゃったよ。もしそうなったら一生恨むところだったんだからね。」


 「死んでは恨むこともできない。無意味」


 「少し黙って。また凍らされちゃうでしょ。」


 「「あっ。」」


 私の顔を見ると、パーティーズは真っ青な顔をした。人の顔を見てそんな顔は無いでしょ。本当に常識のないパーティーだ。

 そもそも、精神魔法を使えばこんな状況にはならなかったはず……。はぁ。なんで忘れてたのかな。

 少し気持ちを落としながら振り返り、意識がある方のギルド職員に対してもう一度いう。


 「換金して欲しいのですけど、できますよね? これがギルドカードです。」


 「はっはい!! カード拝見させて……。Fランク。……。オーク。……。でもFランク……。」


 彼は時が止まったかのように動かなくなってしまったので、再度催促する。ほんと、どれだけギルドにいればいいんだよ。


 「早めにお願いしたいのですけど。」


 「はっはひ!! オーク。オークの買取でしたよね。もちろん承っております!! 裏の解体場まで来ていただきたいのですけど、大丈夫でしょうか。いや、ここまで来ていただいているのですから、私たちが運ぶべきですよね!! 申し訳ございません。気づかずに……。」


 「どっちでもいいから、早くして欲しいんだけど。あと、オーク以外にもいるから、多分解体場の方がいいと思うんだせど?」


 「さっ左様でございますか。はい、こちらでございます!!」


 慌てた口調の職員のあとをついて行き、ギルドの解体場に到着する。

 以前この街に来た時にも訪れたことがあるが、血なまぐさい匂いや床にべっとりと血が付いているということなく綺麗で以前とは天と地の差。


 「でっでは、こちらにお願いします!!」


 「はぁ。わかりました。」


 私は収納魔法からとりあえず、キングオーク一匹、クイーンオーク一匹、オーク三匹、アイスドラゴン二匹、ダンゴムゴムシ一匹をとりあえず出してみる。収納魔法には、もっと魔物がうじゃうじゃいるが、オーク一匹で驚くんだからこれぐらいがちょうどいいだろう。


 バタン!!


 ……えっ。また……。


 音がした方向に向くと、さっきまで意識があったギルド職員は床に気絶しており口から少し泡を吹いていた。


 はぁ。まともなギルド職員はいないのか。早く換金してお金が欲しいだけなのに。


 ? 小さいけど、この解体場から魔力を感じる。



 「すみません。早く換金して欲しいのですけど!!」


 「ほんとだったんだ。嘘じゃなかったんだ。」


 独り言でボソボソっと言ったつもりだろうがエルフである私には丸聞こえだが、何が本当にだった? エルフの存在? いや、それはパーティーズがいたはず。どういうこと?


 「隠れてないで換金して欲しいのですけど。」


 「スっすみません!! もしかして、畑の近くに住まわれているエルフでしょうか?」


 「そうですけど……。」


 「!! 失礼しました!! 先祖様からお話は伺ってます。なんでも魔物を引き連れて現れ換金したと思ったら次にやってくるのが七十年後だと。誰も信じてくれなかったんですけど、実在していたのですね!! 嬉しいです!!」


 そんなこといいから、早く換金してくれよ!! 何回換金してくださいって発したよ。この街に来てから。かれこれ十回超えてるんじゃない? 関わりなんて持ちたくないんだから、早くしてくれよ。


 「すっすみません。換金。換金したいのですが、珍しい魔物、高額な魔物だらけですので1ヶ月ほど時間かかりますが大丈夫でしょうか? あっ。その一ヶ月間はこの街いてください!! 何があっても自宅に帰らないようにお願いします!!」


 めんどくさいが、しょうがないか。


 「もちろんお金はこっちで出します!! 先祖からやってきた時はこのお金で払うようにと予め用意されているので!!」


 「……? そんな仲良い方いたっけ……。」


 「テルナードという方なのですけど、面識はなかったですか? なんでも気前がよく何故か門番であるのに金貨をくれたという話が伝承してまして。」


 「テルナードか……。分かりました。お願いします。」


 「ありがとうございます!!」


 ボサボサ頭の少女はすごい嬉しそうな顔で頭を下げた。

 ふぅ。寝床は決まったが、実験材料もあまり持ってきてないし、何か暇つぶしアイテムでも見てま回るかな。


 ……。お金足りるかな?

次回予告


なんやかんやで泊まるところが決まり宿屋に行くが、祭りでもやっているみたいに騒がしい方々を発見……。

言い伝えのエルフが来たってだけで、騒ぎすぎだし、正直疲れてるから早く休みたいんだけど……。

はぁ。この街めんどくさい。


次回予告、紗夜物語4 お楽しみ

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