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第151話 紗夜物語2

 「……静かだな。」


 冒険者ギルドには受付嬢以外誰もおらず、今までに感じたことが無い静かさ。

 いつもなら、ワイワイうるさいがそれが鬱陶しくもあり、心地よくもある。そんな気持ちを抱えると共にギルドにやってきたな。と感じている為、今日は変な気分だ。


 「換金をお願いしたいんだけど……。」


 「分かりましたが、冒険者の皆様は魔物退治に出てますので、よろしければ手伝いに行った方が良いかと……。ギルドからのお手当ても出ますし……。」


 「それはいいから換金をしたいんだけど……」


 「はっはい。分かりました。まずは冒険者カードの提示をお願いします!!」


 「……。カード?」


 「はい、カードです。これぐらいのちょうどいいサイズなのですけど……。もしかして、ギルドは初めてですか?」


 「これ使えませんかね?」


 私は首飾りを出して受付嬢に見せる。この首飾りに付いている金属の色でランクを分けているのだ。これを見える位置にぶら下げるだけで、巻き込みごとから遠ざけられるって人気だったはずだが……。


 「すみません、それはなんですか? ちょっと見たことがないのですけど……。」


 「え?」


 「もし良かったら、また新規ということで冒険者カードを作成されてはどうですか? ランクが初めからになってはしまいますが、実力のある方なら大丈夫かと思いまして。」


 「では、それで……。」


 「はい、ありがとう。ではこちらのご記入お願いします!! それと、フードを脱いでお顔を見してもらってもよろしいでしょうか?」


 「はい。……えっ。」


 記入用紙に本日の日付が書かれているが、私が想像していたより数百年年程先の世界だった。がそんなことはありえない。

 だって、約束通りしっかり家の前には野菜置かれてるし、いつもの狩場にいつもの同じ魔物いた。


 やっぱりこの街だけおかしいのか?


 とりあえず、色々終わったら転移して他の街も見てくるかな。


 スラスラっと記入事項を書き受付嬢に渡す。


 「はい、ありがとうございます。それでは只今からFランク冒険者になりますので、あちらのボードのFという文字の依頼が受けられるようになります。Eランクになりましたら、FとEランクができるというようにどんどん幅が大きくなっていくシステムになってますのでご注意ください。最後に何か聞きたいことございますか?」


 「換金をお願いしたいのですけど……。」


 「そうでしたね。では、ギルドカード登録が済みましたので、換金に移りますりこちらの台に換金するものを載せてくれますか?」


 「溢れて載せられないんですけど……」


 「そんなまたまた。」


 「ほんとなんです。」


 結局ギルド内側にある裁き所で換金するものを出すことになった。


 「何も持ってませんよね?」と聞いてきたので、「収納魔法。」と答えると大きく目を開けて驚いていた……。

 あんなの誰でも使えるだろう。



 「……。」


 「これ以上の図体が沢山いるので買い取って欲しいのですけど。」


 「……。」


 私は収納魔法から、オークの死骸を私と受付嬢の間の机に出す。依頼とかなら魔物の一部を持って帰ればいいとなっているが、全部持って帰ってきた方が金になるのでこっちの方がおすすめだ。持ってきた量だと全部で1ヶ月分ぐらいになるといいけど……。


 「ん?」


 「……。」


 「すみません、これ以上はどこに置いたらいいですか?」


 「……」


 「気絶してるだと……。」


 しかも、受付嬢は今対応してくれてる方以外は例の事件で外出中。いつ戻ってくるかも検討がつかない。


 はぁ。どうしたものか……。


 ん? 一つだけ生体反応あるじゃん。多分職員の方だし声でもかけてみるかな。


 「すみません、受付嬢が気絶したので対応してもらいたいのですけど……。」


 「?! だっ誰だ!! こんな所までやってくるとは……。……? 誰も居ないじゃないか? どうなってるんだ?」


 魔力感知でうろちょろしているのが丸見えだが、相手はこちらの様子に気がついていないみたい。

 魔力感知はエルフ特有の技だが、それに気づいたらすぐに魔力を消して耳を研ぎ澄まし相手を見つけるのが当たり前のはずだったけど、どうなってるの?


 以前と全く違うこの街について考えれば考えるだけ分からなくなる。相変わらずといえばそうだけど、さすがにものの尺度がここまで違うと別の世界に来た感じがする。


 はぁ。とため息をつきながらあれが変わったこれが変わってない。と確認していると奥から先程の職員が出てきた。


 「おっオーク!! たっ助けてください。見逃してください!! ひぃ。お願いします!!」


 職員はそう発しながらオークを見た時に驚き尻もちをつき動けなくなってしまってるみたい。はぁ。時代を感じるね。


 「すみません。換金してもらいに来たのですけど……」


 「ひぃ。オークが喋った!! 命だけは……。命だけは……。」


 「おっオークがギルド内に……。おい、あいつが操ってるんじゃないのか? 助けに行くぞ!!」


 「オークなんて勝てるわけないじゃない。見つかってない今の内に逃げるわよ!!」


 「ダメ。あのフード以外に二人魔力反応あり。私たちが逃げると死は確実。」


 「時間稼ぎにもならないけど、頑張るしかないっしょ。リーダー、指示頼むよ。私たちはここで死んでいいパーティーじゃないんだからね!!」


 「五体満足で帰れたらお祝いだな。」


 「詠唱を始める。前衛お願い」


 「「もちろん!!」」


 ……なにこれ? ギルドに現れた謎の四人組の話を聞く限り私が悪いもの扱いされてるよね……。ただ単に換金したいだけなのに。ほんとこの街はどうなってるんだい!!

次回予告


明らかに格下の相手に勝負を急に挑まれた紗夜ちゃん。しかも悪役だと思われ剣を抜いて本気でかかってくる。

ほんとめんどくさいのは懲り懲りだよ……。


次回 紗夜物語3 お楽しみに

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