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第150話 紗夜物語

 「はぁ、金が無い。またギルドで依頼つけないとか……。」


 ホコリだらけの部屋でボソッと呟いたエルフ、紗夜はこの部屋に閉じこもって魔法の研究をしていた。

 机の上や床には本棚に入らなくなった本が山ずみになっているが本人曰くどこにどの本があるか分かるらしい。


 「アパートじゃないだけマシだと思うべきか……。」


 そう、紗夜は昔はアパートみたいな所を借りていたが汚しすぎて追い出され、現在ではボロい一軒屋を買い研究に没頭している。


 「はぁ。外に出たくないな。」


 ため息を着いた後自分の服装を確認するが、ヨレヨレのTシャツにシワシワのズボン。しかもいつ洗ったのかも分からない。

 はぁ。着替えるのもめんどくさいし、このままでいっか。どうせアレを被るんだし……。


 玄関にかけてあるフード付きの上着を被って靴を履き一応準備万端になったが、ドアノブを持つと共に外に出たくない気持ちが急激に強くなる。


 ぐぅぅぅぅぅぅ。


 ……。


 腹減ったし、行くか。


 ドアを少し開けると久しぶりの日差しが直接私に攻撃をしてくる!!



 「ああああああああぁぁぁ。眩しすぎる!! こんな天気に外に遊びに行くなんてやっぱり正気の方では無い。何かしらの異常を抱えてるはずだな……。言い訳したところで行かないと……。」


 ため息をつきながら、トボトボ歩きで近く街まで向かう。

 私の住んでいるところは街から少し離れた場所にある食材を育てているところにある小屋で過ごしている。

 誰かが来ることもあるが、一週間に一回程度だろう。しかも野菜を見たらすぐに帰ると言う変わり者。そんな変わり者がたまにだけ野菜のおっそわけをくれるのでそれが生きる希望となっている。

 ただ問題があるとすれば、家事スキルが0な私に野菜をくれるので料理もできず生で食べているという点だ。感謝の気持ちで野菜料理の一つでも作ってくれればいいのにな。


 まぁ、エルフは野菜やキノコだけで十分に生きられる生物だからここまで持ってるんだけどね。


 はぁ。やっぱり晴れだといつもの倍疲れるし、遠い感じがするな……。


 はぁ。


 ため息をつきながらトボトボ歩きを続けやっとの思いで街が徐々に見えてきた。


 はぁ。


 「戦闘態勢を取れ!! 早くしろ。魔物を操ってるやつがやってくるぞ!! 早くしろ。門番じゃ足りねぇ、ギルド行け、早く!!」


 「はっはい!!」


 ……。何事だ?


 はぁ。勘弁してよ。せっかく街に来たというのにトラブルに巻き込まれるとか。事前に知っていたら絶対今日にしなかったし、こんな思いをすることもなかったはず……。


 はぁ。


 私はそう思いながら街に近づいて行く。魔力感知を常にしているが魔物の気配なんてない。もしかして、お化けのようなオカルト的な存在がいるのだろうか?


 念の為辺りを見渡すが私と門番みたいな方々のみ。


 今まで普通だったが、どうなってるんだ?


 「止まれ!! お前が何を目的にここを責めてきたか分からないが、今素直に帰るなら痛い目をあんすつもりはねぇ。後、一本でも近づこうというのなら、総出で取り掛かるぞ!!」


 「……?」


 「だから止まれって言ってるだろ!!」


 「……? 私?」


 「当たり前だ!!」


 「?」


 「戦闘態勢準備!!」


 「「はっ!!」」


 「話せるよちがあるか会話に出るが、無理そうならすぐに突入だ!! わかったな」


 「「はっ。」」


 「……。なんだこれ?」


 「お前は何をしにこの街までやってきた。この街にはお前が思っているような物は無いと思うが。」


 「いや、普通にギルドの依頼受けに来ただけですけど……。」


 「そんな言い訳が通じると思うか!! なら、お前の後ろにいる魔物たちはなんだって言うのだ!!」


 「ああ。換金用」


 「……。ふざけるのもいい加減にしろ!!」


 あれ? こんなに話が分からない門番いたっけ? 前に来た時はすんなり通してくれてすぐにギルドに着くことができたはず。

 うーん。


 ……。


 ……。


 あっ、そういえば。以前一ヶ月程やってこなかったら門番初年のテルナードが老人になって、その1週間後きは居なくなってたな……。


 ……。この街はなにかに囚われているのかもしれない。だが、悪意のある魔力は感じないし、街から流れる空気も変じゃないし……。



 なんで?


 「……。なんじゃありゃ!!」


 「おいおい、門番さんよ。あんなの俺ら冒険者が束になったって倒せるわけないだろ!! どれもA級ランクを超えてる魔物だぞ!! あれと戦えって言うんだったら、命が何個あっても足りないわ!!」


 「ふざけるな!! お前らはこの街に恩のひとつでもないのか? 幸せに暮らしている街の方々の命を預かっているんだぞ!! 一歩間違えたら終わりだぞ!!」


 「あんなの無理だ……。」


 「……。茶番?」


 確かに魔物を取ってきたけど、昔からお世話になってるちょうどいいB級などの魔物がうじゃうじゃいるつまらない森から少し取ってきただけ。昔より存在する魔物量が減っていたので少しだけにしたけど、こいつらA級にランクアップしたのか? 昔はちょっと頑張ったパーティーだと誰でも倒せたのに……。


 はぁ。


 「!! ま・も・の・が・き・え・た……。」


 「魔物が消えたぞ!! どうしてだ、何があったと言うのだ!!」


 頭がパニックになっている街の方々を見て本気で家に帰りたくなった紗夜であったが、本当に金がない為渋々門番に近づいて説明しようとするが……。


 「止まれ!! 近づくんじゃねぇ!! おい、今この街にいる最高ランク冒険者のランクは?」


 「C級です!!」


 「勝てるわけがねぇ。」


 相変わらず私の説明を聞く様子もない……。


 はぁ。


 「サイレント」


 「「………。!!」」


 「やっと静かになったよ。魔物だけど、収納魔法にしまっただけ。後で換金してもらうから、その後に確認でもしたらいいでしょ。それよりも早く通してくれないかな? 茶番に付き合ってる暇ないんだけど」


 威圧を少し入れながらそういうと、門番や冒険者の方々は門の両端に一列で並びガクガクと身体を震えている。


 はぁ。当分来れそうに無いな……。まぁ。一週間もすれば忘れるだろうけどね。


 私はそのまま街に入って直で冒険者ギルドに行ったのであった。

次回予告


はぁ。やっとギルドに着いたけど、えっ。私が持っているこの証は使えないの? とりあえず、門番みたいなことは無さそうだしさっさと作って帰る予定だけど、大丈夫だよね?


……。えっ。またこれ……。


次回、紗夜物語2 お楽しみに!!

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