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第142話 よく話す校長先生

 「もう、なんでついてくるの!!」


 サリアは後ろを振り返り少しほっぺを膨らましながら言った。おじいさん達は特に驚いた様子もなく、変わらない態度で対応する。


 「二人が無事に帰って来れたことなどを報告しに学校に来たんじゃけどな、さっきもうすぐ学食が閉まると聞いてしまったもんだからワシらも少し慌ててるんじゃよ。結局お昼ご飯を食べたきりでそれから何も食べてないじゃろ。ワシらもお腹ぺこぺこなんじゃよ。」


 「もう。それならそう言ってよ。ずっと何も言わずに着いてくるんだから、おじいさんが怪しい人物になっちゃったんじゃないか?って思っちゃったよ。」


 「それはすまんのう。」


 「もう。」


 「それよりも、もう少し急がなくても大丈夫かのう? そろそろ本当に時間が危なくなってきたと思うんじゃが……。」


 「あっ!! お姉ちゃん急ぐよ!!」


 私達はは慌てて食堂に向かった。


 食堂に着くと、誰もいない上に学食を作ってくれてる方も少し片付けを始めていた。

 もしかして、ギリギリ食べられないってやつ?!

 私はドキドキしながら、職員の方に話しかける。


 「すみません、学食ってもう終わってしまいましたか?」


 私は不安を抱えながら手を胸に当てて聞く。すると、職員の方はニコニコとしながら


 「大丈夫ですよ。本日のメニューは全て作れますので安心してください。慌てないでゆっくり食べてくださいね。」


 「よかった。」


 私はつい小声で本音を呟いてしまった。


 そんなことより、ご飯ご飯。何食べよっかな?


 私は急にウキウキになりながらサリアと一緒にメニュー表を見る。

 こないだはお米にしたけど、今回はパン? いや、疲れを癒すためにもまたご飯を挟むべきか……。

 悩ましい。


 「お姉ちゃん、どうする?」


 「そうだね……。ん?!」


 これは、ハンバーガー?! でも、フィッシュ?!


 フィレオフィッシュ?!


 写真が載っているが、揚げた魚と野菜をフランスパンみたいなパンズで挟んでいるメニューだ。

 付け合せは無く、単品のみとなっている。他のメニューでポテト等がないか確認したが、それらしきものは無かったので今回はこのハンバーガーのみにする予定だ。なんで前回の時気づかなかったんだろう……。


 「私はこれにするよ。」


 「お姉ちゃんがそれか……。私はこっちのキノコがいっぱい入ってるハンバーガー? にする!! 今回ももちろんシェアしようね」


 「ね!!」


 メニューの決まった私たちは職員の方に注文をし、商品を受け取り席に座るが、何故かおじいさん達も私たちの近くに座る。


 「ふぅ。ゆっくり飯でも食って元気出すかのう。そういえば、リロはここ数日何か食べていたのか?」


 「いえ、食べるものが無く過酷な日々でしたが、唯一あった水が私を助けてくれました。水がなかったら今頃どうなっていたことか……。」


 「そうか。それなら、いっぱい食べるんじゃよ。なんて言ってもワシの奢りなんじゃからな!!」


 私とサリアは受験生ということで学食は無料だが、おじいさん達は有料になってしまう。

 それでも、外で食べるより何倍も安いので懐的にも安心なんだろう。


 私たちが美味しくご飯を食べていると


 「二人も一緒に校長室に行かないかい? 無事に帰ってきたんじゃから、少し顔を見せた方が良いと思ったな。それに、印象上げとくと合格する可能性も上がるぞ!!」


 「校長先生心配してるかもしれないし、顔見せに行こっか?」


 「うん。」


 「私は少しテトラのことでお話があるので、少し時間がかかるかもしれませんが大丈夫ですか? もしも、時間が無いなら、先に対応してもらっても大丈夫ですが。」


 「別に大丈夫ですよ。それと、今回の報酬のお話なのですけどで……。」


 「わかっておる。ちっと待ってな。これじゃ。そのメモに書かれてるところが珍しいものを売っている店じゃ。ヘラやお好み焼きが載っている本もここで買ったんじゃよ。いい掘り出し物でも見つかるといいのう。それと、これが鉄板とヘラ、そしてお好み焼きを作る材料じゃ。最初はひっくり返すのが難しいと思うが頑張るんじゃぞ!!」


 「えっ。お好み焼きって人族のソウルフードではないんですか?!」


 「ソウルフード?」


 「みんな知っていて、一般的に食べられている食べ物ではないんですか?」


 「それは違うぞ。一部の地域の伝統料理だったみたいじゃな。人族には色んな伝統料理があるから、色々と見て回ってもいいかもしれないのう。なんでも、たこ焼き。という丸くて熱々の美味しい料理があるとか。ないとか聞いた事があるからのう。」


 「たこ焼き!! お好み焼きがあるんだから、たこ焼きはあるはずだよね。はやく食べたいな。あっ、お好み焼きの使う道具まで準備してくれてありがとうございます。これだと何か貰いすぎな気がしますが……。」


 「感謝するのはワシらの方じゃ。他に欲しいものはあるか? さすがにこれだけという訳にもいかないからのう。」


 「そうですか……。サリア、他に欲しいものある?」


 「うーん。大丈夫!! それよりも、お姉ちゃん早くシェアしようよ。シェア。」


 「ちょっと待ってね。」


 サリアとの幸せな時間はあっという間に終わり、私たちは校長室の前までやってきた。

 もう夜も遅いから明日の方がいいかな? とおじいさんに聞いたが、「あいつなら大丈夫だろう。」とのこと……。

 私たちの信用度に関わるんだってば!!


 おじいさんがドアをノックすると、「どうぞ。」と言われたので私は校長室に入る。

 前回と違いテトラはいない上に、嬉しそうな顔をし ている……。


 「すまんのう。こんな時間になってしもうて」


 「ほんと、相変わらず自由奔放な性格。そんな性格だからあの時みんなを振り回し、私たちが大変な思いをしたんですからね。はぁ。もういい大人になるんですから、少しは落ち着いたかと思ってましたよ。」


 「お主こそ、ワシとあった時とまるで変わらないのう。いつ見ても老けない!! 見てくれよ、このヨボヨボな年寄りを。最近腰痛が酷くて思い通りに動けんわ。」


 「ふふ。思い通りに動いた事なんて、魔王を倒した時ぐらいでしょう? 相変わらず、冗談が得意なんだから。」


 「そうかのう。」


 「「……。」」


 二人の間バチバチという火花が飛び散るかのようにお互い睨み合っている……。

 もしかして、校長先生と仲悪い?

 私たち、その影響で退学とかないよね?! まだ入学してないけれど!!


 「アリアちゃんとサリアちゃん、無事で良かったわ。急にダンジョンに行くって聞いて、すごい驚いたちゃったよ。しかも、本人の口からではなくて、あのギィナヤからというのが少し悲しかったわ。ああ。確か君が、現代の勇者のリロ君ね。久しぶりね。ほんと、君の弟と来たら、礼儀のれの字も知らないような子供で本当に大変なんだけど、どうにかならないのかしら? 正直に言うと、この学院に入れたくないんだけど。少し考えといてね。それとチル。相変わらず魔力が変わらないね。そんなんだから、里のランキングに名前が載ったことがないのよ。ほんと、もう少し修行でもしたらどう? 学院にでも通った方がいいんじゃないかしら?」


 「……。」


 「もう、相変わらず黙りなんだから。そんなんだから、今まで彼女の一人もいないのよ。それと、たまには里にも帰りなさいね。お母さん達が心配してるわよ。リロ君と一緒にいて色んな経験をするのはいいけど、大切なことは忘れちゃダメだからね。ほんと、いつまでたっても子供なんだから。それとね、チルが好きだったお菓子がね……。」


 「お姉ちゃん、相変わらずすごいね……。」


 「……。そうだね。」


 私とサリアは校長先生に圧倒されて、ただただ聞いてるだけの時間となっていた。

 チルは色々と言われていたので反撃するかな? と思ったが、反撃することなく、「はい。はい。」と流しながら聞いている感じだ。多分いつもこんな感じなんだろう。

 校長先生のお話とかで、静かになるまで三分かかりました。って言うセリフあるけど、そのセリフ待つこと無く、ひとりよがりに話してそう……。


 少しだけ学校に通うのが心配になったのであった。


 「はぁ。ちょっとこっちの話も聞いて欲しいのじゃけど!!」


 「みんなの話も聞いてるじゃない。そんなこと言うと、私だけが話しているみたいになっちゃうから言わないでよ。ほんと、困ったおじいさんなんだからね。それで、話って何?」


 「ふぅ。やっと話せるわい。ダンジョンのことじゃがな……。」


 おじいさんは私たちと一緒にダンジョンに行ったこと。を話し始めた。もちろん私たちの実力については黙ってくれている。ほんとありがたい。

 ポシカの話をすると、「だから、いないのね。私嫌いだったから良かった。」とすごい個人的感想を述べていた。だから、すごい嬉しがっていたのかもしれない。


 「あと、私からなんですけど。」


 「もしかして、チルをこの学院に入学させてチームのレベルアップを目指してるって話? もちろんOKよ。もう準備しちゃうわね。もちろん一学年から進んでもらうわ。この学院内ではトップに近いけれど、同じエルフのアリアちゃんとサリアちゃんに抜かされないように気をつけるんだよ。なんて言ってもこの学院の希望だからね。」


 「あっそうではなくて、テトラのことでお話が……。」


 「そっち?! せっかくチルがやる気になったと思ってたのに!! テトラだけど、この学院に入れないでいいってできないかな?」


 「実力が足りなかったら落として欲しいのですけど……。」


 「実力ね……。それなら十分に足りてるわ。問題はあの性格よ。ほんと困った方なんだから。アリアちゃんとサリアちゃんにも目をつけてね。ホント大変だったんだからね。」


 「テトラをこの学院に入学させないでください!! これ以上、二人からの評価が下がるのは……。絶対に入れないでください!! その方が校長先生もいいんですよね!!」


 リロは校長先生が座っている椅子のまえに置かれている机にボンっと手をつきながら必死に発言する。

 その発言を聞いた校長先生はすごい嬉しそうな顔になりながら


 「ありがとう。これで悩みの種が減ったわ。なんだからお腹がすいてきちゃった。ご飯でも食べに行こっと。学食♪学食♪」


 「もう閉まってるはずじゃぞ。ワシらで最後だからな。」


 「……。へっ。」


 校長先生はすごい落ち込んだ表情をしながら机に身体を倒した。


 「ああ。食べたかったのに!!」

次回予告


学食が終わってしまってショックを受けている校長先生。ん? あれを校長先生に出してだって。あれを出したら禁断症状が出て今までの生活を送れなくなっちゃうよ!! サリア、それでも出せって言うの?


次回、エルフはピザ好き お楽しみ

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