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第140話 ついに帰還!!

 ……。


 ん? 勇者が魔物から攻撃を受けてる。


 私の防御魔法等のおかげで、一切傷はつかないがその代償として内側から攻撃ができないようにしている。何回か中から攻撃を仕掛けたみたいだけど、私の防御魔法はかすり傷の一つもついてない。このまま合流までほっといていいっか。


 「お姉ちゃん、どうする?」


 「このまま合流でいいんじゃない?」


 「わかった!! それにしても、すごいね。里の森とはオーラが違うし、空気も全然違う。? お姉ちゃん見てよあのキノコ!! あんなに怪しいキノコ絶対に毒とかあるよ。私のキノコセンサーがなってるよ。ピロン♪ピロン♪って。」


 「魔法で確認したけど、食べられるって……。さすがにあの色はね。」


 「ね。」


 私たちが歩きながら見かけたキノコは紫色をしていたり、虹色をしていたりと見た目だけでは毒がありそうなキノコばかり生えていた。魔法で確認したが、毒はなく食用との事だが、見た目がね。食欲が全くわかない。

 多分ここら辺に住んでる魔物が食べているのだろう。


 「それにしても、ほんとお猿さんの魔物多すぎ!!」


 「えっ。一切私たちの前には現れていないと思うのですが?」


 「違うよ。近づいてくる前に魔物を倒してるから、目の前に現れないんだよ。」


 「そんなことが出来るわけないだろう。ほんとこいつは何を言ってるんだか。」


 「お姉ちゃん、やっぱりあのボールの中にまた入れようよ。」


 「うーん。それでもいいんだけど、勇者と会う時色々とめんどくさい事になりそうだからね……。」


 「ほんと、ポシカも学習しないやつだな……。よくリロは一緒に旅をできたな。」


 「……。」


 おじいさんは呆れるようにボソッと言った。

 ポシカはその言葉に気づかなかったが、チルは気づき何か痛いところをつかれたような顔をしていた。

 やっぱり今の時点で相当苦労しているのだろう。


 私たちは勇者を迎えに歩いていたが、逆に勇者の方からこっちに向かってきた。

 私たちは魔力感知でわかっていたが、勇者自身はたまたま私たちの方向に来れたのだろう。

 なんて運が良い奴なんだか……。


 「!! リロっリロ!!」


 「おっ。えっ。リロ?! おっ。」


 「やっと再開じゃのう。それにしても、あいつ魔物を連れてきとるわい。すまんが頼んでもいいかのう。ここら辺の猿はちと厄介でな。」


 「はーい。ブラックホール!!」


 私が位置をセットし呪文を唱えると、魔物の体は中心部に身体を無理やり集められ、そのまま謎の切れ目の空間に消えていく。ブラックホールの代償として、魔物を吸収したあと、周りの空気を吸い込み私たちのところまで強い風が吹く。

 今回は強い風だな。程度で終わったが、魔力量が多いとブラックホールの大きさが大きかったり身体を持っていかれるぐらいになってしまう。謎の切れ目の中は異次元になっている為入ったらもう戻ることはできないだろう。


使う時はその辺をしっかりと注意しないとね。


 ブラックホールを使った代償として、魔石等も吸い取られてしまい何も残らなかったがこれはしょうがない。


 「ふぅ。相変わらずデタラメな強さじゃのう。魔王でさえあんな防御不可な魔法は使ってこなかったわい。」


 「本当に良かった。師匠達から無事だとは聞いていたが、しっかり見るまではどこかドキドキしていたから。本当に良かった。」


 「リロがそんな簡単に死ぬわけないだろ。なんて言ったって勇者はなんだからな。」


 ポシカは照れくさそうにリロを見るのに対し、チルとおじいさんは抱きつきに行ってすごい嬉しそうな表情をしていた。リロは泣き目で「ありがとう」と呟いた。


 これにて、一件落着!!


 あとは戻るだけだね。と思ったが……。


 「どうしてそんなことになるんだ。なぜ、この俺がパーティー脱退なんだ? ここまで助けに来たのに? 何故だ!!」


 「ポシカ落ち着け。その態度が問題ではないのか?」


 「チルは黙っていろ!! どうしてだよ。あんなに俺の事をかってくれていたのに。急に脱退なんて……。正気か。」


 「ああ。」


 「ああ。だけじゃ分からないだろ!! どうしてだか説明しろよ!!」


 「ポシカ興奮しすぎじゃ。少し落ち着け。そんな態度だと、リロも話せないだろ」


 「これは俺たちの問題だ。少し黙ってもらおうか!!」


 「はぁ。この態度はどうにかならんのかのう。」


 「実は、今回のダンジョン内でおこった様子を全て見させてもらった。アリアさんが暇つぶしに。ということで私が囲まれている防御魔法内でモニターを表示してくれてね。そこでのポシカの言動は勇者パーティーとしてではなく、一人の冒険者としていけないことを何度も繰り返していた。しかも、勇者パーティーだから。と権力を見せつけ、それに見合う活躍の一つもない。我々勇者やそのパーティーは一人でも苦しい方を助ける為に生きているんだ。根本的なことを忘れていては一緒に行動をすることはできない。申し訳ないが、今回の帰還で抜けてもらう。ここまで助けに来てもらったことは本当に感謝している。すまない。」


 「また、あいつかよ。なんでいつも俺の邪魔ばかりするんだ。あいつさえいなければ、あいつさえ……。」


 「それはおかしいでしょう。ポシカがあのような言動を取らずにいたら、このような結果にはなっていなかった。それを二人のせいにするのはお門違いではないのか?」


 「うるさい、うるさい!!」


 「これでは、テトラと同じじゃな。はぁ。こいつの周りにどれだけの悪運かあるのか……。」


 「こんなことなら、もう、ここで……。」


 「お姉ちゃん。よろしく。」


 「はーい。」


 「ちょっと待つんじゃ!!」


 「「?」」


 おじいさんは小声私たちに話しかけてくる。


 「さっきリロが言ったようにこの光景を魔法で撮ることは出来るか?」


 「できますけど……。もしかして、後で証拠として出すつもりですか?」


 「ああ。そのつもりじゃ。すまないが、頼んでもいいかのう?」


 「もちろんです!!」


 はぁ。しょうがないか。


 ほんと、どうしようも無いやつだな。と思っていると、ポシカは何かをズボンのポケットから出し飲み込んだ。

 それが何なのか分からなくて、周りを見渡すが誰も何を飲み込んだのかわかっていない……。


 「本来ならば、こんなところで使うはずではなかったんだがな……。」


 「……?!」


 ポシカはそう発言をしながら徐々に身体が大きくなっていく。

 体が大きくなっても二足歩行のままだが、筋肉量や魔力量が先程と桁違いに加え、刃のような牙が上段から二本も生えだした。

 まさに獣。もうあのころのポシカの面影はどこにもない。


 「やばいぞ!! あれは狂犬化。犬族でも限られた者のみできると言われている特殊な変身じゃ。清らかな心を持っているものは必ずできないというデメリットがあったはずじゃが……。ポシカはここまで……。いや、こうさせてしまったのじゃろうか?」


 「ポッポシカ?! まだ意識があるなら落ち着くんだ。俺たちがそこまで苦しめてしまった事、本当に申し訳なく思う。勇者のパーティーとして誘ってしまったが故にこんな未来になってしまったのだろう。全ては私が悪い。本当にすまない。」


 「今ここで、俺が襲わないから元の勇者パーティーに戻してくれって言ったら戻してくれるのか? 仮に戻った所でいつでも気を使って今までのようにいかないだろう。そんなことなら、俺はお前らを殺して真の勇者になるだけだ。安心しろ、墓ぐらいは作ってやる。そうしないと、俺の名誉に関わるからな。もちろん初めは俺の事をバカにしたあいつからだ!!」


 言い終わると共に今まで以上のスピードで私に向かって拳を向けながらやってきた。

 少し前から映像記録の魔法も発動してるからこれで十分証拠になるはずだよね。一発ぐらい食らった方がいいのか?

 うーん?


 私はいつも通りここまでのくだりを考えているが、未だポシカは私の顔面を捉えていない。

 そもそも、体を動かす速度、考える速度が桁違いなのだ。私の場合ポシカが考える100倍以上のスピードで考えているだろう。そこまでしないと、早い敵に対応ができなくなるからね。

 それにしても、ポシカはスピードに慣れていないのか少しだけ重心がズレている。

 スピードが乗っただけのパンチなんて、手に蚊が止まるのとほぼ変わらないだろう。


 とりあえず、クッション魔法で当たってる感覚にしときながら顔を動かしあたかも当たっているようにするかな。


 ポシカの拳がクッション魔法に当たると同時に、ポシカはニヤッと一瞬で笑顔作りながら勝ち誇んでいる。

 一瞬とはいえ、いい気分になれただろう。

 私はポシカの腹にポシカの倍のスピードで軽く殴る。


 「かっ。……。」


 「ふぅ。」


 「さすがじゃのう。あの反撃はワシでさえ見るのがギリギリじゃ。ポシカは生きてるのか?」


 「もちろん、生きてますよ。録画魔法もしといたので、これを証拠にギルドに出しましょうか。」


 「何から何までありがとう。ほんとポシカはのう……。」


 「「ポシカ……。」」


 パーティーズは悲しいような顔をしながらただポシカをじっと見つめるのであった。


 「とりあえず、帰るかのう。」


 おじいさんは寂しそうにぽつりと言った。

 ここに来る時と同じぐらい時間がかかってしまうと私たちの精神が持たないので、皆ポシカボールに入れ宙に浮かべて高速で階層を上がったためすぐに地上まで戻って来た。今回はクッション性の魔法などを使ったので、快適にボール内で過ごせているはず。


 地上に戻ると同時にポシカ以外は解放し、皆と一緒に王都に向かった。

 王都に着くと、門の閉まる時間ギリギリだったので少しだけ嫌な顔をされたが、ポシカボールを見ると目を開いて驚いた顔をした。

 その後、私たちのメンバーに勇者がいることを発見し、目を見開いて私たちに話しかけてきた。


 「勇者様ではありませんか!! ポシカ様はどうされたのでしょうか? もしかして、ダンジョン内でやられてしまったのでしょうか? 我々は知っております。ポシカ様が勇者様を助けにダンジョンにいく勇敢な姿を。早く神殿に行ってください!! ポシカ様が生きてること祈っております!!」


 「いや、ポシカはのう。」


 「おじいさん、このまま行こっか。」


 「ああ。それもそうじゃな。では失礼するよ。」


 「せっ先代?! こんなところでお会い出来るなんて……。ってポシカ様がヤバいんだった。お気をつけて!!」


 すごい興奮気味の門番を置いて私たちは冒険者ギルドに向かった。やはり途中冒険者や一般人など多くの方の目の的になったが私たちはポシカのことを話すことなくギルドに着くことが出来た。

次回予告


 はぁ。やっと地上に出れたよ。たった二日ぐらい一緒だけ。というのにあそこまでストレスを貯めてくれたポシカ。ある意味才能の塊では。まぁ、勇者パーティーを辞めてあの事件を告発するんだから、もう会うことはないだろう。


 次回、さよならポシカ。

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