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第139話 階層主はお猿さん?

 「!! 先代前方にいる魔物はもしかして……。」


 「ああ。周知の確認を急いでくれ!! 嬢ちゃん二人は蜘蛛の魔物がおったら急いで知らせてくれ。」


 「「蜘蛛?」」


 「ああ。この階層らで一番厄介な魔物じゃ。あいつらはわしら冒険者だけではなく、種族の違う魔物自体も自分の巣にはめる最悪な魔物じゃ。しかも、糸の効果が普通の蜘蛛と違ってじゃな、マグマのように暑く捕まったらもう終わりとまで言われている危険な魔物じゃ。」


 「おじいさん大丈夫だよ。前にいるのはカエルみたいな魔物だから。」


「そいつも厄介じゃが、蜘蛛と比べれば全然マシじゃ。このままいくぞ!!」


 「「はーい!!」」


 私たちが使う魔力感知は、千里眼ほどでは無いが魔物などの形状までしっかり分かる。が、これにはデメリットが存在する。魔力を流しているところしか見えないため、魔力を中心に集めていている場合はどんな敵や味方なのか判断がつかないところだ。

 私たちはそのためにも千里眼を覚え、自身の身を守ることに徹底している。


 それにしても、蜘蛛の魔物か……。

 蜘蛛の糸がどれぐらい厄介なものか調査したいな、と思っていると、どうやら蜘蛛の巣みたいなものを発見!!


 蜘蛛の巣一本一本から魔力がしっかり備わっているので間違いない。

 私はおじいさんにこっちだよ。と言ってこっそり蜘蛛の巣の方に案内する。


 「ちょっと待て、あれは蜘蛛の巣じゃないのか?」


 「おじいさん、大丈夫。安心して、なにかあっても絶対に守るから。」


 「はぁ。ほどほどにするんじゃぞ。」


 おじいさんは呆れた顔をしていたが、私はそんなことお構い無しにポシカボールを蜘蛛の巣に向けて蹴りあげる。


 ほいっと。


 「!! もっとポシカを大事にせんか!! これでも勇者パーティーの一員なんじゃぞ!!」


 「私たちにはそんなの関係ないもん!! 勇者の一員でも、勇者でも多分お姉ちゃんは同じことすると思うよ。」


 「……。勇者の威厳が無くなるわい。せっかくここまで頑張ったのにのう。」


 「まぁ。まぁ。それと、師匠たち早くポシカを助けてくれませんか? そろそろ蜘蛛が帰ってきてしまうので。」


 「蜘蛛か……。えっ。ちょっと待って。魔力感知でだいたいの大きさを把握できるけど、デカすぎ!! あんなにキモいんだったらもっと早く教えてよ!! さっさと取ってここを離れるか」


 「えー!! もうこのまま置いていこうよ。どうせお姉ちゃんの防御魔法がかかってるんだから絶対に死ななんだからさ。それに、あのボール開けるの絶対にやだし。」


 「「それは言えてる」」


 チルとおじいさんが声合わせて言う。


 肝心の蜘蛛の魔物は今までマグマの中に隠れていたので形状が曖昧だったが、ポシカボールが引っかかると同時に陸にやってきてこちらに向かって来ている。


 ポシカボールを取ろうと思うけど、蜘蛛の糸のせいで少しベトベトしてそうだし、触りたくない。


 でも、急がないと!!


 私は、ポシカボールを近くに転移させ、魔法で空中に浮かせ急いでその場から退出した。


 ふぅ。こっちの存在には気づいてないみたいだから良かった。


 ん?


 ふとポシカボールに目を向けると、なんだかヘリウムガスの入っている風船みたいだ。

 まぁ。中身があれだから可愛いものではなくなってしまうがね……。


 ふぅ。


 一段落したので息抜きにあたりを見渡すとこの階層の光景のせいでなんだか暑く感じる。近くのマグマのたまり場は少し沸騰しているような感じで泡が出ているし、遠くを見ると少しボヤけて見える。


 どうしたもんか。とため息を着くと同時に上を見上げると所々赤く光る鉱石みたいなものが見えたのでおじいさんたちに聞いてみたところ、ただの石だという。

 なんでも、高音に熱された石が放っている光なんだと。地上に戻る内に冷めてしまい、元の石の色に戻ってしまうとか。


 どこかの商人が見たら、ピッケルで掘り出して地上で高く売れるかも!! とか考えて触ってやけどするパターンだな……。

 綺麗なものには棘があるというのはこういうものだな。

 そこからしばらく魔物退治をしながら前に進んでいると恐ろしい光景が私たちの目の前に現れる。


 ある人が見ると恐怖を感じ、ある人が見ると美しいと感じるだろう。


 そう、私たちの目の前には、マグマの滝が下の階層に向けて流れていたのだ。しかも、その滝をしたから巨大なコイのような魔物が這い上がろうとしていたり、他の魔物が足を滑らして落下するなど、なんとも言えない光景が繰り広げられている。


 「お姉ちゃん、すごいね……。暑いっていうのが体の芯から伝わってくるよ。絶対に落ちないように気をつけるよ。さすがに生きて帰って来れないよ。」


 「さすがにこれはね……。それにしても、目が奪われるという感覚をこのダンジョンで味わうと思ってなかったよ。ほんと、現実だと思えない……。」


 「一応これは名物じゃからのう。この滝ばかりに目がいって魔物に襲われ滝に落ちるものもいるから気をつけるんじゃよ。」


 「「はーい!!」」


 私たちは滝の周りを気おつけながら通り、奥に続く道をまた進んでいく。

 途中マグマに耐えられない魔物達が落ちて一瞬で魔石になってしまうざまを何度も見た。

 あれを見る度に気をつけよう。魔力感知をもっと精密になど考えていた。


 それからは、巨大ワニみたいな魔物が現れポシカボールを盾にして私たちの身を守ったり、蹴っ飛ばして倒したりと色々とポシカボールを役に立てながら階層を降り、やっとの思いで40階層についてしまった。

 今回は長かった!!


 「こんなに早く40階層につくとはのう……。まだ半日もたっておらんのでは?」


 「そうですね。私たちがここまで来るのに3週間程かかりましたからね……。学びたいところも多々ありますが、真似できないという悔しさばかりです。」


 「いや、三週間でも十分に早いじゃろう。お嬢ちゃん方が異常に強く魔物をあっという間に倒してくれたり、この最高の耐熱魔法のおかげじゃろう。」


 「ほらほら、いつまでもそんな場所で喋ってないで、階層主倒すよ!! それで、こっちはどっちが倒そっか?どうする? どうする?」


 サリアはすごいワクワクした顔で私の方を向いてきた。

 30階層の主は私が倒したし、今回はサリアに任すかな。

 それと、勇者の現在場所っと。あれ?41階層に上がってるな。これなら階層主を倒せば直ぐに合流出来そうだ。


 「サリア階層主はよろしく。それと、勇者は41階層まで上がってきてるから、これが終わったらすぐに帰れそうだけど、少し探検していく?」


 「うーん。早く戻って観光したいかな。せっかく王都に来たんだから、いっぱい食べて色んな場所行って楽しみたいもん!!」


 「OK!! ポシカボールは使う? 使わなかったら解除しちゃうけど?」


 「使う!! だってお姉ちゃんもこのボールで倒したんだもん。私も倒してお揃いにするもん!!」


 「これが師匠たちの会話……。私が介入することは永遠になさそうだな。」


 「次元が違うんじゃよ。勇者の称号はエルフに引き継ぐのがいちばん良かったのかもしれないのう。この子達を見るといつも思うわい。いや、ポシカボールを考えるような思考の持ち主だから、ダメか……。もっと慎重に選ぶべきじゃったのう。」


 「それじゃ、レッツゴー!!」


 そうして、私たちは巨大の門を開け中に入る。どこも階層主がいるところは勝手門が閉まってくれるので非常にありがたい。


 「巨大なお猿さん。……!! さっきお姉ちゃんが戦った魔物に似てるね。」


 「これはその親玉みたいなもんじゃ。ただの魔物と違って挑発してくるからそれに乗ってはいけないぞ。ワシも昔挑発に乗って酷い目にあったからのう……。」


 昔のことを思い出してあさっての方向を向いているおじいさんのことを一切気にせず、サリアはポシカボールを狙い定めて身体強化して蹴り飛ばす。


 ビューン。ドン!!


 階層主は反応することもできずポシカボールにぶつかり、そのまま壁にめり込む。

 めり込んだ壁からポシカボールが落ちると同時に魔石と毛皮がスラスラと落ちてきてこれにて完了!!


 意外と役に立ったなポシカボール。


 「すぐ終わっちゃったよ。つまんないの。」


 「先代、やっぱり夢を見ているのではないでしょうか……。」


 「これが現実じゃ。と言いたいところじゃが、ワシ自体も受け入れられてないからのう。こういうものだと考えるしかないんじゃないか。」


 「そうですね……。」


 「ほら、早く合流して帰るよ!!」


 階層を降りようとしているサリアに慌てて合流する。

 あっと、その前に。


 「ポシカボール解除するから、みんな鼻つまんどいてね。もちろん、階層から落とした後だけど。」


 「わかった!! お姉ちゃん臭いから、消臭魔法でもかけといてよ。」


 「結界魔法でいいんじゃない? そうすれば、臭さがポシカだけに充満して私たちに被害がないから。」


 「確かに!!」


 「はぁ。魔法はそんな事のためにあるんじゃないのにのう。それにしても、ポシカはもう終わりじゃろう。あんなにプライドが高いやつが何度もズタボロにされたんじゃからな。」


 「そうですね……。私たちはポシカについてもう少し考えるべきでした。」


 「はいはい。そういうお話はあとでやって。お姉ちゃん、よろしく!!」


 私は階段の上からポシカボールを蹴り、地上に着いたことを魔力感知で確認したあとに消臭魔法をポシカに施し、ボールを解除した。

 これで一件落着!! と思いながら階層を降りるとそこには、ゲロまみれで半分白目を向きながらたっているポシカ。そして、その後ろに巨大な木々が続きなんとも言えない光景を目の当たりにする。


 はぁ。また消滅魔法とか色々使って綺麗にするか。

 私はついでに精神強化魔法もかけ、いつものようなウザイポシカを完成させた。


 「ポシカさん生きてますか? 生きてますか?」


 「……。」


 「おねえちゃん、もう無理みたい。置いていこっか。」


 「そうだね。ここまでせっかく連れてきたけど、意識がないんじゃね。」


 「生きてるわ!! 危うく死ぬところだったが、以前防御魔法から出た時に少し耐性がついたみたいだな。お前ら、いい加減にしろよ。」


 「それにしても、雰囲気から臭そうだよ……。お姉ちゃん一緒に歩きたくないよ。」


 「お前たちがこんなことをしたんだろ!! ひぃっ!!」


 横暴な態度を取ると同時にサリアが睨むとなんとも言えない返事をしてくれた……。

 一応さっきから話しかけてはくれるが全然目が合わないし、一瞬あったかな? と思うとすぐに違う方向を向いてしまう……。

 はぁ。言葉だけはいっちょ前なんだから。


 「ポシカ、お前に言いたいことはあるが、とりあえずリロを助けに行くぞ。すぐそこにいるらしいからのう。」


 「先代!! 何故あなたまでそっちの味方をしているのですか?! 私たちは勇気パーティーですよ。いちエルフの言うことなんて聞かなくてもいいではありませんか!!」


 「ほんと、どうしたもんかのう。少しは正しい性格になったと思ったワシが馬鹿じゃったようじゃな。はぁ。ワシは自分で判断してお嬢ちゃん方についてるんじゃ。いくら強いから言いなりになりますって性格では無いことぐらい知っておるじゃろ。」


 「そうですが……。」


 「ポシカ。師匠達にその口の利き方はないんじゃないか。」


 「お前まで……。」


 「って、師匠!! 私たちを置いて進まないで下さいよ!!」


 「ほんとせっかちなんじゃからのう」


 「早く合流して、地上にもどるよ。」


 「「はーい!!」」


 ポシカはすごい不機嫌な態度で私たちに着いてきた。

 勇者がいるのはすぐそこだ。

 あいつの顔を見ると殴りたくなるが、今回は必死に我慢できそうだ。なんといったって、もっと殴りたい存在が近くにいるんだからね。

 ほんと、イライラするな。

次回予告。

やっとの思いで勇者リロとであったアリア一行。そこでポシカにリロはあることを言う。その言葉とは一体!! そして、その言葉を怒り狂うポシカはどうなるのか?!


次回、ついに帰還。 お楽しみに。

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