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第138話 またポシカボールへ

 28階層から二人に魔物退治を頼んだが、あっさりと無理だと断られた。


 「それでも、勇者のパーティーか?」と言ったが、「強いんだから、そっちが対処しろ。」と逆ギレしながらポシカが言ってきて、イラッとした。


 本当にこのわんころイライラする言動ばっかりするんだから。よくこんなものと一緒に旅をできるな。

 はぁ。


 「しょうがないのう。ワシが対処するかな。」


 「おいおい、先代に対処させる気かよ。先代は魔王を倒したことがある勇者だったと言っても、それは若い頃で今は結構お年なんだぞ。本当にお前たちがやらないのか? やるべきだろ!!」


 「お姉ちゃん、こいつだけここで置いていこうよ。ついてきそうになったら、あの勇者の弟と同じように幻術かければいいしさ。私一緒に行きたくない!!」


 「そう言わんでくれよ。ポシカ謝りなさい。10、20階層主を倒し、30階層以降の階層主を倒してくれるのはこの二人じゃぞ。本来ならお前たちがやることをやってくれてるんじゃぞ。感謝しないとだろ。」


 「それはそうだけど……。元気なこいつらが魔物退治をするできでしょう。」


 「ポシカその辺で。師匠と師匠セカンドはわざわざここまで来てくれてるんだ。私たちだけではあの魔物を退治していたら今ごろ死んでいただろう。今生きていることを感謝し、あの時の反省をしながら相手一匹一匹真剣に取り組むべきじゃないのか?」


 「お前までそっちの味方かよ。」


 「こんなところで揉めてる時間があったら、さっさと階層降りて勇者を助けに行くべきだと思うんだけど……。」


 「確かに!! 私はお姉ちゃんの意見に賛成!! じゃあ行こっか。」


 「おいおい。結局誰が倒すんだよ。そこ決めないと前に進めないだろ!!」


 「もううるさいな。自分の目の前に現れた魔物は自分で倒すでいいじゃん。もう、それで決定!! はい終わり!!」


 「分かりました!! 頑張りますね師匠達!!」


 「師匠じゃない!!」


 「そんなこと言わないで下さいよ〜。」


 「ちっ。他の冒険者誘えばもっとうまくいけたわ。あああ。」


 「お姉ちゃん。」


 「プロテクトボール!!」


 私はポシカに対して魔法をかけ、またポシカボール状態にした。

 よし、これでポシカの声を聞かないで住むよ。ほんとにウザかったな。このダンジョンが終わったら、金輪際関わらないようにおじいさんに釘さしとこっと。


 私たちはそのまま階層を降りていき、30階層主の門の前までやってきた。


 途中で色んな魔物と出会したが、結局私とサリアで全て片付けた。ポシカボール内の様子を途中で見たが、相変わらずゲロを吐き体中にゲロをつけながら苦しそうにしていた。

 やっぱりポシカはゲロまみれがお似合いだね。


 「すまんのう。結局ここまで倒してもらって。」


 「おじいさんいいの。気にしないで。最初っから頼ろうと考えているあいつと違うから助けたんだよ。 あいつがボールから出てたら、絶対に助けてあげないけどね!! ね、お姉ちゃん。」


 「そうだね。とりあえず、勇者と会うまではこのままボールの中に入れとくつもりかな。もしも強そうな魔物がいたら、こいつを転ばせて倒せば万事解決だしね。」


 「ね!!」


 「先代、絶対に師匠たちを怒らせないようにしましょう。私たちの命があっという間になくなりますし、生きているのを後悔するぐらいの苦痛を味わうことになります。」


 「そうじゃな。あのボールはワシが本気を出しても壊せそうにないからのう。ポシカは気の毒じゃな。」


 「そんなこと言いながら、あいつがボールに入ってからルンルンに歩いてない?」


 「気のせいじゃよ。」


 「ほんとかな?」



 よし、今回の階層主はテストをかけて、私に譲って貰おうっと。


 私はサリアにお願いしてすぐに了承してもらった。

 その時に、「お姉ちゃんすごい悪い顔してる!!」とサリアが発言したが、発言しているサリアも悪い顔をしていた。

 多分私がこれからすることがわかったのだろう。こいつをもっと分からせないといけないからね。


 「じゃあ入りますか。」


 私は普通の何倍も大きい扉を開けて中が見えるが、顔が三つもあるドラゴンがこちらを向いている。

 その一つの顔と目が合うと、歓迎を込めてか天井に向けて炎を吐き天井の明かりが点灯する。

 他の二つの顔は私の顔を見ると私たちを見ながら歯ぎしりを始め私たちを食べたそうにしている。


 はぁ。一気に倒すつもりだったけど、少し時間がかかるかな? いや、胴体は一つなんだしそこを狙えば問題ないか。ただ攻撃を避けるのがめんどくさいだけで。


 私たち全員が入り終わると勝手に後ろの扉が閉められ、ドラゴンが雄叫びをあげる。


 「グォォォォォォ!!」


 「うるさい!!」


 私は目の前にポシカボールを持ってきて、身体強化し勢いよくボールを相手の胴体目掛けて蹴る。

 私が蹴ったポシカボールは、一瞬でドラゴンの胴体を貫通し背後の壁にめり込む。その反動で少しボールにヒビが入ったので、すぐに魔法をかけ直した。


 胴体が貫通されたドラゴンは、顔が少し動いたあとに力が入らなくなり床に倒れすぐに魔石とドロップアイテムが出現する。


 「これにて、一件落着だね。次の40階層主もこのボールで倒そっかな?」


 「それなら私がやりたい!! だって、私たちを苦しめたんだから、それぐらいやらないとスッキリしないもん。」


 「ちょっと待っておくれ。ゲロまみれな上にあの振動……。死んでいるのでは無いのか?ちゃんと生きていないとリロに会った時の説明が大変じゃろ。それに、ギルドでも色々と厄介じゃし。」


 「大丈夫、大丈夫。少し気絶してるみたいだけど、しっかり生きてるから。なんて言ってもお姉ちゃんの精神魔法があのボール内に施されてるからね。それに、あのぐらいのスピードを味わうだけで気絶するなんて全然ダメだね。私達家族はあれぐらいならなんともないからね。」


 「……。師匠たちのレベルは本当にほど遠いみたいだ……。今まで何をやっていたのか? と考えずにいられないな。」


 「あれを比較対象にしてはいけないぞ。最前線だったワシの何倍も強いんじゃからのう。」


 「ということは、魔王も一瞬で倒せるほどですかね?」


 「どうじゃろう。ワシが倒したのは一番弱いと言われてた魔王じゃからのう。それでもギリギリの戦いじゃったからのう。」


 「そうなんですか……。」


 「お姉ちゃん、あそこに埋まってるボール下ろして来るね!!」


 「よろしく!!」


 そうして、サリアに壁に埋まったポシカボールを取り除いてもらい、また転がしながら次の階層に進んだ。

 階段の時に毎回持ち上げていたが、めんどくさくなったので、今回からは転がして階段が終わったところで、合流する形をとった。


 ここが次の階層か……。階段から離れた瞬間に熱風が吹いてるし、異常なほど暑い。それでも進まないといけないし……。

 それでは行きますか!! ということで、ポシカボールを蹴り飛ばすとマグマの中に入って行ってしまった……。

 そう、30〜39階層はマグマエリア。高温な上に、マグマから魔物が急に出てきて対応が難しいらしい。

 しかも、マグマを口から吐くというチート級の魔物がうじゃうじゃと……。この暑さにも耐えられなし上に、直で食らうと危ないかもしれないので、みんなに防御魔法と耐熱性魔法をかけといた。


 ポシカボールを拾うのはあとでもいいかな?


 私がそんなことを思っていたら、おじいさんがすごい慌てながら早く助けてくれ!! と行ったので、魔法で浮かして地上に戻した。


 はぁ。めんどくさい。


 「それにしても、ここの階層がこんなに楽ちんで行けるのは幸せですね!!」


 「今まではどうやって行ってたの?」


 「それは、耐熱性の高い服をギルドから買ってここらの階層を乗り越えてましたが、服を着ていてもさすがに暑くて休憩も地獄でしたよ。それに、耐熱性の服相当動きにくいんですよ。ほんと一回見てもらった方がいいですね!!」


 そう言って、収納魔法から耐熱性の服を出してくれたが……。

 もはや宇宙服。さすがにこれをきて、剣を振り回したり急いで防御するには無理があるが、これしか対策がないらしい……。

 本当にどうやって切り抜けていたんだ?

 私が不安に思っていると、おじいさんが説明してくれた。


 「魔物と出会うと逃げる。もしくは予め魔法の準備をして、一瞬で撃てるようにしとく。しか方法がなかったんじゃよ。ここの階層から上級者パーティーしか進めないし、死ぬ確率が高くなるしとこのダンジョンが不人気の理由になってるんじゃ。それをこんないとも簡単に進めるとなると、驚いて目ん玉飛び出るんじゃないか?」


 「そうですね、先代。私たちがやってきた時は魔力感知をいつも以上に広げ魔物と遭遇しないように慎重に移動しましたよ。」


 「お姉ちゃん、色んな魔法使えてよかったね。あの魔法を教えてもらわなかったら、私たち絶対に帰ってたよね。」


 「ね。ほんと感謝しないと。」



そうして、私たちは前進するのであった。

次回予告


ポシカを再度ボールに入れたアリア。金輪際あいつと関わりたくないと思うが、勇者との距離も縮まっていく。

待って。勇者との距離が近づくということはポシカの解放も近づくって事だよ。忘れないで!!


次回、階層主はお猿さん? お楽しみ!!

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