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第136話 サリア行きます!!

 はぁぁぁぁぁぁ。よく寝た!!


 ……。


 ん? あっ。そうだった!!


 私はいつも通りの感覚で目を開け、数秒状況が読み込めなかった。


 数秒経ったあとに、「ああ。ダンジョンに潜ったんだ。」と実感し、隣のサリアを確認した後ほかのメンバーの方を見る。

 おじいさんがいない?! と思い当たりを見渡すと昨晩料理を作ってくれた小屋から煙が出ていたのでそこで朝食を作ってくれてるんだろう。

 ふぅ。安心した。おじいさんがいなければこのパーティーで先には進めないからね。


 それにしてもどんな美味しい料理を作ってるのかな?


 私がワクワクしていると、私の身体をツンツンと指で触ってくる感覚を味わう。


 「?」


 「お姉ちゃん、おはよう。」


 「?! サリアだったのか。おはよう、よく眠れた?」


 「ちょっと疲れたのかな? いっぱい眠れたよ。あっ。そうだ。あいつらがいるんだった。なんかやる気なくなってきたかも……。」


 「ほら、元気だして!! 何かあってもお姉ちゃん守るから。」


 「お姉ちゃん!!」


 サリアの頭を撫でているとおじいさんが小屋からやってきて、朝食ができたから食べよう。ということで皆を起こしに来た。

おじいさんが用意してくれた朝食はThe和食で、魚の塩焼きに卵焼き、白米にお漬物。そして、飲み物はもちろん麦茶だ。

 私はキラキラと目を輝かせながらふとポシカを見ると、すごい暗い表情をしていた。目はほぼ死んでるし、一緒にいるだけでこっちの気分が落ちるな。と思いながら朝食を取ったため楽しいはずの時間か楽しくない時間になってしまった。


 はぁ。


 「もうすぐここを出て、次の階層に行きたいんじゃが、その前にお嬢ちゃん達ちっといいかのう?」


 「「?」」


 私達はおじいさんが作った小屋に行く。もちろんその間はポシカの様子をチルに見てもらっている。


 「すまんが、ポシカにもう少し強い精神魔法をかけて、元のポシカに戻してくれんかのう? さすがにあのままじゃと、士気に影響がでてミスに繋がってしまう。それに、あの雰囲気のままダンジョンを進むのもな……。」


 「でも、私たちにいじわるしたのが悪いんだもん。」


 「それは十分にわかるんじゃが。わかるんじゃが、どうにかならないかのう。このとおりだ!!」


 「そうですね……。」


 おじいさんは手を合わせて頭を下げてきた。

 確かにおじいさんが言ってるいることもわかる。特に、おじいさんはポシカの事も指導したことがあるからこそ情がわくはず。その情を湧いている相手があんなことをされたら心配してしまうだろう。

 はぁ。おじいさんには美味しいご飯を作ってもらったし今回は特別に解放するかな?

 おじいさんの顔に免じてね。


 私はおじいさんに解放することを伝えると、次何かあったらすぐあのボールに戻していいから。という約束を貰えた。もう戻すことがなければいいんだけどね。

 強すぎる精神魔法は精神をむしっていくので、ちょうどいいぐらいのものをポシカにかける。

 ポシカの方向を向きながら魔法をかけたせいで、ポシカの顔が徐々に良くなっているのを見てしまう。という最悪なアクシデントにあってしまう……。

 はぁ。朝からついてないな。


 「ポシカ、これにて復活!!」


 「「はぁ。」」


 ポシカは、自分の拳を天に上げてすごいニコニコしながら立ち上がる。

 正直いって気持ち悪いが、我慢だ。

 私がため息をついているとポシカは私たちの事を見ながらなんと、シャドーボクシングをしてきた!!

 イラッときてぶん殴ろうと思ったが、おじいさんが、急いで止めたので今回は見なかったことにするつもり。


 すぐ調子に乗るあいつと一緒にいるのは本当に嫌だな。


 そんな気持ちを胸に抱きながら階層を降り勇者生還へ進んでいく。

 途中何度かイチャモンをつけられ、ボール内にぶち込んでやろうかと思ったが、またもやおじいさんが止めに入った為中止となった。

 チルに関しては、もうボールに入れていいんじゃない?みたいな顔で見ていたので、おじいさんが呆れた瞬間入れるつもり。


 そんなポシカだが、魔物を自分の力のみで倒し鬱陶しいぐらいに自慢し、「お前達は魔物の倒し方わかるのか?」と挑発してきたので、ポシカが倒した魔物を5匹ぐらい一瞬で倒した。

 その時の唖然とする表情は心をスッキリさせるいい精神薬だった。


 そんな色々あった私たちだが、現在二十階層主がいる門の前までやってきたのだった。


 「どうする? 誰が階層主を倒す? さすがに俺とチルのセット、もしくは先代かお嬢ちゃん達だな。」


 「サリアがやる!! お姉ちゃん見ててね!! すごい敵をやっつけちゃうんだから!!」


 「あまり無理はしないでね」


 「はーい。」


 「ちょっと待って、一人で倒すのか? さすがに無理だろ。俺とチルでもギリギリだと思うのに。」


 「そんなこと言うんだったら、しっかりと目で見てよ!! もう。ほんと、いちいちうるさいんだから。」


 サリアはちょっとプンプンと怒りながら大きな門を開け階層主とご対面。

 階層主は、以前戦ったグリフォンの一回り小さいバージョン。しかも、魔力的にも弱いし、サリアなら楽勝でしょ。

 これを一人で倒せないパーティーズって本当にSランクなのか……。


 「お手並み拝見といこうかのう。」


 「すぐに終わらせちゃうからね!!」


 そういうと、サリアはテレポートでグリフォンの頭の上に飛び、拳一発放つと勢いよくグリフォンが床に衝突し、そこに魔石とグリフォンの爪だけが残る。

 多分だけど、身体強化をした後に拳を繰り出したのだろう。あれぐらいだと一発だからね。

 ちなみに以前鵺を倒した時に高ランク魔法を使っていたが、あれは恐怖があったからだ。魔物にも少しずつ慣れてきた今なら、身体強化のみで倒せるだろう。


 「お姉ちゃん、相変わらずダンジョン内では魔石とドロップアイテムしか残さないんだね。お肉を解体してもらって食べたかったのに……。」


 「初めて知った時は驚いたよね。それにしても、あのグリフォンのサイズならお腹いっぱいまで食べられたんじゃない? 地上に戻ったらお母さん誘って一緒に魔物狩りに行こっか? 」


 「賛成!!」


 「「……。化け物だ。」」


 パーティーズはサリアを見て、口をポカンと開けながらそう発言した。

 おじいさんはと言うと、ウンウンと頷いていたので大丈夫かと思ったが、その頷きが終わることなく続き赤べこみたいになっている……。

 たったこれだけでこんな反応をするんだったら、身が持たないよ。


 「何ぼーっとしてるの。早く行かないとなんでしょ。行くよ!!」


 「えっ。あっ。そうだった。行かないと……。てか、俺たちいらなくね。逆に邪魔になっているような……。」


 「何を言う。俺たちは勇者パーティーメンバーだし、リロに助けてもらったこの恩を少しでも返せるようにするのが普通だろ。早くリロに合って安心させてやらないとな。」


 「ポシカの言う通り早くあいつと会って安心させてあげるんじゃな。それと、ダンジョンから無事帰還出来たら、お前たちは一度鍛え直すからな。評判はこのお嬢ちゃん達からうんと聞いて、いてもたってもいられなくてやってきたんじゃからな。」


 「……。そうだったんですね。」


 「先代、こいつらがおかしいだけですよ。俺らは、その力を勇者パーティとして使って欲しく仲間に誘った。ただそれだけです。」


 「でも、その誘い方に問題があったらどうじゃ?」


 「……。」


 「そういうことじゃ。それに、お嬢ちゃん達よりも比べ物にならないぐらい弱いみたいだしな。少しはヤル気を出さんか!!」


 おじいさんはそう言いながら、ポシカの背中を元気づける意味で叩くが、ポシカはそれを受けて痛そうにしていた。

 おじいさんも元勇者だし、今の勇者よりも現在も強そうだから、効いたのだろう。


 「それでは行くかのう。」


 「早く、早く!!」


 サリアは魔石などを収納魔法にしまい、奥に大きさのドアを開きそこから階段が見ている。

 私は次はどんな階層になっているのか、少しドキドキしながら階段を降りるが、その期待はすぐに裏切られた。

 構造は先程とほぼ変わらないが、端に小さな水路が出現しているだけ。


 「ここの層は水系の魔物が急に現れるから注意するんじゃぞ。特に水辺の近くは要注意じゃ。あの生臭いカエルが出ると、風呂に入るまでずっと臭いままだからのう。これで何度苦しめられたか……。」


 「でも、そんなの魔法でちょちょいのちょいだよね。お姉ちゃん。」


 「もちろん。だけど、水辺から急に来るって言ってたから、注意しないとだよ。魔力感知はいつもしているけど、引っかからない魔物もいるかもしれないし、念には念をね。」


 「はーい。」


 「チルもずっと魔力感知をしているのか? 魔物の気配とかわかるのか?」


 「さすがにずっとは無理だな。集中力が持たない。これをずっとしているだけで、ありえないレベルだからな。本当にどうなってるんだか。エルフはここまでの高見へ目指せるのか……。」


 「違うよ。修行が足らないからだよ。魔力だって、使えば使うほど総量が増えていくんだから、いっぱい使わないと損だし、難しいことに進んでチャレンジしないといつまでたっても弱いままだよ!!」


 「そう言っても、ギリギリまで魔力を使う自体がないからな。もしも使ったら、ダンジョンから生還が難しくなるし、何かあった時の対処法が取れないから……。」


 「はぁ。お姉ちゃん、やっぱりダメだね。魔法が使えるからって組手とか絶対に怠ってるよ。どんな基礎も入れとかないと順次対応出来ないのにね。しっかりしないとダメだよ!!」


 「はっはい!! 師匠!!」


 「師匠なんかになりたくない!!」


 サリアの言葉がダンジョン内に響き渡り、反響して小さな声で帰ってきた。

 大声を出したからか、何匹か魔物がこちらに向かってるが、これなら安全で対処できるだろう。

 この階層の魔物がどれぐらい強いか、お手並み拝見かな?

次回予告

 あんなにタンカを切っていたポシカだったが、あれっ。楽勝ブームがなくなってる?!

 怪我をしても、早く治せ。と高圧的な態度をとるし、やっぱりポシカボールから出さなければ良かったのかな?

ポシカが役に立つなんて考えられないし……。


次回、間違えた魔物。 お楽しみ!!


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