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第134話 初めての階層主

 「お姉ちゃん、なんか禍々しいオーラが出てるよ。このダンジョンの入口みたいだね……。ちょっと怖くなっちゃったよ。」


 「大丈夫だよ。お姉ちゃんが着いてるから。」


 「お姉ちゃん!!」


 「サリア!!」


 「ほんとここだけの会話に切り抜くと仲のいい可愛らしい姉妹って感じじゃのう。」


 「ちょっと、それだと私とお姉ちゃんが可愛くないみたいじゃん!!」


 「そうとは言っておらんよ。ちっとばかし、ポシカに対しての口調とか、後想像もしないようなすごい魔法とか、そういうことを考えるとつい冷静でなんでもこなすように思えてな。」


 「先代それぐらいにしときましょう。今度は私たちの番かもしれませんので……。」


 「二人にはしないもん。だって、あいつみたいにいっぱい意地悪なこと言わないからね。でも、今度あんなことがあったら、お姉ちゃんと絶対に地上に帰るからね。」


 「これは絶対に気をつけましょう。」


 「そうじゃな。」


 「今回の階層主はワシとチルの二人で倒してもいいかのう?」


 「いいよ!! ね。お姉ちゃん」


 「もちろん」


 「ありがとう。20階層やそれ以降の階層主になるとちっときついから甘えることになりそうだからのう。そのまえに少しだけ手伝って起きたくてな。」


 「そうですね。頑張りましょう。前衛は任せても大丈夫ですか?」


 「当たり前じゃ!! よし、入るぞ!!」


 おじいさんが私たちの前に来て、階層主がいる門を開ける。

 そこにはこないだサリアが倒したのより二倍程大きいグリフォンが座って待っていて、私たちが入り終わると同時に雄叫びを上げ、後ろの門が勝手にしまった。

 もちろんポシカボールも忘れずに入ってきたよ。


 「よし、行くぞ!!」


 「はい、先代!!」


 「こっちだ!! 誇張ファースト!!」


 おじいさんが急いで右に走ると同時にチルが敵に挑発し、意識を自分に引きつける。

 グリフォンが羽を広げおじいさんに向けて一気に風を起こすが、おじいさんは腰に携えていた剣を抜き、風を一刀両断する。


 チルの方は漏れてくる攻撃を交わしながら詠唱を始め完成すると魔法を撃ちまた次の詠唱に走る。

 今のところ、相手の防御低下とすばやさ低下などといった魔法の種類を撃ち続ける。


 「お姉ちゃん、なんで攻撃魔法しないのかなそれと身体強化とかさ。」


 「攻撃魔法で一発で仕留められるのは、多分私たちだからなんだよ。もし、私たちが苦労する敵だったら自分のサポート魔法もそうだけど相手をいかに弱くすることが大切になってくるんだよ。それによって、届かないものも届くようになるし、生存率も上がるからね。」


 「お姉ちゃん賢いね!! 私ももう少しだけ勉強しないと!! 今の実力で満足してると痛い目にあうって紗夜ちゃん言ってたもんね。」


 「そうだね。」


 私たちが話している間も攻撃は続き、おじいさんは自分の剣ごと身体強化し地に跡ができるぐらい勢いよくジャンプし、グリフォンの後ろに一瞬で移動する。

 なんとグリフォンはそれに察知し、攻撃が首に当たらないように慌てて位置をずらすが……。


 「一刀両断!!」


 おじいさんの剣をかざしたところから刃が出現しグリフォン目掛けて撃つが当たったのはグリフォンの左羽。

 左羽は根元近くから綺麗にバサりと一刀両断され地面にボトンと落ちると同時にグリフォンは雄叫びをあげる。


 「ウォォォォォ!!」


 「チル!!」


 「準備はできてます、ライトニングドラゴン!!」


 チルから持っている枝のような杖から細いドラゴン型の電気が出現する。

 グリフォンは傷のことを気にして気づいていないのがラッキーで、ライトニングドラゴンが傷口を噛むと同時に噛んだ場所、傷口から電流が流れ込む。


 「ヴォォォォォォォ!!」


 「いい感じじゃ!!」


 「ここら辺で終わらすかのう。おっと、生きとる羽でここまでの風を出すとはのう。まだまだ生きがいがあるのう。」


 おじいさんはグリフォンが繰り出す風なブレスを交わしながら詠唱を始める。


 「何を求めるか。力か。精神力か。我が身もう一度考えあらな思想を巡らせよ。……」


 「おい、囮はこっちだ!! グリフォンごときが舐めるなよ!!」


 チルは挑発をしてグリフォンの意識をおじいさんから抜け出す。抜け出すと同時にに目くらまし程度の魔法を何発も撃ちながら逃げ回る。


 「真の姿か、偽の姿か。我もう一度問おう。ミラーリング!!」


 「先代お願いします!!」


 詠唱が終わった瞬間もう一人のおじいさんが出てきた。これは紗夜ちゃんにも教えて貰っていない魔法だけど、私たちはこの上位互換を使える。

 おじいさんは一人だけ出現だが、私たちは最大50人まで自分のコピーを作ることができる。これは分身と違い、目くらましや時間稼ぎをメインという訳ではなく、攻撃を与えたい時に使う魔法だ。その分使用する魔力量が馬鹿にならないが……。


 二人のおじいさん同士距離を離れ、そこからグリフォンに向かって走っていく。グリフォンとおじいさん二人の位置でちょうど三角形ができる感じだ。


 「チル、下がっておれ。」


 「はい、先代!!」


 チルが急いでグリフォンから距離を取ると、おじいさんはそれを走りながら目をつぶった。

 何やってんだ? と思った瞬間二人のおじいさんが一瞬にしてグリフォンの顔前まで移動し、剣を振りかざしている。

 さすがのグリフォンのあまりの速さに行動が追いつかないことと、急に現れたことに戸惑いが正直動きが遅れる。


 「「天聖カリサナーザ!!」」


 グリフォンの右と左どちらにも位置する二人のおじいさんが魔法? を唱えながら剣を振りかざすと剣から白く神々しい刃のオーラが出現しあっという間にグリフォンが四分割にされた。グリフォンを倒すぐらいでは収まらず、後ろの壁にぶつかり大きな傷跡ができる。


 グリフォンは悲鳴をあげる暇も無く魔石と爪を落とし消えていった。


 「ふぅ。さすがにミラーリングは疲れるわい。もうちっと若かったら良かったんじゃけどな。」


 そう言いながらミラーリングを解除し、おじいさんは一人だけになっていた。

 それにしても、最後の魔法? は聞いたことがない。固有魔法なのか? それとも勇者だけに与えられるとかそういう特典的なものなのか……。


 「おじいさん最後の技見たことなかったんだけど、あれは?」


 「おお、あれはのう。神に認められた勇者のみが使える技じゃな。あの神々しさは神様に与えられた魔法じゃからできるんじゃよ。」


 「勇者はみんなできるの?」


 「神に認められた者のみじゃよ。ほんと運が良かったんじゃ。」


 「さすが先代です。あの神々しさであの魔王を討ち取ったと聞きましたが……。」


 「最後の一撃はあれじゃが、仲間あっての討伐じゃ。それだけ仲間というのは信頼し、頼りになる存在じゃからしっかりするんじゃぞ!!」


  「はい!!」


 チルはキラキラとした目でおじいさんを見ている。

 私も初めてあの技をみたけれど、綺麗だ。とつい声を漏らしそうになった。

 神に認められる者のみか……。勇者じゃないと無理そうだし、私は紗夜ちゃんのやり方で強くなろう。

次回予告


えっ、ポシカボールを解放?! なんであんなやつをまた出現させなくちゃいけないの!! って、ボール内ゲロだらけじゃん……。ゲロまみれポシカがこの中に……。


次回、ポシカボール解放?!  お楽しみに

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