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第133話 黙れポシカ

 「お姉ちゃん、すごいよ。だって、あんだけしか階段で降りてないのに、こんなに広い草原があるんだもん。信じられないよ。」


 「ほんと、ここの空間はどうなってるんだろう。」


 「二人とも、それに関しては考えてはいけないぞ。考えれば考えるほど分からなくなるし、ダンジョンと言うものはこういうもの。とでも思っているのが気軽でいいじゃろ。そろそろ進んが大丈夫かのう?」


 「わかった。」


 「分かりました。」


 「では、出発じゃな。チルとポシカもそれでいいな」


 「「はい!!」」


 「それで、何階層ぐらい置いてきたんじゃっけ? だいたいでいいから教えてくれないかのう?」


 「そうですねりだいたい45、6階層ぐらいだったと思います。森が続いているので、40階層以下なのは確かなんですけど、詳しいことは……。」


 「そんな感じだったな。」


 「そうか……。とりあえず、40階層以外を目指すかな。リロも危険な状態だと思うし、ちっとばかし急ぐぞ。皆、身体強化して走って行くぞ!! 疲れた者はしっかりというように。」


 「「はい!!」」


 「おじいさんちょっと待って!! どっちに向かえばいいかわかるの? こんなに広いんだから、階段見つけるの大変じゃない?」


 「それは安心せい。頭の中に階層ごとの地図が入っておるわ。階段の場所は変わりはせんからワシの後に着いてきてくれ。」


 「わかった!!」


 私たちは身体強化をし、おじいさんの後をついて行く。魔力感知の範囲をいつもの何倍にもすると、ようやくどこまで続くのかがわかった。

 小さな惑星みたいに、直進で進めばいつか同じところに戻って来てしまうらしい。

 第一層でいちばん強い魔物の総魔力量はテトラと同じぐらい。

 第一層でこれなのだから、40階層以下はどれだけの魔力を保有しているのか……。

 私たちには関係ないが、おじいさん達は大丈夫かな?


 私はそんな考え事をしていると、あっという間に次の階層の階段の所までついた。


 「これを進めば第二層じゃ。ダンジョンに入る時もそうじゃったが、徐々に降りる感じになってるから階段降りてる時転ばないように気をつけるんじゃぞ。」


 「そうだ。走りながら思ったんだけど、一気に40階層まで行く方法はないの? 魔力的に不安なら、私とお姉ちゃんがいるから解決しそうだけど?」


 「あるわけないだろう。だから急いでいるんだよ。」


 「えー。そんなに急ぐと疲れちゃでしょ?」


 「何言ってんだ。俺たち、勇者パーティーや先代勇者がこれっぽっちで疲れるわけないだろ!! お前こそ、初めに疲れたと弱音を吐くんじゃないだろうな。ダンジョンを舐めてる態度だし、そうなるのが見え見えだな。」


 「お姉ちゃん、こいつ地上に返していい? それとも、私たちで帰ろっか?」


 「待つんじゃ、待つんじゃ!! おい、ポシカ!! せっかく着いてきて貰ったのにそんな言い方ないじゃろ。いくら土下座までして威厳を失い、以前にはいっしゅんで負けプライドもボロボロにされたからって……。」


 「……。」


 「先代。それは言ってはいけないお約束ですよ!! ポシカ少し落ち込んでるじゃないですか!!」


 「落ち込んでないわ!! 今に見てろよ!!」


 賑やかなのは嫌いじゃないけど、ポシカがうるさいのは嫌いだな。ただ単にパーティーズが嫌いだからこそ、うざく感じるだけだと思うけどね……。

 それにしても、パーティーズはどうやって帰還してきたんだろう?

 勇者だけを残して散策をするってことは、秘密の魔法とかかな?


 「それにしても、どうやって帰ってきたんですか? 瞬間的な移動は出来ないみたいですけど……。」


 「それはマジックアイテムだよ。以前階層主を倒した時にたまたま手に入れた物を使って帰ってきたんだ。二つしか持っていなかったのが運の尽きだ。いや、助けを呼べただけ運が良いと言うべきなのか? リロは自分のことよりも、私たちのことを気にしてマジックアイテムを私たちに使ったんだよ……。だから、リロは今でも……。」


 「そうじゃったのか。45層近くまでまで一気に行けたらいいんだけど、このダンジョンは転移魔法ができなくなってるからのう。とりあえず、早く向かうことじゃな。」


 「いつまでも話していたら、置いてくぞ!!」


 ポシカは、足のつま先をトントンと貧乏ゆすりのように動かしながら私たちに言ってきた。

 はぁ。なんか初めてのダンジョンだから、楽しめるかな? と思ったけど、パーティーがパーティーだから全く楽しめないや。それに、今回は救助が目的だしね。

 急がなくてはいけない原因は勇者だし、あいつさえ傷つかないようにすれば、パーティーズのイライラも無くなるだろう。

 初めからこうすれば良かったな。


 「サーチ、サブジェクトリロ」


 「「!!」」


 私の頭の中にこのダンジョンのマップの内容が入ってくると同時に勇者リロがどの階層でどこにいるか。まではっきりとわかるようになる。

 しかも、分かりやすいように層事に何階層と頭の中に記述されているので、勇者リロが今いる階層も一瞬でわかった。

 46階層か……。現在がまだ2階層だから、到着までにすごい時間がかかりそうだって、相当総魔力数が減ってる!!


 「千里眼!!」


 勇者リロ目掛けて発動すると、勇者リロとそのまわりの光景が頭の中にスっと入ってくる。

 やばいな。相当傷ついてて、歩いているのがやっとだ。

 これでは私たちが到着するまで体力等が持たなく、死に魔物たちに食べられるのが落ちだろう。


 「お姉ちゃん、どうだった?」


 「とりあえず、今は無事だけど今後の事を考えるとね……。さっさと回復させて防御魔法でもかけとくかな。」


 「そうすれば、あいつも焦られせ来ないもんね!!」


 私は千里眼で見えているリロ目掛けて魔法を放つ。


 「ヒール、プロテクト」


 突然の回復にどうなっているのかあたふたしている様子がなんとも言えないが、防御魔法も貼ったので死ぬことはないだろう。

 その階層の敵ぐらいなら、何度叩かれたところで傷の一つもつかないような強度だからね。


 「グズグズしてないで、行くぞ。と話したばかりだろ。いつまでそんなところで話しているつもりだ。お前たちの仕事は、俺たちを守ってリロの所まで行き安全に帰ること。こんな仕事を受けられることを光栄に思えよ!!」


 「流石にそれは言い過ぎでしょ。私たちは着いてきて貰ってる立場。そこをしっかりとわきまえてこその勇者パーティーでは無いのか?」


 「なんだ、チルもそっちの味方かよ。なんだか今日は運がついてないぜ。」


 「はぁ。ほんとこやつはどうやって教育されたのかのう……。」


 頭を悩ませるチルとおじいさんをほっておいて黙々と次の階層に向かうポシカ……。

 あいつだけ別行動で良くね。ほんと、あいつがいると空気が悪くなるし、想像以上に苦痛になってくる。

 サリアもさっきから楽しくなさそうだし、帰りっかな。


 「おじいさん、もう帰っちゃダメですか? とりあえず魔法で勇者は46層にいるの確認し、回復魔法と防御魔法をかけときましたので、勇者は当分死ぬことがないのですけど……。」


「はぁ。お前は何を言っているんだ。この状況下でリロに魔法が撃てる訳ないだろう。ほんと、どうにかしてたぜ。こいつを連れてくるなんて……。」


 「ポシカ、お前は黙っておれ。」


 「でも、先代」


 「いいから。」


 「さっきからこいつらの味方ばかりして、俺を仲間はずれにするつもりかよ。なんだよ。ほんとに。」


 「うるさい、シャットアウトプロテクトボール」


 「!!」


 私が発動した魔法は、特殊な防御魔法だ。この防御魔法内での発言は外に聞こえることがない上に体をボール型がおおってくれる。しかし、難点はボールを転がすと同時に中の人物も揺れてしまうことだ。

 こいつに対しては可哀想という気持ちが揺るがないのでもうこれでいいだろう。


 「お嬢ちゃん達、本当にすまない。せっかく助けに来ていただいているのに、あんな罵倒を浴びせてしまい……。」


 「おじいさんが謝ることじゃないもん。悪いのはこの中にいるこいつだもん!! お姉ちゃん、こいつかま喋れないんだったら、このままおじいさん達について行かない? やっぱり心配だからさ。」


 「分かったよ。」


 そうして、私たちはポシカボールを蹴りながら二層を進んで行った。

 私が蹴り飛ばすと同時に球体がグルグルと周りなかのポシカが顔真っ青になりながら訴えてきていたが私は見ていない。

 何度か嘔吐しそうになっていたので途中からは防御魔法にカラーリングで青色にし中の様子を、見れなくした。

 死んでしまっては困るので精神魔法も忘れずにだよ。

 

 そんな感じで階層を進め、現在10層の階層主の門まえ……。


 なんだかドキドキしてきたな。

次回予告


なんやかんなで十回層主がいる所までやってきたアリア一行。ワシとチルで倒すかのう? あれっ私たちの出番無し?! しかもポシカはボールないだし、二人だけで大丈夫?!


次回、初めての階層主  お楽しみ

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