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第132話 また会いたくない奴と出会ってしまう。

 「おい、どういうことだ、説明しろ!!」


 テトラ(勇者の弟)はそこに居合わせた冒険者の胸ぐらをつかみながら怒鳴るが、学校で上位に入れる彼でも冒険者からは全く相手にされず、普通にはらわれて床に顔がつく。

 あいつにはこれぐらいしないと分からないからね……。もっとやっちゃえ!! って思っちゃいけないかな。私たちにあんな態度とったんだしいいよね!! 


 もっとやっちゃえ!!


 もちろん、表情では可哀想って感じのオーラをだしとかないと、さっきの土下座事件のせいで印象が悪いからね。


 「お兄様は……。」


「なんだ、このガキは。いきなり胸ぐらつかみやがって。俺じゃなければ殺されてるぜ!! 雑魚は雑魚らしく床にこぼれてるスープでも飲んどけよ。」


 「ハハ。バカは早死するってこういうことか。そ 」


 「弱いものは弱いなりに頑張らないとな。ママ助けてって」


 「「はっはっはっ。」」


 「はぁ。」


 冒険者に馬鹿にされ、苛立ちが限界に達したテトラはその冒険者に殴ろうとしたが、足をかけられすってんころりんと転び、また笑われる。


 そんな彼のことをおじいさんは可哀想な顔で見ていた。

 いや、あれは、可哀想ではなくて、惨めだなって感じの顔だ……。多分テトラのこともよく知ってるんだろう……。

 世代交代って大変だな……。


 「はぁ。そこら辺でしといてはくれないか。」


 「確か、勇者パーティに先代と呼ばれていたな……。ってことは、先代の勇者様?! いや、そんなことはありえねぇ。」


 「でも、このじいさん現れてからおかしくなったやつが多かった気がしますぜ。」


 「……。どうだかな。」


 「まぁ。そうじゃな。こんなヨボヨボじゃが元勇者じゃ。スマンがワシの顔に免じて無礼な事を見逃してくれないかのう。」


 「そういう事か……。これは醜いところを見してしまったな。それと、こいつは本当に勇者の弟なのか?」


 「ああ。勇者とは性格が真逆で、すぐに突っかかってくる男じゃよ。」


 「呆れられてるぜこいつ。先代から呆れられちゃ終わりだな。俺らはもう行くぜ。」


 「すまんのう。」


 テトラに絡まれたパーティーズがギルドを出た瞬間テトラは起き上がり、おじいさんに突っかかる。


 「なんですぐに助けない。俺とあなたの仲じゃないか。それに、俺があんな態度を取られたんだから、仕返しのひとつでもするべきじゃないのか?」


 「はぁ。何度も言っておるが、暴力が全てでは無い。それと、権力を振りかざすということはどういうことかわかっているのか? 何度言ったって分かってくれないんじゃから。ほんと、お前さん達は本当に兄弟なのか疑いたくなるほど性格が違うのう。」


 「うるさい、うるさい、うるさい!!」


 ぎゃあぎゃあ騒いでるテトラが周りを見渡すと私たちに気づき、そこで顔を動かすのを辞めた……。

 はぁ。まためんどくさいことになったな。


 「お嬢さんたちまたあったね。こんな野蛮なところにいてはなんだから、是非俺の家に招待するよ。」


 「……。お姉ちゃんよろしく。」


 「はいよ。」


 勇者の弟と言えばこれだよね!! ということでまた幻術魔法をかけといた。先代勇者も私がかけたと分からないはず。と思っていたが、何やら気づいてる様子……。


 テトラは頭をむしり始め、「ああ。ああ。ああああああああぁぁぁ!!」と大声で騒ぎ出し、それを見兼ねたギルド職員が慌てて医療室にテトラを運んで行ったが、その顔はすごい嫌な顔だった……。

 相当嫌われてるんだな。いや、これはおかしいやつを運びたくないだけか。


 今回は特別に一時間コースにしといたから、問題を起こすことは無いだろう。

 少しだけギルドが騒がしくなる程度でね。


 「すまない。思ったより時間がかかってしまった。」


 「いいタイミングじゃな。」


 「いいタイミング?」


 「なんでもないわ。行こうかのう。」


 「「はい!!」」


 そうして、私たちは王都近辺にあるダンジョンに向かう。

 王都から馬車で一時間ほどだが、私たちが走った方が早く着くとのことで、走っていくことになり、半分の30分で着いた。

 もちろん、私とサリアだけならば一瞬だけどね。


 「相変わらず禍々しいオーラを発しておるな。二人ともダンジョンは初めてか?」


 「初めてだよ!!」


 「はい。」


 「そうか……。このダンジョンはな、A級ランクなんじゃよ。ダンジョンにはDからSS級あって上から三番目じゃ。上にまだあるからと油断していると痛い目に合うから気をつけるんじゃよ。それに、このダンジョンは何故か誰の最下層に行ったことがないんじゃよ。気を引き締めてな。」


 「はい!!」


 「分かったけどさ、ダンジョン入ってどうやってあいつを探すの? 遭難になってるって聞いたけど!どの層にいるか分からないんでしょ?」


 「「確かに!!」」


 ダメダメパーティーズじゃん。はぁ。さすがにこのダンジョン全てでサーチするには魔力を食いすぎると思うし、それに魔力の使いすぎで急な対応ができなくなる場合もある。

 常に魔力感知をしているから、感知する範囲を増やす方向が一番楽でいいかな? 魔力感知は魔力をくわないし、強い魔物も判断できるから、それで行こっか。


 「サリア魔力感知でいくよ。いつも以上に範囲を広げれば、そのうち見つかるでしょ。」


 「頭いい!! さすがお姉ちゃん。」


 「ちょっと待った。ダンジョンを舐めてはいけない。広大なダンジョンで魔力感知して探すのは無謀だ。そんなことをしていてはいつまで経っても見つけることができない。流石に魔力を食うが、一層ずつサーチをしていくしか無さそうだな。魔力回復薬も買ってきているから安心してくれ。これしか方法はないだろう。ポシカは先頭で役に立つはずだ。それに先代もいる。」


 「とりあえず、ダンジョンに入ってから決めようよ。多分お姉ちゃんの言う通りになると思うけど。」


 「はぁ。これだから、初心者は」


 「!!」


 チルの発言にイラッとしたサリアが軽く睨むと同時に「ひぃ。」という声を漏らした。

 そんな声を漏らすぐらいなら初めからそんなことを言わなくていいのに。


 ダンジョン入口から、黒っぽい禍々しいオーラが出ていて入るのに少し拒む気持ちがあるがおじいさん達が普通に入って行ってしまったので、私とサリアはその後ろをテクテクとついて行った。


 「お姉ちゃん、ドキドキするね。どんなところなのかな?」


 「ダンジョンって言うぐらいだから、洞窟みたいな感じじゃないかな? それにしても、入口のオーラ見ると入りたく無くなるよね。」


 「ね!!」


 「二人とも見えてきたぞ!!」


 「「!!」」


 私が想像しているものとは違い、そこには広大な大地が姿を表した。

 まるで紗夜ちゃんの修行場に行った気分。目視だけでは、どこまで続くのか検討が一切つかなく、階段で下層に降りるということを忘れてたしまうほど。

 先程第一層に来るために降りた階段は20段ほど……。それで、天井が見えない程の景色……。どうなってるんだ?

 疑問に思い魔力感知に意識を傾けるが、天井という存在はないらしいし、目視と同じようにどこまでも続いている。

 ……。一体どうなっているのか?

 次回予告


 いちいち小言を言って苛立たせるポシカ。せっかく着いてきてあげたのになんなのその態度!! そんなことなら来なければ良かったと本気で思ってしまう。もう。こうなったらあれに閉じ込めて、話し声聞こえなくしてやる!!


次回、黙れポシカ  お楽しみに!!

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