第129話 初めて会うエルフ?
「次は、アリアさんお願いします」
「はい!!」
「頑張ってにゃ!!」
私はサリアが試験を受けたところに向かう途中でサリアとすれ違い、「頑張ってね!!」と励ましのエールを貰った。
よし、頑張るぞ!! と言いたいところだが、手加減をしないとなんだよな……。
意識ではこのぐらいと思っていても、実際にそれ以上に出ることも多々あるし……。
意識的にはニーナさんぐらいの魔法を撃つ感じで大丈夫かな?
私は定位置に着くと右手を前に出し詠唱を始める。
「我ここに。自然を燃やせ。どこまでも。集え。集え。火球!!」
右手から、少しだけ魔力が出た感覚を味わうと同時に魔法陣が出現し、他の受験生みたいな小さな火球が出てきたが、スピードが異なり、私の火球はすぐに的に衝突するが……。
ドン!!
的に当たったるとプチ爆発が起こり、その後砂埃が私たちを襲う。
「前が……。的が見えません。」
「!! これ程協力な魔法が!!」
「ああ!!」
軽い砂埃が終わり、煙から徐々に的が見えてくるが……。
明らかに的無くなっちゃってるよ……。
はぁ。力をセーブしたはずだったけど、小さくするばかり考えて、魔力を圧縮してしまったかもな……。
圧縮したことにより、スピードが早くなり当たった時の衝撃が激しくなったのだろう……。
はぁ。本当にやっちゃったよ……。
「ごっ。合格です!! ……。私でさえ……。私で。」
「……。」
試験官は最後の方小さな声でぼちぼちと言ったが、私にははっきりと聞こえた。
それほど私が異質的な存在なのだろう。学校に入学して、やっていけるかな?
不安がより積もるのであった。
その後は、何故か受験生が私のことを見てビクビクしていた。
うん。絶対に友達ができないね。
それに、ニーナさんもなんとも言えないような顔で私のことを見てるし。
せっかく友達になれたのにな……。
「そっそれでは、今日の試験は終わりにします!! アリアさんとサリアさんとニーナさんはここに残ってください!! 以上ですっ!!」
試験官は少し怯えながら私たちの名前を呼び、解散となった。
他の受験生は、何故か走って自分の寮に戻っていたが、私には私から逃げる為に走っているようにしか見えなかった……。
「すみませんが、あなたたち三人はこれから特別室に行ってもらいます。そこに校長先生がいるので合否が貰えるかと……。私だって貰えなかったのに……。」
試験官は、また最後ぼつぼつと小さな声で言っていた。
「お姉ちゃんは絶対合格でしょ。いいな。私ももう少しだけ魔力込めて撃つべきだったよ。ニーナさんもそうでしょ?」
「……。そうですねにゃ……。頑張りましょうにゃ。」
「もう、どうしたの。さっきみたいな感じで話してきてよ!! 急な敬語は禁止!!」
「……。」
「絶対に禁止だからね」
「分かったにゃ……。」
「もう。」
サリアは、ほっぺを膨らませながらニーナさんのことを見るが、ニーナさんはなにか困ったような顔をしていた。
ここで私が止めに入っても良かったが、少し面白かったのでそのままにして試験官の後を着いて特別室に行くことになったが、特別室前で中の声が聞こえてくる。
「こんなにも兄が活躍しているというのに、何故試験を受けなくてはいけない!! 合格に決まっているだろ!!」
「そう言われましても、こちらは陛下から言われておりますので。」
「そこを何とかするのがお前の仕事だろ!! 俺は非常に疲れているんだ。エルフなら魔力量が見えるだろ。俺の魔力はそこら辺にいる受験生の何倍もあるはずだ。分かればさっさと合格にして俺を帰らせろ。なんなんだよ。この学院は。女をよこさないわ。変な幻覚は見るわ。最悪な学院だな!!」
「お取り込み中ですので、少し待って貰えますか? 終わり次第校長先生からお話があると思いますので……。」
試験官はそういうと、逃げるように校長室のドアから走っていった。
現に校長先生の魔力が上昇しているのが見受けられる。多分先程のクソ勇者の弟の発言のせいだろう。
人族はあまり人気がないのに、何故勇者やその弟はあんなにひと枠置かれる存在なのかね……。
「ふっふたりとも。絶対に良くない展開にゃ。ここは一度逃げた方がいいんじゃないかにゃ?」
「どうするお姉ちゃん? 早く済ましたいなら、アイツになにか魔法でも撃って対処とるけど」
「そうしたら、校長先生が疑われちゃうから禁止!! 本当にあの性格はどうにかならないのかな?」
「ね。あっ。いいこと思いついた!! 中で行われていることを動画にとって後でみんなに見せればいいんだよ!! 恥ずかしくてもうこんなことしなくなっちゃうよ!! すごいでしょ!!」
「さすがにそれはやりすぎだよ。」
「えー。絶対に良いアイデアだと思ったのに。」
「そんなこと話してないでどうするにゃ。」
「はぁ。とりあえず、入ろっか。」
「こんな会話をしている中にかにゃ?」
「そうだけど……。」
「勇気がすごいにゃ。」
校長先生さっきから魔力が上がりっぱなしで、限界に達して魔法を撃ってしまったら一瞬にして勇者弟が死んでしまうだろう。これは早めに入っておくかな。
トントントン。
「すみません。試験官から呼び出された、受験生ですけど。」
「すまない。部屋を変えるから少し待ってて、いや、このまま入ってくれ!!」
私が先頭で部屋に入ると、勇者の弟がこっちを見てニヤリと笑う。
これが気持ち悪くてしょうがなかったので、つい幻術をかけてしまった……。
しょうがないよね。きもいんだから。
魔力を感知できるエルフでさえ気づかないぐらいの速さで魔法を撃ったため、校長先生は私が撃った事に気がつかず、急なことにすごい驚いていた。
勇者弟が床にドサリと横たわる音を聞いて、慌てる素振りをする。
「すみません。少し待ってて貰えますか? コールテレパシー!!」
「あの魔法はなんなのにゃ?」
「あれは誰かの脳内に語りかける魔法だよ。」
「よく知ってるのにゃ。ありがとにゃ。」
私たちはコソコソと話しながら待っていると、すぐに別の先生がやってきてテトラを魔法で浮かばして医務室に向かっていった。
はぁ。アイツだけは受かって欲しくないし、金輪際関わりたくないな。
初めて私がいる里以外のエルフと出会う。第一印象はってその前に、また勇者の弟テトラ?! ほんとあいつどうにかしてよ!! えっ。次回は、もっと会いたくないやつとの感動の再開?! それって……。
次回、久しぶりの再会……。 お楽しみに!!